活動報告

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裏金・消費税、国民の審判に応えよ/内政・外交・人権政府ただす/田村委員長、高市首相と初の論戦/衆院本会議

 日本共産党の田村智子委員長は5日、衆院本会議で代表質問に立ちました。衆参とも与党が過半数割れに追い込まれてから初の国会論戦で、高市早苗首相の政治姿勢を追及しました。

 田村氏は、自民党の裏金事件への無反省ぶりと消費税減税に背を向ける姿勢に国民は厳しい審判を下したと強調。裏金議員を重用するなど、問題の幕引きを図る首相を批判し「国民は納得していない」と説明を求めました。さらに、日本維新の会との連立合意で、企業・団体献金の禁止を不問に付し、衆院議員定数削減に問題をすりかえたと批判しました。首相は「(裏金議員は)説明責任を尽くしている」などと強弁し、無反省ぶりをあらわにしました。

 所信で首相は、自民党が公約していた給付金は国民の理解が得られないため実施しないと表明。これに対し田村氏は「ならば国民が求める消費税の減税が民意に応える道だ」と訴えましたが、首相は、消費税は安定した税収だとして減税を否定しました。

 田村氏は、大企業の労働分配率は37・4%(2024年度)まで急降下し内部留保は561兆円に上ると指摘。「働く人が生み出した富を働く人のもとへ回す、その仕組みをつくることが政治の責任だ」と訴え、内部留保に課税して中小企業への賃上げ直接支援に充てるよう主張しました。首相は「労働分配率が低下している」と認めましたが、内部留保への課税は「二重課税にあたる」などとして否定しました。

 首相が就任早々「労働時間規制の緩和の検討」を厚労相に指示したことに対しては、厚労省の資料を挙げ「月平均80時間という残業規制を超えて働きたい」労働者はわずか0・1%だと強調。賃上げと一体の労働時間の短縮を求めました。

 田村氏は、病院の6割が赤字経営になっている医療危機は「人件費や物価高騰に見合わない診療報酬にとどめてきた失策が招いた」と指摘。医療費4兆円削減など「断じて許すわけにはいかない」と述べました。首相は病床削減など維新との合意を推進する考えを改めて示しました。

 日米関係を巡っては、首相が10月28日のトランプ大統領との会談で「防衛力強化と防衛予算の増額に取り組む」と表明したことは、軍事費の大幅増額を求める米側の「要求を受け入れたことになるのではないか」と指摘しました。「会談に先立つ所信表明で、選挙で公約にも掲げていないGDP比2%への軍事費増額の前倒しをなぜ勝手に持ち出し対米公約したのか」と国民不在の対米従属外交を批判しました。

 選択的夫婦別姓を巡り、首相が主張する通称使用の法制化を批判し、名前を変えずに生きたいと願う人々に「二つの名前で生きていけというのか」と迫りました。首相はこれに正面からこたえず、通称使用の法制化を推進する考えを改めて示しました。

 

 

衆院本会議/田村委員長の代表質問

 

 日本共産党の田村智子委員長は5日、衆院本会議で代表質問にたち、「政治とカネ」問題の全容解明、消費税減税など、衆参ともに与党過半数割れをもたらした国民の審判に向き合うよう高市早苗首相に迫りました。賃上げと労働時間の短縮、医療崩壊阻止など暮らしを守る対策を求めるとともに、高市政権が進めようとする対米従属の異常な大軍拡路線を追及。自民・維新政権による悪政推進の突破口となる国会議員定数削減を阻止するため、広範な共同を呼びかけました。

 

賃上げ・労働時間短縮・医療/国民の命守る方針こそ
 田村氏は、暮らしと経済を守るために物価高騰を上回る賃上げとともに労働時間の短縮を求めました。
 田村氏は、2024年度の労働分配率が51年ぶりの低水準で、特に大企業の労働分配率は12年度の53・4%から24年度は37・4%へと急降下する一方、同じ12年間で大企業の純利益は4・6倍、株主配当は2・8倍、大企業の内部留保は200兆円以上増え561兆円にのぼる実態を示しました。働く人が生み出す富が賃上げに回らずに、株主への配当と大企業のため込みに流れていると指摘。労働分配率の急降下は異常だと強調し、「大企業の内部留保の一部に課税して中小企業への賃上げ直接支援に充てる」ことを提案。「働く人が生み出した富を働く人のもとへ回す仕組みをつくるのが政治の責任だ」と迫りました。

 高市首相は、「労働分配率は低下傾向だ」と認めましたが、内部留保への課税は「二重課税に当たるとの指摘もあることから慎重な検討が必要だ」と否定しました。

 田村氏は、高市首相が就任早々に「労働時間規制の緩和の検討」を指示したのは、経団連の要望に呼応した長時間労働を強いる労働法制の規制緩和を行うものだと批判。厚生労働省の資料では、「月平均80時間という残業規制を超えて働きたい」労働者はわずか0・1%だったことを示し、「それでも規制緩和をするのか」とただしました。さらに、長時間労働による命と健康への被害が近年、急増していると指摘。政府が進めた「働き方改革」は「命と健康を守るものになっていなく、事態はますます深刻だ」と述べ、高市首相にこの認識があるか問いました。「賃上げと一体で労働時間の短縮こそが目指すべき大方針ではないのか」と提案しました。

 高市首相は、「厚労相などに心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制緩和の検討を行うよう指示をした」などと述べ、労働時間の短縮には全く言及しませんでした。

 田村氏は、病院の6割が赤字で倒産や閉鎖も相次ぐ医療危機を招いたのは、社会保障抑制のもと、人件費や物価高騰に全く見合わない診療報酬にとどめてきた失策のせいだと批判。「維新との合意で医療への公費を4兆円削減したら、患者の自己負担は激増し、医療基盤が崩壊しかねない」と強調し、「国民の命を脅かす社会保障切り捨てを断じて許すわけにはいかない」と訴えました。

 高市首相は、「OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの検討を迅速に進め、現役世代の保険料負担を抑え、地域の実情に応じて病床の適正化に取り組む」とし、OTC類似薬の保険適用外しや病床11万床削減などを盛りこんだ維新との連立合意に沿って、社会保障を切り捨てる姿勢を示しました。

 

軍事費・軍拡・核実験・気候危機/米言いなりでいいのか
 田村氏は、高市首相が先月28日の日米首脳会談で国民への説明もないまま軍事強化を対米公約したことを厳しく批判し、武力衝突を起こさないための外交努力を継続するよう求めました。

 トランプ米政権が、国内総生産(GDP)比3・5%の水準への軍事費増額を日本に要求するもと、首脳会談で高市首相が「防衛力強化と防衛予算増額に取り組む」と表明したことは「米の要求を受け入れることになるのではないか」と指摘。首相は会談に先立つ所信表明で、自民党が今夏の参院選挙で公約に掲げてさえいなかったGDP比2%への軍事費増額を2年前倒しし今年度中に達成すると表明したと批判。「暮らしに関わる重大問題をなぜ勝手に会談で持ち出し、対米公約したのか。国民不在の対米従属外交そのものだ」と厳しく指摘し、軍事費拡大をどこまで引き上げるのかと追及しました。

 高市首相は、軍事の「抜本的強化はわが国の主体的判断だ」などと開き直り、軍事費増額の水準についても「具体的、現実的議論を積み上げていく」と述べるにとどめました。

 田村氏は、異常な軍事費拡大の目的は、外国を攻撃するミサイルの大量配備や米国製戦闘機の大量購入などによって、日米一体で戦争するための準備を行うことにほかならないと指摘。そのうえで、軍事対軍事の悪循環がエスカレートすることは、むしろ東アジアの軍事的緊張を高め、武力衝突につながりかねないと警告。「必要なのは戦争を起こさないための平和外交だ」と提起し、「互いにパートナーであり、互いに脅威とならない」とする2008年の日中共同声明に基づき、対立打開のための外交に継続的に取り組むことが大切だと説きました。

 高市首相は、同声明は認識していると答弁。尖閣諸島を含む東シナ海などでの中国の挑発的行動などあらゆる分野で日中間の「意思疎通をより一層強化していく」と述べました。

 田村氏は、人権を軽視し国際法を破壊するトランプ氏のもとで「今問われているのは、米国言いなりで良いのかということだ」と指摘。在日米軍兵士等による性犯罪が多発し、米軍機が訓練を繰り返す沖縄県などで市民や自治体から強い抗議と日米地位協定改定の声が上がっているなか、会談でこうした問題に言及しなかったのはなぜかと追及。また、会談直後に「核実験の再開」を指示したトランプ氏に対し、「唯一の戦争被爆国として抗議し、核実験をやめるよう要請すべきだ」と求めました。

 さらに、トランプ氏が今年の国連総会で、パリ協定による気候変動対策を「世界史上最大の詐欺」と罵倒するなど、気候危機打開のための国際的な取り組みを妨害していると指摘。トランプ氏の妨害をやめさせた上で、日本としても温室効果ガス削減目標を大幅に引き上げるなど気候変動問題に対し責任を果たすべきだと要求しました。

 首相は、首脳会談で地位協定を取り上げなかったと認めました。

 また、トランプ氏の核実験発言に抗議する姿勢を一切示さず、気候変動に対する発言にも「コメントする立場にはない」と逃げるなど、深刻な対米従属の姿勢に終始しました。

 

定数削減/共同してたくらみ阻止
 自民・維新の政権合意で突如持ち出された衆院議員定数の削減。しかし衆院総定数は戦後80年で最も少ない水準で、人口100万人あたりの国会議員定数は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中36番目の少なさです。

 田村氏は、定数削減の「積極的理由や理論的根拠は見いだし難い」というのが2016年の国会論戦の結論だとして、「議論の経緯を無視して、政権与党が突如、定数削減を持ち出すこと自体が問題だ」と批判しました。

 しかも維新の吉村洋文代表は9条改憲、大軍拡、「スパイ防止法」制定、医療費4兆円削減など、自民・維新の合意実現の突破口が定数削減だと明言しています。田村氏は「国民の反対意見を国会から排除する宣言にほかならない」と指摘。「定数削減反対の一点で広範な世論を結集し、各党・会派、議員の皆さんとも共同し、危険なたくらみを打ち砕くために全力を尽くす」と表明しました。


2025年11月6日(木) しんぶん赤旗

 

 


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