活動報告

活動報告
ロシアはウクライナ侵略直ちにやめよ/核による威嚇、許されない/被爆国政府として確固とした対応を/田村智副委員長が要求/参院予算委

 日本共産党の田村智子副委員長は25日の参院予算委員会で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「侵略そのもので、断固として糾弾する」と厳しく批判するとともに、核兵器の先制使用まで示唆するロシアの姿勢を「被爆国として断じて許してはならない」と述べ、日本政府に平和と国際秩序の破壊を許さない確固とした対応を求めました。

 田村氏は、ウクライナ東部地域の「要請」を受け、国連憲章第51条の「集団的自衛権」を根拠に侵攻を正当化するロシアのプーチン大統領の主張について「一方的な独立承認での『集団的自衛権』など国際法上、まったく根拠がない暴論だ」と批判。岸田文雄首相は「自称『共和国』を承認すること自体が国際法違反で、国連憲章51条に従った軍事行動実施の主張はそもそも成り立たない」と述べました。

 また田村氏は、プーチン大統領が、ロシアは「世界で最も強力な核保有国の一つだ」と述べ、ロシアに通常兵器が使用された場合、核兵器の先制使用にまで言及して威嚇していることは「断じて許されない」と批判。ロシアの核による威嚇に明確な認識を示すよう迫りました。

 岸田首相は「(ロシアの軍事侵攻は)基本的なところで国際法違反だ。通常兵器であろうが核兵器であろうが国際社会として認められない」と答弁しました。

 田村氏は、「核戦争が起きかねない事態を示唆している」と指摘し、「『被爆国として断じて認めない』との強い抗議をすべきだ」と主張。ウクライナ侵略反対の一点で国際社会が一致団結することが求められているとし、政府に対し「平和と国際秩序の破壊を許さない、確固とした対応を求める」と強調しました。

 

論戦ハイライト/田村副委員長の質問/参院予算委/コロナ下の医療/男女賃金格差

 25日の参院予算委員会で、コロナ禍のもとでの医療、検査、保健体制の拡充と、男女賃金格差の是正を正面から迫った日本共産党の田村智子副委員長。医療・公衆衛生の公的責任を後退させ、「同一価値労働同一賃金」を目指す国際水準から立ち遅れた政府の責任を批判し、政治の根本転換を迫りました。

 

コロナ下の医療/田村・入院できない過去最悪の事態が進行/首相・余力ある/田村・補助金出し病床削減、いつまでこんな政策進める

 田村氏は、オミクロン株の拡大により深刻な医療ひっ迫が起こるなか、国が補助金を出して病床削減を進めていることを批判。医療提供体制の強化を求めました。

 田村氏は、全国知事会が15日、政府が昨年11月に出した「取組の全体像」の見直しや、医療ひっ迫の危機的状況を発信することなどを求める緊急提言を出したことを紹介。岸田文雄首相は「必要な医療は提供している」と述べましたが、現実には搬送先が見つからず、病院搬送せずにみとることになった腸閉塞患者の例などをあげ、次のように迫りました。

 田村 コロナ患者も、他の病気の患者も入院できない過去最悪の事態が進行している。
 首相 病床の稼働率、使用率でいうなら余力がある。
 田村 実態を見ていない。

 田村氏は、医療体制を恒常的に強化する予算はこの2年間組まれておらず、急性期病床の削減は着々と進められていると批判。コロナ危機のもとで、国の補助金を受けて、急性期病床は全国で2846床も削減されたことを明らかにし、「いつまでこんな政策を進めるのか」と批判しました。

 

検査がカギ、目標持った対策とれ

 田村氏は検査能力について、東京五輪開催時の8月1日には、8万3千件以上拡大(前月比)したにもかかわらず、10月以降の4カ月間では5万件しか増えていないとして、次のようにただしました。

 田村 どういう目標で対策をとったのか。
 後藤茂之厚生労働相 全都道府県に「全体像」に従い、検査体制の整備に関する計画の策定を依頼した。
 田村 数値的な見通しも目標もない。

 田村氏は、医療機関、高齢者施設・保育所・学校でのクラスター感染防止のためにも、経済を動かすためにも、検査がカギだと強調し、目標を持った対策を求めました。

 

崩壊しない公衆衛生体制こそ必要

 田村氏は、ひっ迫する保健所体制について、常勤職員が少ないため命の危機に直結する事態が生まれていると指摘。現場から、「臨時的な応援は助かるが短期で入れ替わるので、また仕事を教えなければならない」「保健師をせめて2倍にしてほしい。とにかく常勤職員の増員をしてほしい」「もう限界をはるかに超えている」などの声が出されているとして、次のように迫りました。

 田村 体制強化のためにどういう財政措置をしているのか。
 佐原康之健康局長 2年間かけてコロナ禍前の1・5倍の2700人に増員する。

 田村氏はこの増員は、保健所1カ所あたり、わずか2・4人分の増額だと指摘。東京都墨田区では感染が落ち着いている時に体制強化を繰り返し、コロナ前に10人だった感染症対応職員を180人(臨時・応援職員含む)に増やしたことを示し「体制強化とはこういうことだ」と強調。人口275万人の大阪市で保健所が1カ所しかないことをあげ、崩壊しない公衆衛生・医療体制こそ必要だと強調しました。

 

男女賃金格差/田村・将来を理由に賃金低くていいのか/厚労相・わが国の雇用慣行踏まえた/田村・国際基準ではありえない、同一価値労働同一賃金を

 「男女賃金格差の是正は、ジェンダー平等を進める土台だ」―。田村氏は、正規労働者の男女賃金比較について取り上げ、勤続年数ゼロですでに月4・3万円の賃金格差があると指摘し、次のようにただしました。

 田村 政府は、女性は勤続年数が短いから賃金が低いと説明してきたが、実態は違う。どう説明し、是正するのか。
 野田聖子男女共同参画担当相 男女間賃金格差の是正に向けて有価証券報告書の開示項目にする。女性活躍推進法のスキームで制度見直しを検討する。

 田村氏は、有価証券報告書の開示項目は共産党の要求で実ったものだと指摘。その上で、有名デパートの募集要項では、総合職と一般職について入社後、どちらも売り場での接客業であるにもかかわらず、一般職は月4万円賃金が安いとして、「同じ仕事だから、是正されるべき格差ではないのか」と質問。後藤厚労相は「日本では、賃金は仕事の同一性だけでなく責任の程度も含めた職務の内容、職務内容配置の変更範囲などのさまざまな要素によって決定している企業が多い。わが国の同一労働同一賃金は、そういう仕組みの中で認められている」と答えました。

 田村 将来を理由に、非正規や一般職の賃金が低くてよいのか。このような格差を容認するのか。
 厚労相 わが国の雇用慣行を踏まえたものだ。今後、仕事のキャリアを積んでいくなども含めて考慮される。

 田村氏は「これは、国際基準の『同一価値労働同一賃金』ではありえない」と追及。「同じ仕事、類似の仕事は同一賃金。これはすべての男女に与えられた人権だ」と述べ、「日本政府の考え方は、国際水準から立ち遅れている」と批判しました。

 その上で、「男女雇用機会均等法で男女別採用が批判されると、企業は『コース別』人事で男女格差を温存してきた。それを許してきた政府の責任が問われる」と強調しました。


2022年2月26日(土) しんぶん赤旗

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。

 ロシアがウクライナ東部地域を一方的に独立国と承認し、ウクライナ各地に空爆等を行い、既に民間人も犠牲になっています。これは国連憲章、国際法を踏みにじるウクライナ侵略そのものであり、我が党も断固として糾弾し、ロシア軍が直ちにウクライナから撤退することを強く要求いたします。

 この侵略についてプーチン大統領は、国連憲章五十一条、集団的自衛権を主張していますが、一方的に独立承認した地域での集団的自衛権などはあり得ず、国際法上全く根拠のない暴論だというふうに考えますが、総理、いかがですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) そもそも自称共和国を国家承認するということ自体が国際法違反でありますので、その共和国からの要請を受けて、この国連憲章五十一条及び両共和国との友好協力相互支援協定に従って軍事行動を実施したという主張、これはそもそも成り立つはずがありません。この基本的なところからもう国際法違反が始まっているということはしっかり確認しておかなければなりません。

○田村智子君 プーチン大統領は、ロシアが核兵器大国であることを誇示して、欧米の批判や制裁の動きに対抗する姿勢を見せています。ロシアは今日、世界で最も強力な核保有国の一つであり、我が国への直接攻撃は悲惨な結果をもたらすと、これが大統領演説で述べられているんですね。通常兵器がロシアに対して使用された場合に、核兵器の先制使用という威嚇でもあります。これも断じて許されません。

 総理、ロシアの核兵器による威嚇に対しても明確な認識を示していただきたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回のロシアのウクライナに対する侵攻、これは、先ほど申し上げたように、基本的なところから国際法違反であります。そうした行為について、核兵器であろうが通常兵器であろうが、これは国際社会として認めることができない、これは当然のことであります。よって、こうした一連の行為に対して、我が国として強い非難を表明し、そして、G7を始めとする国際社会と連携をして強い制裁措置を発表しているところであります。

 こういった意思は、これからもしっかりと表明し続けていきたいと考えております。

○田村智子君 核兵器による威嚇というのは。また、これ本当に制裁とかそういうのをやらせないという威嚇になっていくわけですよ。これについても許されないというのは是非明言いただきたい。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 通常兵器による威嚇も認められない、今回の事態はそういった事態であると思っています。よって、核兵器による威嚇、当然認めることはできません。

○田村智子君 この核兵器の存在ですよ、この核兵器の威嚇、ここは本当にやったら駄目。核戦争が起きかねないという事態を示唆しているわけですから、被爆国として断じて認めちゃいけない。この点についても強い抗議をしていただきたいと思いますし、ウクライナ侵略反対、この一点で国際社会が一致結束することが求められています。平和と国際秩序の破壊を許さないという確固とした政府の対応を重ねて求めておきます。

 それでは、新型コロナ対策についてお聞きします。
 オミクロン株の感染は依然深刻で、より感染力の強いオミクロン亜種の蔓延も懸念されます。
 全国知事会は二月十五日、全国的な感染拡大の早期抑制に向けた緊急提言を示しました。最初の項目、御紹介ください。

○政府参考人(大村慎一君) お答えいたします。
 御指摘の全国知事会の二月十五日の提言では、最初に、感染拡大防止等として、オミクロン株の特性等を踏まえた感染対策が挙げられております。

 具体的には、オミクロン株の特性に応じた保健医療体制の構築や社会活動の継続への対応を検討し、昨年十一月に公表された全体像の見直しも含め、全般的な対応方針を明確にするとともに、緊急事態措置やまん延防止等重点措置における具体的な対策については、今後も感染の実態に即した実効的な対応となるよう、時機に応じて更に見直すこと。また、オミクロン株は従来株より重症化率が低い点が強調されていますが、感染者の爆発的な急増に伴い、中等症以上を中心に一部地域で深刻な医療逼迫を招いている現状を踏まえて、危機的状況が国民に正しく認識されるよう、国として強く発信することとされております。

○田村智子君 この十一月に示した取組の全体像の見直しを含めてと、全般的な対応方針を示してほしい、また、医療逼迫の危機的状況、これを正しく認識されるよう強く発信してほしいと。この二日後に岸田総理、会見を行いましたが、この要望に応えるものでしたか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) コロナ対策については、全体像を昨年十一月明らかにし、そして医療提供体制、そして予防、発見、早期治療の流れ、これをしっかりしたものにする、こうした取組を行ったわけでありますが、その後、オミクロン株の感染拡大があり、そしてオミクロン株の科学的な知見、特性について徐々に明らかになってきました。

 そうした特性を踏まえて、この現実、現実をしっかり見据えて柔軟な対応、これを行うことが重要であるという認識の下に、様々な取組、待機期間の短縮など様々な取組を行ってきた、こうしたことでありました。

 二月十七日においても、基本的にそういった考え方に基づいて、様々な対策についてより深化させるべく取組を進めることを明らかにした、こういったことであったと記憶しております。

○田村智子君 様々な対策がばらばらばらばらと出てくる。だから、知事会がオミクロン株への全般的な対応をと求めた。いまだにそれ結局示されていないですよ、全体像として。
 しかも、医療逼迫の危機的状況どころか、総理は会見で、必要な医療は提供していると、そういう認識を示されたんですよ。

 じゃ、現実どうか。これ午前中もありましたが、緊急搬送困難事案、これ改めて示してください。

○政府参考人(小宮大一郎君) お答えいたします。
 救急搬送困難事案の直近一週間の発生件数は、六千六十四件となっております。

○田村智子君 これね、六週連続で過去最多。六千六十四件のうち三割がコロナの患者、コロナ疑いの患者さんということなんですね。
 都内二十六か所のER、救命救急センターのうち八か所が受入れ制限せざるを得なくなりました。腸閉塞で急変した患者さん、搬送先が三時間以上見付からず、家族と相談の上、病院搬送をせず、みとることになった。さいたま市では、コロナで重症化した十代の患者さんが、十一か所目の病院でようやく応急対応したけれども、重症度が重くて更なる転院が必要で、その調整中に亡くなっています。

 壮絶な医療逼迫が日々報じられています。コロナの患者さんも、ほかの病気の患者さんも救急搬送できない、入院できない、過去最悪の事態が進行しています。

 総理、会見で、必要な医療は提供している、何でこんなこと言えたんですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政府として、病床、そして重症病床をしっかりと提供する、こうした体制を準備をしてきました。
 結果として、昨年の夏の段階ではこの病床は満杯状況でありましたが、今の現状において、昨年の夏と比べて新規感染者の数、四倍近くになっていますが、病床のこの稼働率、使用率ということでいうのであるならば余力があるというのが現状であります。これはそうした医療提供体制を用意してきた結果であると認識をしています。

 ただ、委員御指摘のように、一年で最も救急患者が多いこの時期に、発熱などによりコロナの疑いがある方の搬送が増えた結果、救急の受入れ、大変難しいケースが生じているということ、これは御指摘のとおりであります。

 こうした御指摘はしっかりと受け止め、それに対して更なるこの対策を講じなければいけないということで、柔軟な病床活用ですとか、あるいは一時的に救急患者を受け入れる病床を更に確保するために一床当たり四百五十万円の支援を行うなど様々な取組を加えてきた、こうしたことであります。

 現実にしっかりと向き合いながら、必要な対策をこれからも積み重ねていきたいと考えております。

○田村智子君 もう、重症者病床の使用率だけ見て、医療は提供されていると。実態は見ていないということなんですよね。本当重大ですよ、こういう発言すること自体が。その医療の支援も細切れで臨時的で、本当に求められているのは、医師、看護師、そして病院の病床数そのものを増やすということがこの二年間ずっと求められてきたというふうに思うんですね。しかし、医療体制を恒常的に強化するという予算はこの二年間組まれていません。

 その一方で、急性期病床の削減、政府の計画に沿って着々と進められています。二〇二〇年度、削減された病床数はどれだけですか。

○政府参考人(伊原和人君) お答え申し上げます。
 令和二年度の病床機能再編支援事業の対象となることによりまして減少した病床数は、合計二千八百四十六床となっております。

○田村智子君 パネルでも示しました。全国で、国の補助金を受けて、このコロナ危機の下で二千八百四十六ベッドが減らされた。急性期病床が主です。二千四百四減った。そのうち百四は最も病床逼迫している大阪府です。

 また、東京都は今月、都立病院廃止条例案を都議会に提出して、医療への公的責任を大きく後退させようとしています。これも国の方針に沿ったものですよ。
 一体いつまでこんな政策を続けるんですか。

○国務大臣(後藤茂之君) 地域医療構想の点を御指摘だというふうに思っておりますけれども、地域医療構想は、地域の医療ニーズに応じて、地域に必要な病床、地域の医療資源に従って各それぞれの地域で二次医療圏単位つくっていくものであります。

 そうした全体としての医療病床の見直しの問題と、そして、今足下で起きている新型コロナにどういうふうに立ち向かっていくのか、将来感染症が起きたときにどういう体制でそれを受け止めていくのか、そうしたことを併せて、その地域医療構想、第八次医療計画、そしてこれからの感染症対策、そういうことを考えていく必要があるというふうに思っております。

○田村智子君 いや、病床逼迫で大阪とか臨時的医療施設だってやらなきゃいけない下で、急性期の病床が百四減っているんですよ、その大阪で。これが地域のニーズですか。地域の医療ニーズなんですか。私たちずっとコロナ危機の下で、止めましょうよと、この病床削減計画は、言い続けても止まらない。来年度も減らしていくということになっていくわけですよね。ここの見直しを本当にやっていかなきゃいけないと思いますよ。

 医師、看護師の数を抜本的に増やしていく、病院の病床数増やしていく、ゆとりを持って医療が提供できるということをやっていかなかったら感染症への対策はできないわけですから。そういう政策になっていないでしょうということを私たち指摘をし続けています。御答弁ありますか。

○国務大臣(後藤茂之君) 地域医療構想自身は、ダウンサイジング、あるいは病床、あっ、統合だとか、そういうことを狙ってやっているわけではなくて、地域の将来の医療ニーズに合わせて、地域の病床機能も含めて、地域の自主的な判断によって医療構想をつくっていくということです。

 当初、少し減りが大きいかもしれませんけれども、今はコロナの事態もありまして、そちらの作業は事実上は進めていない状況ではあると思います。しかし、そのことは、その目標に向かってしっかりと地域医療をつくっていくということはあくまで必要だというふうに思っておりますけれども、足下、こうした事態のときにそれを併せて無理に進める必要はないというふうに考えております。

○田村智子君 じゃ、今のコロナ危機が終わったらもっと減らすという御答弁ですよね。これでパンデミックが本当にまた襲ってきたらどうなるかということになりますよ。やっぱり、医療を金食い虫扱いしてきたようなその政治そのものが私は問われているというふうに指摘しなければなりません。

 次に、検査能力の拡大についてお聞きします。
 各月一日時点での検査能力を私の事務所の方でグラフにしました。デルタ株感染爆発、東京五輪が開催されていた八月の一日は、前月比で八万三千件以上拡大をしました。ところが、このときの二倍の感染力を想定したと言いながら、十月一日から二月一日の四か月では五万件増えただけなんですね。

 総理、PCR検査能力というのはどういう目標で増やそうとしてきたんですか。

○国務大臣(後藤茂之君) PCR検査能力につきましても、昨年十月に全都道府県に対しまして、全体像に従いまして検査体制の整備に関する計画の策定を依頼をいたしました。

 全体としてのそういう作業の中で、計画の策定に当たりまして、検査需要については、新型コロナの基本の検査需要に加えて、高齢者施設等における集中的検査の検査需要、インフルエンザの流行に伴う発熱患者等の検査需要、こうした主たる三要素を使って、ある程度算式もお示ししたところで地域の計画を作るようにということで検査需要を見込んだ計画作りを行ったわけです。

○田村智子君 では、国は目標がないということになるんですよね。
 昨日もいろいろお話をお聞きしましたら、その自治体に示したものというのの基準は、過去最高の検査数と、そこからいろいろ今後の感染も考えながらと。でも、過去最高の検査数では駄目だったんですよ。破綻しちゃったじゃないですか。オミクロン株で最悪の事態という感染者はどれくらいになるのか、その周りに濃厚接触者、接触者がどれだけ生じるのか、さらに、ワクチン検査パスポートってことも打ち上げたんだから、じゃ、その無料検査がどれぐらい必要になるのか。私は、政府こそがその数値的な見通しも示して、戦略持って能力拡大って、これ国がやらなかったらできないことだと思うんですよね。

 これ、やるべきじゃないんですか、今からでも。どうですか、総理。

○国務大臣(後藤茂之君) 今御説明したとおりなので、何を基準に推計をするかということについていろいろ御意見もあろうかとも思いますけれども、検査需要の見込みを出す出し方についても国からは見込みの計算の仕方を県に提示をいたしております。そうした中で、そうした数式、推計も参考にしながら、各県においていわゆる検査計画を取りまとめたものが、検査して、PCR検査だけでなく抗原定性検査も含めた全体の検査需要ということで、一日当たり約七十九万件程度という目標を提示したわけです。

○田村智子君 自治体に任せた結果が、この四か月でたった五万件しか増えなかったということになるわけなんですよ。それで、医療機関での検査さえ逼迫しちゃった、こんなのあり得ないです。さらには、高齢者や障害者施設、保育所、学校等でクラスター感染防止するための定期検査が必要。社会機能を維持するためには、濃厚接触者となったエッセンシャルワーカー、毎日検査が必要。経済動かすためにも検査が必要になる。まさに、ワクチンとともにこの検査が物すごいかぎになってくる。そうすると、検査の能力や体制、政府がどういう戦略持って、どういう目標を持ってやっていくのかと問われると思うんです。

 それから、今挙げたような検査は、やっぱりもう無料だというふうにしなかったら、検査されていないんですもの、高齢者施設だって、今、定期検査。これ、無料だというふうに政府が示す、これら一連の検査のパッケージ示すこと必要だと思いますけど、総理、どうですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 検査については、今委員の方からありましたように、社会活動を止めないためにも必要であるということをおっしゃいましたが、昨年から振り返りますときに、昨年の検査、PCR検査が主流でありましたが、オミクロン株の特性を勘案して社会経済活動を動かしていくという段階に至っては、より簡易で、そして短時間で検査をすることができる抗原定性キット、この需要が急速に高まったということでありました。

 今、社会経済活動をできるだけ維持していくためにエッセンシャルワーカーを始めとする様々な関係者の検査ということを考えますときに、抗原定性キットの需要が大変高まっており、そしてその供給体制を政府としてもしっかりと整えて、一日二百万回分のこの生産そして輸入を確保したということでありました。

 この検査体制ということを考えますと、オミクロン株の特性もしっかり思いを巡らせて、PCR検査とそして抗原定性検査、そして水際対策における抗原定量検査、この検査をしっかりと組み合わせて、総量としてしっかりと検査体制を確保することが重要であると考えております。

○田村智子君 PCR検査も抗原検査も、パンクしたから増やそうってしたら駄目なんですよ。だから、戦略と計画持って、政府がね、やってくれって求めているんです。是非お願いしたいと思います。また検査パンクなんてことを起こしちゃ駄目だという指摘なんですから、受け止めてください、聞き流さないで。お願いします。

 次に、保健所の逼迫が余りに深刻です。
 大阪市では発生届の入力ができなくなる事態も起きました。その影響、事態の打開についてどうされていますか。

○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
 大阪市におけるHER―SYSの入力遅延につきましては、大阪市から、一月二十六日から二月二日の間で一万二千七百件、また二月四日から二月七日の間で九千二百件の入力遅延があった旨の発表がされていると承知しております。大阪市では、他部署からの応援職員が入力処理を行った結果、これらの入力処理の遅延は解消されていると聞いております。

 また、厚生労働省としては、オミクロン株を中心とする陽性者が急増する中、重症化リスクの高い陽性者を確実に把握し、重点的な健康観察につなげられるよう、二月九日に事務連絡を発出しまして発生届の入力項目の絞り込みが可能である旨をお示ししたところであります。また、これらの取組に加えまして、現在厚生労働省の担当職員を大阪市に派遣し、運用面での改善、工夫の余地がないかどうか市関係者とも確認、協議を行っているところでございます。

○田村智子君 保健所業務がパンクするとどれだけ深刻な事態になるか、私たちもそういう影響についてつかむ努力をしています。

 枚方市の四十代の男性、勤務先の大阪市で陽性診断となったのが、その入力できなくなった一月二十六日なんです。基礎疾患もあり、せきが止まらなくなった、心配した家族が陽性診断から六日後に枚方市保健所に電話すると、大阪市から発生届が来ていないので対応できないと言われてしまった、自力でやっと医療機関探して救急搬送になったんですが、血中酸素濃度は八八%にまで低下していてまさに命の危機だったと、こういう事案も発生していたわけですね。

 保健所の職員がどんなに頑張っても業務が全く追い付かない。それは命の危機に直結します。今も保健所からの連絡対象というのはどんどん絞り込まれているんですけれども、例えばシングルマザーを支援する団体には、自宅療養中のそのシングルマザーの方から、食料が底をついた、食べるものがないと、こういうSOSが次々と届くという事態にまでなっているんですよ。

 政府はこれまで保健所体制の強化ということにどう取り組んできたんですか。

○国務大臣(後藤茂之君) 昨年の夏の事情等も、これは率直に我々事実を反省もいたしました。

 そういうことの中から、感染症の拡大時に円滑に業務ができるように、例えば令和三年度から二年掛けて千八百名から一・五倍の二千七百名に増員をいたすとともに、必要な地方財政措置を果たす。それから、例えば、今本当に保健所の機能が大変なことになっておりますけれども、観察をきちっとしていくことが大変だということで、地域の医療関係者にその健康観察を引き取ってもらって助けてもらうとか、あるいは電子化を進めるだとか、自らいろいろなデータを電子的に保健所に送っていただく仕組みをつくるだとか、そういう保健所の体制と機能の両面から保健所の機能をしっかりと後押しするようにやってきておりますけれども、今はっきり言って大変多くの感染者が出ていく中で保健所の現場が非常に厳しい状況になっているということは先生が御指摘のとおりで、我々もそれを前提に今政策を進めております。

 ○田村智子君 臨時的な増員のお話、増員というか、臨時的に人を応援というお話もあったんですけど、それも大切です。二年間、本当に逼迫したままなので。

 でも、保健所の現場からは、臨時的な応援は助かるけれど、短期で人が入れ替わってしまうと。二週間ぐらいで入れ替わっているというところもあるんですよ、保健所の中で。そうすると、また最初から仕事を教えなければならないと。この繰り返し。だから、保健師をせめて二倍にしてほしい、とにかく常勤職員の増員をしてほしい、もう限界ははるかに超えていると、こういう声が噴出しているわけです。

 もう一度確認しますけど、保健所常勤職員の体制強化のために国の財政措置というのはどうやられたんですか。

○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
 保健所において感染症対応業務に従事する保健師につきまして、令和三年度から二年間掛けて、コロナ禍前の千八百名から一・五倍の二千七百名に増員するために必要な地方財政措置を講ずることとしており、地方交付税措置としては、標準団体ベースでコロナ禍前の二十四名から一・五倍の三十六名に増員することとしております。

○田村智子君 これ、私の事務所で保健所一か所当たりで試算してみると、今年度と来年度の二年間を掛けて保健師は二・二人、これを含めて職員数二・四人分の増額、二年掛けてです。二年掛けて保健師二人、保健所一か所当たり。

 総理、これが国の財政措置なんですよ。これを現場の保健所で頑張っていらっしゃる方が知ったら、私、心が折れると思いますよ。常勤保健師二人、それ含めて職員数二・四人分。
 なぜ抜本的な増員と、こういう政策にならないんでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君) 今現在は、先生は満足されないとあらかじめおっしゃっておられますけれども、今、例えば市町村の方から大量の応援が入ったり、あるいは民間の方たちを雇うような対策をいたしております。

 恒常的にどういうふうに定員を増やすのかということは、足下の対策とそれから将来のことと、両方バランスもあると思います。ですから、そういう意味で今申し上げた人数だけが定員の増、あっ、人員の増ということではなくて、そういう形で応援を入れたり、また民間の力を借りたり、そういうことも含めて人員をできる限り充実して今やっているというところです。

○田村智子君 とても本気で取り組んでいると思えないですよね。

 全国で注目されているのが人口二十七万五千人の墨田区の保健所です。感染症対応の職員はコロナ前十人だったのが第六波では百八十人です。区職員の応援や専門職の派遣などももちろんこの中に入っていますが、感染が落ち着いているときに必要業務を想定して体制強化を繰り返してきた。そして、保健所長さんは、コロナ後、平時の下でももっと感染症対応の保健師を増やしていきたいと、こう述べられている。これが体制強化っていうことだと思いますよ。しかも、保健所の箇所数は一九八〇年代から見て今は半減している。保健師、職員も大幅減、コロナ危機が始まったときから私たちはこのことを何度も指摘して、恒常的で抜本的な体制強化を求めてきました。総理、もうやらなきゃ駄目でしょう、どうですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) ただいま委員と厚労大臣の間で様々な議論が闘わされました。その中で、外部人材の活用等による人員のこの拡充、そして様々な業務の効率化、そして、コロナ禍においては、保健所を経由しない形での軽症の自宅療養体制の整備など様々な取組が行われてきましたが、その中であって、委員の問題意識は常勤のこの人員が必要であるということだと思います。

 今申し上げたように、政府としましては様々な取組を進めているわけですが、その中にあって、常勤の人員の拡充についてもまだまだ不十分だという御指摘ではありますが、是非、できるだけこの常勤の人員拡充という点においても、政府として努力を続けていきたいと考えます。

○田村智子君 人口二百七十五万人の大阪市で保健所一か所なんですよ。こういうことを機能強化だっていって進めてきちゃった。だけど、私たちパンデミックを経験して、やっぱり崩壊しない公衆衛生、医療体制、これをつくることこそが国民の命と暮らしを守るし、経済を回していく、その保障なんだということがはっきり分かったというふうに思います。政治の転換、求めます。

 コロナ対策の最後に、事業者の支援について。
 全国知事会からは、事業復活支援金の支給増額、それから要件緩和、申請手続の簡素化、強く要望されています。当然だと思います。どう応えるでしょうか。

○国務大臣(萩生田光一君) 事業復活支援金は、新型コロナの影響により厳しい経営状況が続く事業者の皆様が三月までの見通しを立てていただけるよう、固定費の約半分を目安として、昨年十一月から三月までの五か月分を一括給付するものです。この支援金は、売上高の減少割合が五〇%以上の事業者に加えて、売上減少要件を緩和し、三〇%以上の事業者も新たに支援対象としていることに加えたほか、月単位の給付額で比較した場合、支援額や要件についても持続化給付金よりも充実した支援措置となっています。また、申請手続については、申請者の事務負担を考慮して、これまでと同様、電子申請とさせていただいています。

 さらに、既に一時支援金や月次支援金を受給したことがある申請者については、申請書類や申請者の宣誓内容に関する形式的な確認を行う事前確認を省略するなど、可能な限り申請手続を簡略化しています。

 いずれにしましても、新型コロナの影響による事業者の状況を注視しつつ、まずはこの支援金の給付に全力を尽くしてまいりたいと思います。

○田村智子君 それでも足りないっていう要望ですから、受け止めて改善いただきたいと思います。

 次に、男女賃金格差の是正、これジェンダー平等を進める土台として大切だと思いますので質問いたします。
 このパネルは、正社員の基本給を、男女別、勤続年数ごとに示したものです。勤続年数ゼロで月四・三万円差があり、長く働くほど男女の格差は大きくなっていきます。

 これまで政府は、賃金格差の要因として、女性は勤続年数が短いからだと説明してきましたが、実態は違います。どう説明し、どう是正しますか。

○国務大臣(野田聖子君) お尋ねの勤続年数ゼロ年における男女間の賃金格差については、新卒のみならず転職者も含まれていることもあり、一概にその理由をお答えすることはできませんが、同じ正社員でもコース別に賃金が異なること等、様々な理由が考えられます。

 男女間の賃金格差の是正に向けては、今後、有価証券報告書の開示項目にすることや、女性活躍推進法のスキームにおいて男女間の賃金格差そのものの開示を充実する制度の見直しを行うことについて、担当大臣と連携しながら、具体的に検討して速やかに着手してまいります。

○田村智子君 企業の賃金格差の実態を開示させる、これはもう私たちが何度も求めてきたことで、このことは評価いたします。ただ、同時に、もっと分析しなきゃいけないこと、いろいろある。

 勤務年数ゼロでの格差、これはどういうものかということで、ある有名デパートの募集要項を、たまたま私、インターネットで見付けたんですね。そうすると、総合職、組織のリーダーとなる役割だと書いてある。入社後は、売場にて百貨店事業の業務を経験。勤務地、首都圏の百貨店、専門店、全国の各グループ会社、海外店舗。初任給は二十二万二千円と。メイト社員、いわゆる一般職と言われるものだと思います。各店舗での接客業を中心とした多領域にわたる業務。勤務地は首都圏各店舗、各事業所。初任給、十八万二千円。勤務時間そして休日休暇とも条件は同じです。そして、これはどう見ても、どちらも入社後は売場での接客業に当たる。ところが、メイト社員は、いわゆる一般職は月給が月四万円安い。

 一般的に総合職は男性が多く、一般職は女性が多い。そのまま男女賃金格差になっていきます。そもそも同じ仕事なのだから、これは是正されるべき格差だと思いますが、どうでしょう。

○国務大臣(後藤茂之君) 我が国におきましては、賃金は、仕事の同一性だけでなく、責任の程度も含めた職務の内容のほか、職務内容、配置の変更範囲などの様々な要素によって決定している企業が多いわけでございます。我が国の同一労働同一賃金というのは、そういう仕組みの中で認められているものです。労働者の職種、資格等に基づき複数のコースを設定し、コースごとに異なる配置、昇進、教育訓練等の雇用管理を行う、いわゆるコース別の雇用管理については、それ自体が直ちに問題だという認識は持っておりません。

 しかし、コース別管理制度が事実上の男女別雇用管理とならないように、コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針を作成して周知に取り組むとともに、男女雇用機会均等法に照らして問題がある場合には、企業に対し助言、指導をしっかりと行うということでございます。

○田村智子君 今、大臣、責任や職務が違えばと言ったけど、これ、どう見たって新入社員ですからね。一緒に売場に行くんですからね。これ一緒でしょう。それでも賃金格差なんですよ。

 安倍政権のとき、女性の活躍、働き方改革だといって、同一労働同一賃金のガイドラインも作った。しかし、今の答弁だと、結局それは賃金格差を容認する方針だったということになるんじゃないですか。

○国務大臣(後藤茂之君) 同一労働同一賃金は、正規雇用の中のコース・職種間格差とかいうことではなくて、まず、それだけではなくて、同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すものであります。

 我が国の人事雇用慣行には、長期雇用の中で配置転換しながら幅広い職務遂行能力の向上を促していき、それに対応した賃金体系とするなどの雇用の実態があります。そのため、パートタイム・有期雇用労働法では、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の待遇差が不合理であるか否かの判断に当たって、仕事の同一性だけでなく、責任の程度も含めた職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の違いを考慮することとしておりまして、これが我が国の同一労働同一賃金の労働法制の内容であります。

○田村智子君 このガイドライン出されたとき、非正規雇用であっても同じ仕事なら同じ賃金になるんじゃないかと多くの女性の皆さんが期待した。ところが、政府のガイドラインはまさに、これは不合理ではありませんよという例外の列挙だったんですよ。

 正社員に仕事を教えるほど知識や経験があり、同じ部署で同じ仕事をしていても、非正規雇用は基本給が安くてよいと、こういうことまでガイドラインでは示しています。なぜ格差があっていいのか。理由は、将来の転勤、将来の人事だと。

 転勤したときに、あるいは管理職になったときに給料に差が付く、これは分かります。また、今の仕事に生かせる経験や専門性などを評価した賃金の差だというのも分かります。しかし、将来を理由にして、将来。で、非正規や一般職の賃金は安くていいよと。

 私は、このガイドラインは見直しが必要だと。そうでなかったら、さっき示した男女の賃金格差はなくなっていかないと思いますよ。いかがですか。

○国務大臣(後藤茂之君) 先ほども申し上げたとおりなんですが、同一労働同一賃金については、我が国の雇用慣行を踏まえて、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を図ることとしているものであります。ですから、責任の違いということは、その人がどういう立場で今後仕事のキャリアを積んでいくかとかそういうことも含めて、あるいは人事の在り方等、制度のそういう問題も含めて実を言うと考慮されるものではあります。

 また、先ほども申し上げたとおり、コース別管理制度が、そのこと自体が不適切だと言い切るわけではありませんが、事実上の男女別雇用管理とならないように、コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針を作成しまして周知に取り組むとともに、男女雇用機会均等法に照らして問題がある場合には、企業に対し助言、指導をしっかり行っていくという仕組みになっております。

 このほか、女性の管理職比率向上のための取組や、出産や育児に関係なく男女共に働き続けられる職場環境整備など、様々な取組を総合的に進めていくことによりまして男女間賃金格差の改善を図ってまいりたいと思います。

○田村智子君 現に負っている責任じゃないんですよ。将来責任を負うであろうといって、格差を設けることを不合理ではないという、これは国際基準の同一価値労働同一賃金ではあり得ないです。

 国際労働機関ILOは、同一価値労働同一賃金のガイドブックを出しています。本文の最初の段落を読み上げてください。

○政府参考人(山田雅彦君) お答えします。
 御指摘のガイドブックの第一部の一、「同一賃金は基本的権利か?」においては、「男女は、同一価値の労働に対して同一報酬を受け取る権利をもっている(一般的に「同一賃金」と呼ばれる)。男女が同じ又は類似の仕事をする場合に、同一賃金を受け取らなくてはならないのみならず、全く異なる仕事をしていても、客観的な基準に照らして同一価値の仕事である場合には、同一賃金を受け取るべきである。同一賃金は、すべての男女が付与されている人権として認められている。」とされております。

○田村智子君 審議時間が長いせいか、だらだらだらっと、こう、さっと読んだんですけど、かみしめて読んでほしいですよね。

 これね、同じ仕事、類似の仕事は同一賃金、これは全ての男女に与えられた人権だと。さらに、女性の多い職業がより低賃金であることを考慮して、全く異なる仕事であっても、客観的な基準に照らした同一賃金を目指すんだと。ここが国際基準なんですよ。

 ちなみに、女性が多い職業である社会福祉分野、ケア労働は、男性の多い地方公務員との同一報酬と、こういう指標もこのガイドブックに出てくるんですよ。今、ケア労働の賃上げっていって、足りないって言われていますけど、基準がないからですよ。地方公務員と同一報酬と、こういうガイドブックなんですよ。これは日本も批准しているILO百号条約のガイドブックです。

 野田大臣、日本政府の先ほど来厚労大臣が説明されている考え方、これは国際水準から余りにも立ち遅れている。政府自身の認識を変える必要があると思いますが、いかがですか。

○国務大臣(野田聖子君) ILOで批准しているということが大事だと思います。確かに、海外のことだと言ってしまえばそういうことになってしまうんですけど、やっぱり日本が抱えているのは、今コロナ禍で女性がその非正規に集中していて、そして、仕事を失い、女性の、それによって女性が自殺をしているとか、様々困難が今顕在化している中で、やはり平時のときからしっかりと女性も経済的に自立していくことが大事だということで、岸田政権下で取り組んでいることだと思います。

 日本の場合は、御承知のように、フルタイムの女性労働者の賃金というのは、男性を一〇〇とすると七六ということになっていて、常にその諸外国と比べられて低いことになっています。ここ数年、その経済や景気が良ければこれでもいいのかもしれないですけれども、ここ何十年も日本は経済的にも伸びるどころか下めになっている中で、やっぱりしっかりと抜本的にその働く人たちの環境整備から始めて、新しい経済をつくり出していかなきゃいけないなという自覚をしながら取り組んでいきたいと思います。

○田村智子君 労働時間等々の問題もそうなんですけど、私は、この同一価値労働同一賃金というこの原則に政府が立たなかったら、賃金格差の是正なんかできないと思う。

 最初に賃金格差で示した資料をもう一回見てほしいんですけど、男女雇用機会均等法によって男女別の募集、採用が規制された。すると、企業は、コース別人事で総合職と一般職に分けて採用し、初任給も昇給も格差を付けた。総合職は男性が多く、一般職が女性は多い。こういう日本の当たり前がつくられたんですよ。

 しかも、政府はこれを間接差別と認めない。均等法の制定は一九八六年。法改正で男女別採用を禁止したのは九七年。その頃、男女平等が進むことを期待して入社し、今も働き続けている女性たちの賃金格差が月約十万円なんですよ。退職金や年金を含めれば、一体どれだけの格差になるのか。まさに女性の人権問題です。

 非正規雇用の女性たちはもっと大きな格差の下にあります。労働者派遣法の規制緩和などで、受付、事務職などを丸ごと非正規化して、同じ仕事なのに低い給料で主に女性を担わせた。そういう仕組みが延々とつくられてきた、その政治の責任が問われている。このことを申し上げて、質問を終わります。


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