日本共産党の田村智子委員長は27日、国会内で記者会見し、高市政権が28日にも閣議決定を予定する総合経済対策に基づく2025年度補正予算案について、「物価高から暮らしを守る柱がない」と批判しました。
田村氏は、補正予算案の経済対策の関係経費は17・7兆円規模となるが、リーマン・ショック後の09年度の14兆円、東日本大震災後の11年度の15兆円をも上回り、コロナ危機を除けば最大規模だと指摘。しかし、中身は消費税減税を拒否し、「最低賃金時給1500円」目標さえ取り下げるなど、「物価高から暮らしを守り経済を立て直すという太い柱が何もない」と批判しました。
そのうえ「重大な毒も盛り込まれている」と強調。暮らしが大変なときに軍事費の国内総生産(GDP)比2%の2年前倒しを補正予算で行うことは重大であり、しかもトランプ米政権が求めているGDP比3・5%=20兆円を超える大軍拡への暴走の始まりだと批判しました。
さらに、「毒」として、物価高対応の中にOTC類似薬の保険外しという国民負担増、労働基準法を破壊する規制緩和まで含まれていることや、「危機管理投資・成長投資」の名で巨額の大企業支援が行われようとしていると指摘。「まさに無責任な大軍拡、バラマキ財政であり、その財源も国債頼み。これではインフレを加速させかねない」と批判しました。すでに円安や長期金利の上昇など経済対策を打ち出したことによる経済の混乱が起きているとして、「経済対策がさらなる物価高騰、暮らしの悪化を引き起こす危険さえある」と強調しました。
また、一番の柱である「物価高への対応」は戦略がなく一時しのぎを繰り返すものだと指摘。10月の物価は3・0%上昇で50カ月連続上昇し、実質賃金は9カ月連続マイナスで、アベノミクス(12年)以降年額34万6000円も下がっていることに言及し、「ここに直接応える消費税減税、大幅賃上げに踏み出すことなくして、どうして暮らしの危機や経済の行き詰まりを打開できるのか」と強調しました。
そのうえで、賃上げは相変わらず財界・大企業への「お願い」で、中小企業の賃上げも政府としての有効な策がないと指摘。「大企業にたまり続ける内部留保を活用した賃上げ支援になぜ踏み出さないのか」と批判しました。
子ども1人当たり2万円支給は18歳までと極めて限定的であり、おこめ券についても、政府がやるべきは米価高騰への根本的な対策だと批判しました。
田村氏は「アベノミクスの失敗を直視して、賃上げと労働時間短縮を政治の責任で進めるなど、あまりにもひどい搾取をただす経済政策こそ必要だ」と主張しました。
2025年11月28日(金) しんぶん赤旗

