国会会議録

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国民に知らされず利用 田村智子議員 官民データ活用推進法に反対

官民データ活用推進基本法が7日の参院本会議で、自民、公明、民進、維新などの賛成で可決、成立しました。日本共産党は反対しました。

 同法は、国や地方公共団体保有の個人情報を民間企業が活用できるようにするもの。6日の参院内閣委員会で、日本共産党の田村智子議員は「個人情報に由来するデータが、どういう目的でどう使われるのか、国民には知らされないまま利用されることになる」と批判しました。

 田村氏は、JR東日本がICカード「Suica」の乗降履歴を日立製作所に販売し、批判されたことを指摘。「匿名化されたとしても、自分の行動記録が知らないうちに売られることへの不快感や気味の悪さを禁じえないのは当然のことだ」とただしました。法案提出者の平井たくや議員(自民党)は「データを使って国民が得る利益にも、個人のプライバシーにも、配慮しなければならない」と答えました。

 田村氏は、データ利活用サービスによってプライバシーが侵害される事件が繰り返されてきたことを指摘。法案では、利用目的の規制や、本人の求めに応じて個人情報の提供を停止する措置なども明確化されていないとして、「(データの利活用だけを)推進していくのは大変な危険がある」と強調しました。

2016年12月11日(日) しんぶん赤旗

 

【議事録】

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 本法案は、電磁的記録に記録されたデータ、例えば各種カードとかインターネット等を利用した際などに記録されるような、そういうデータの利活用を促進しようというものですが、個人情報に由来するデータがどういう目的でどのように使われるのか国民には知らされないままに利用されることが想定をされます。

 二〇一三年六月、JR東日本がSuicaの履歴、これを、個人データを日立製作所へ販売すると発表し、これが大きな問題となりました。JR東日本は、SuicaのIDは個人が特定できるようにはなっていないので個人情報には当たらないとして、私鉄を含む首都圏約一千八百駅の範囲で、ID番号ごとに生年月、性別、乗降駅、利用日時、鉄道利用額のデータを日立に販売、日立はこれを基にマーケティングを行うということだったんです。これ、プレスリリースもしていて、JR東日本としては合法的なデータの利活用ということだったと思います。

 しかし、批判の声はすぐに炎上と言われるほど広がりました。個人の行動記録が売買の対象になったこと、事前同意もなかったことへの不安や批判です。JR東日本は急遽、大変な御心配をお掛けしたと謝罪をして、申出により当該個人のデータをデータ集積の対象から除外するいわゆるオプトアウトを行うなど一定の対応を発表しましたが、批判は一向に収まらず、結局、このデータ販売は一時中止と発表されました。

 現在どうなっているかが新たなプレスリリースがないので分からないんですね。たとえ匿名化されたとしても、自分の行動記録が知らないうちに一企業の利益のために売られ、マーケティングに活用される、このことに不快感や気味の悪さを禁じ得ない、これは私は当然のことだと思います。

 この事案で沸き起こった批判を提案者はどのようにお考えになりますか。また、事前に了承を取ることなくデータを販売したJR東日本の対応は適切であったかどうか、お答えください。

○衆議院議員(平井たくや君) 質問ありがとうございます。

 まず、国民の不安というようなものは、これはあったと思います。一方で、GAFAと言われるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン等々の企業には、皆さん無防備に自分の個人情報を同意の下に渡して使われているという状況もあります。つまり、その情報がどのように使われているかということに関して、関心を持たれている方もおられれば、もう全く無防備にそういうことを許している方もおられる。

 つまり、こういう情報に関するいろんな問題というのをやっぱり国民的な議論にしていかなきゃいけないという思いはずっと我々持っています。日本には、そのような情報のブローカー的な仕事をする企業とか情報を使って大きな利益を上げるという企業が今のところ存在していません。そういうものに対抗していこうという思いもあって、今回はこの法律を提案させていただいています。

 委員の御指摘の事案は、Suicaに関するデータについて、氏名や連絡先、SuicaID番号等を除くことによって個人が特定できないよう加工した上で日立製作所へ提供されていたということでありますが、利用者から批判もあって提供を中止したという事実は私も承知しているところであります。

 当時の、昨年改正される前の個人情報保護法上、個人情報とは、特定の個人を識別することができるものをいい、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含むと規定されていました。委員御指摘の事案については、加工された情報が個人情報に該当するかというようなことはともかく、このようなグレーゾーンへの対応というものが必要だったと思います。このグレーゾーンというものに関して、日本の企業は非常に抑制的な行動を取るというものの一つの事例であろうと思います。

 こうした事案を踏まえて、昨年の個人情報保護法の改正により、個人を識別できないように加工された匿名加工情報を新たに定義して、事業者が保有する匿名加工情報を本人の同意なく第三者に提供するに当たっては、個人情報保護委員会が定める規則に従った方法で行うことを求める制度が創設されました。

 つまり、このグレーゾーンに関してきっちりと整理をしないと、これからはデータを使って国民が得る利益というようなものも我々配慮しなきゃいけないし、個人のプライバシーというようなものに配慮しなきゃいけないし、つまり、ここのグレーゾーンというものをやっぱり整理していく必要があろうかと我々はずっと考えていたところでございます。

○田村智子君 今御答弁あったとおり、昨年九月に、匿名化をされていれば個人データの利活用に本人の同意は不要と、言わば個人情報ではないという整理を行った、灰色を白にしたと、言わばJRの東日本にお墨付きを与えるような方向で個人情報の保護法が改定されたと私は受け止めています。

 これによって、先ほど匿名性というふうに言われましたが、k‐匿名性のk値が一、つまり、幾つかのデータを重ねたときに一人の人物に特定できるという場合であっても本人同意なしの利活用が認められるということになったんですね。その上で、この法案でJR東日本が行ったようなデータの利活用を更に積極的に進めるということになると思うんですよ。

 そして、法案の十八条、国民の中に不安がある、様々な関心もあるというふうにお認めいただきましたけれども、十八条は、官民データ活用について国民の関心と理解を深めるよう、官民データ活用に関する教育及び学習の振興、啓発及び知識の普及及びその他の必要な措置を講ずるとしていますが、この点については日本経団連もやはりそういう国民の不安があるということを認めて、データ利活用推進のための環境整備を求める提言というのを発表していて、そこの中には、国民理解の増進という項目を立てて、こう書いてあるんですよ。自分のプライバシーが侵害されているのではないか、自身にとってメリットを感じないなどの不安や不快感がデータ利活用に対する過剰な拒否反応を引き起こしていると、こういう指摘なんですね。

 そうすると、この十八条というのは、こういう国民の過剰な拒否反応を引き起こしていると、こういう認識に基づいて、そういう過剰な拒否反応を払拭するべく教育、啓発活動を行うということになるんでしょうか。

○衆議院議員(濱村進君) 今、基本的には、SNSや検索エンジン、またインターネットショッピング等で国民の幅広い層の皆様において非常に広く浸透しているという部分もありつつも、自分のプライバシーが侵害されているのではないか、こうした懸念があるというところも、両面あるということでございます。その上で、本条につきましては、国民の幅広い層におきまして官民データの活用に関する関心と理解を深めるために、国が教育及び学習の振興、啓発、普及その他必要な措置を講ずることを政府に求めることとしております。

 我が国におきましては、データ活用が十分に進んでいないというふうに認識しておるわけでございますが、国民の皆様におきましては、このデータ保護に対しての関心度、これが非常に強弱様々ございまして、それと比べまして、データ活用による利便の享受、この点が理解浸透していないのではないか、このように考えている次第でございます。そのために、データの活用による我が国の社会課題の解決あるいは経済成長について、国民の関心を高め、理解を深める必要があるということで本条を規定しているものでございます。

○田村智子君 やっぱり活用の推進の側に理解を深めるということになっていくわけですよね。

 国民の不安や不快感というのは、この間、ベネッセとか日本年金機構とか大規模な個人データの漏えい事件、これが繰り返されている、ここに依拠するものだと思いますし、また、それにとどまらない、たとえ匿名化されていてもデータ利活用サービスによってプライバシーの侵害が起こっている、こういう事案もあるから出てくることだと思うんです。

 例えば、今度PASMOです、PASMOの履歴照会サービス。二〇〇七年に、記名式PASMOについて約三か月間の履歴等をインターネットで閲覧できる、こういうサービスがスタートされました。これは、PASMOのウエブサイトで会員登録を行って、ログインIDとパスワードを設定してアクセスするという仕組みで、会員登録に必要なのはPASMOに記載されている十七桁のカード番号、購入時に登録した氏名、生年月日、電話番号、この四項目の情報を知っていればカードの持ち主でなくとも会員登録をして履歴を閲覧できる、こういうシステムだったんです。

 報道では、株式会社パスモは、カード番号を家族等親しい人が入手できることは認識していて、ですからオプトアウトの対応というのは用意していたが、それ以外の第三者が入手できることは想定していなかったと言います。

 ネット上では、しかし、早くから例えば浮気調査などの素行調査に使えるというふうに話題になっていたわけです。また、実際に東京メトロの社員が悪用して懲戒解雇されるという事案も起きました。このサービスは、専門家からもセキュリティーでの考慮が不十分ということが指摘されて、結局二〇一二年にサービス中止となって、現在はPASMOカードを駅で使って履歴等の情報を見るというふうになっています。

 これ、匿名化されていれば本人に何の説明もなく同意もなく個人に由来するデータの利活用を推進してもよい、これでは同様の問題が繰り返されるのではないかというふうにも思いますが、いかがですか。

○衆議院議員(平井たくや君) 今のお話を承っておりますと、やっぱり情報管理をするセキュリティーというような問題、そして情報にアクセスするときの要するに本人確認というような問題等々も、今このデジタル社会、インターネットを使うことが前提となった社会においてはやっぱり十分に対処しなきゃいかぬということがある上で、これからそのプライバシーの収集や漏えいというものに関する国民の理解をどのように得ていくかということだと思うんですが。

 この法案において、第三条にある「基本理念」において、官民データの推進は、サイバーセキュリティ基本法、個人情報保護法等による措置と相まって、個人及び法人の権利利益を保護しつつその推進を行うこと、三条一項ですね、としています。官民データの活用により、様々な分野で社会問題を解決し得る。例えば、国保の被保険者のレセプト、健診データを解析し、糖尿病の重症化のリスクの高い層や生活習慣病の予備軍を抽出して、集中指導することで医療費の削減に成功した例もあります。また、大規模災害発生時に、複数の民間事業者が保有する自動車の位置情報や走行履歴等のプローブ情報、政府が保有する交通規制情報等を公開、活用することで迅速な救援活動に役立てた例もあります。

 このように、官民データ活用の推進を図ることによって、医療、介護や防災等を始め個々人のニーズを踏まえた細やかな対応が可能になるなど、メリットが非常に大きいと我々は考えていますが、そのことがまだ国民に十分理解されていない部分があると思います。

 このような有益な官民データの活用によるそのメリットを実現するに当たっては、情報漏えい等により個人及び法人の権利利益等が害されることのないよう、本法案においてはセキュリティー対策、これはIT利用における安全性、信頼性確保、三条四項ですね、を十分講じるように政府に求めているわけであります。ですから、社内で情報を持ち出そうとするリスクとか、さっき言ったように、本人に成り済まして情報にアクセスするとか、そういうことがないようにこれから我々が政府に対策を求める。

 マイナンバーカード、個人番号カードによる本人確認等々は、もうまさに世界で一番本人確認に厳格な国をつくろうという全ての政策においての基盤となっているわけでございます。そういう基盤があってこそ、こういう官民データが個人の利益に資するものになっていくのではないかと考えています。

○田村智子君 時間が来てしまいましたので、もう少し質問したいことがあったんですけれども。

 私、医療や災害対応というのは分かります。ならば、そういう利用に、やっぱりどうやって制限できるのかとか、私は自分のデータをそういうふうに匿名化されても使ってほしくないというオプトアウトをどうするかとか、こういうのが一切明らかじゃないわけですよ。それで推進推進ということには大変危険性があるということは指摘をして、質問を終わります。

 

【反対討論】

○田村智子君 日本共産党を代表して、官民データ活用推進基本法案について反対の討論を行います。

 本法案は、ビッグデータや人工知能を活用した新しい産業イノベーションを起こすことを期待し、国や地方公共団体が管理する個人情報を含め、官民の電磁記録データの利活用を促進しようとするものです。これは、日本経団連が提言し、アベノミクス第三の矢とされる二〇一六日本再興戦略で求められていた方向そのものです。

 そもそも、国や地方公共団体等が管理する個人情報は第三者への提供を前提としていません。個人の資産や所得、納税、疾病や健康等に関わる情報は、たとえ匿名化されたとしても、民間事業者への提供、マーケティングへの利活用等を促進することに国民的な合意があるとは到底言えません。

 民間事業者が管理するデータも同様です。クレジットカード情報、交通機関のICカード情報などは個人の行動記録とも言えるものです。匿名化されれば、本人同意も必要なく、何に利用されるかも分からないままに利活用が促進される、このことに国民が不安や不快感を抱くことは当然と言わなければなりません。

 データ利活用について、その利用目的をどう規制するのか、国民への説明や知られない権利の保障としてオプトアウトをどうするかなど慎重に検討されるべきですが、法案では、こうした問題を今後の実施法や官民データ活用推進戦略会議などに託すだけで、何も明確にされていません。

 この間、日本年金機構、大企業でも個人情報の漏えいが繰り返されました。内閣府の世論調査でも、国民の七割が個人情報の保護に不安を抱いています。個人情報保護委員会は、二〇〇九年度から毎年度、事業所が公表した個人情報漏えい事案を集計していますが、特に五万件以上の大規模な漏えい事案数について、減少傾向はないと指摘しています。

 また、法案では、個人識別番号、いわゆるマイナンバーカードの普及及び活用の促進も求めていますが、本年九月時点で百六十万通の通知カードが自治体に返送されており、保管するか破棄するか等、混乱が生じる事態です。国民的な議論も納得もないままにマイナンバー制度が開始されたことに大きな要因があると言わなければなりません。個人情報をめぐるこうした深刻な問題の解決にこそ官民共に全力を挙げて取り組むべきです。

 また、本法案は、国と地方公共団体の行政手続はオンライン手続を原則とするとしていますが、高齢者など情報弱者が置き去りにされる、インフラ整備が困難な中小業者が公的取引から排除されることも危惧されます。

 以上、問題点を指摘し、反対討論を終わります。

 


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