活動報告

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補正予算案/「やさしく強い経済」へ五つの提案/物価高騰から暮らし守る/平和・くらしと経済、日本の進路問う/岸田自公政権と対決鮮明/志位委員長・田村副委員長が衆参代表質問

 2022年度補正予算案が25日、国会で審議入りし、衆参本会議で各党代表質問が行われました。深刻な物価高騰からどう国民の生活を守るのか。日本共産党は衆院で志位和夫委員長、参院で田村智子副委員長が暮らしと平和をめぐる日本の進路について岸田文雄首相を厳しくただし、「やさしく強い経済」へ、五つの提案を行いました。国民の切実な願いに背を向ける岸田自公政権との違いが鮮明になりました。

 志位氏は、「新型コロナ」や「ウクライナ侵略」だけではなく、アベノミクスによる「異次元の金融緩和」が異常円安と物価高騰を招いたことは誰もが認める事実だと指摘。失政の責任を認め、金融政策を根本から見直すよう求めました。

 また志位氏は、労働法制の規制緩和や社会保障の連続削減など弱肉強食の新自由主義が日本経済を「冷たく弱い経済」にしてしまったことが「国民の生活苦の根本にある」と指摘。物価高騰から暮らしを守るためには、小手先の対策ではなく新自由主義を終わらせて「冷たく弱い経済」から「やさしく強い経済」への抜本的転換が必要だと訴えました。

 志位氏は、具体的な提案として①消費税を緊急に5%に減税し、インボイス(適格請求書)を中止する②「賃金が上がる国」へ大企業の内部留保課税で賃上げを促進する③年金削減を中止し、大学学費を半分にし、国の制度として義務教育の給食を無償化する④気候危機打開へ100%国産の再エネの大規模な普及をはかる⑤ジェンダー平等へ男女の賃金格差をなくす責任を果たす―の5点を力強く提起しました。

 日本共産党が求めてきた男女賃金格差の公表を企業に義務付ける方針を岸田首相が表明したことは「一歩前進だ」とした上で、公表を徹底するとともに企業に是正計画の作成を義務づけ、国が実施を促す仕組みをつくるよう強く求めました。

 その上で政府の補正予算案は「あまりに不十分かつ予備費の積み増しなど財政民主主義に反するものだ」と指摘。撤回と出し直しを強く迫りました。

 岸田首相は、これまでの自公政治の失政を認めず、「消費税減税は考えていない」などと答えました。

 

「国連憲章守れ」広げる外交を
 田村氏は、ロシアのウクライナ侵略について、政府が行うべきは「価値観」で世界を分断することではなく「ロシアは国連憲章を守れ」という共同を広げることだと強調しました。米国の軍事力による「拡大抑止」の強化は核軍拡を招くものであり、岸田首相のいう「核兵器のない世界をめざす」ことと矛盾すると批判しました。

 田村氏は、日米共同声明で岸田首相が表明した軍事費の「相当な増額」とはいくらで、5年以内に倍増以上を目指す自民党の危険な提言を政府の方針にするのかと質問し、「その財源は、消費税増税か、社会保障予算の抑制・削減か、それとも国債発行で安倍晋三元首相が『政府の子会社』と称した日本銀行に引き受けさせるのか」とただしました。首相は「防衛費の安定的な確保をする観点から財源のあり方についても検討していきたい」などと述べました。

 田村氏は、軍拡競争で平和は構築できないとして東アジアに平和の枠組みを構築する外交努力を求めました。

 さらに、物価高騰対策と称する政府の補正予算案について、具体策は実質ガソリン元売り価格の抑制だけだと批判。所得の少ない人ほど効果が大きく中小企業・業者ほど税負担の軽減につながる消費税減税は最も有効な物価高騰対策であり、大企業・富裕層への応分の税負担と消費税の減税こそ、国民が求めているものだと強調しました。

 また、1951年の日本共産党議員の質問に政府が学校給食を無償とすることが理想と答弁していたことを示し、「無償化に向けてただちに給食費負担軽減を全国どこでも実施すべきだ」と提案しました。

 

新自由主義の転換迫る

共産党・物価高騰は失政/岸田首相「主に原材料高騰」
 急激な物価高騰が暮らしを直撃し、国民から悲鳴が上がっています。志位氏は、新型コロナウイルス、ロシアによるウクライナ侵略だけではなく、「アベノミクス」の「異次元の金融緩和」が異常な円安と物価高騰を招いたことは誰もが認める事実だと指摘。「この重大な失政の責任を認め、金融政策を根本から見直すべきだ」と迫りました。岸田首相は「物価上昇は主に世界的な原材料価格の高騰によるものだ」と述べるだけで、まともに答えませんでした。

 志位氏は、国民の生活苦の根本には新自由主義があることを指摘。労働法制の規制緩和で非正規雇用が4割近くに増え、「賃金が上がらない国」になったことや、社会保障の連続削減でこの10年間で公的年金が実質6・7%も減らされてきたことを挙げ、「弱肉強食の新自由主義が日本経済を『冷たく弱い経済』にしてしまったことが、国民の生活苦の根本にあるという事実を認めるか」とただしました。

 岸田首相は「新自由主義は世界経済の成長の原動力となった」「『新しい資本主義』のもと、成長と分配の好循環を生み出す」などと述べ、国民の生活苦に背を向ける姿勢を示しました。

 田村氏は、岸田政権が物価高への対策として、ようやく補正予算案を提出したものの、具体的施策は実質、ガソリン元売り価格の抑制だけだと指摘。食用油39%、生鮮食料品12%、電気代21%など、生活に不可欠な品目ほど値上げ幅が大きいことをあげ、「これで物価高の対策になるのか」とただしました。岸田首相は「総合緊急対策を迅速に実行する」とまともに答えませんでした。

 

「やさしく強い経済」へ

共産党・消費税5%減税、緊急に/岸田首相「考えていない」
 志位、田村両氏は、物価高騰から暮らしを守るには、小手先の対策ではなく新自由主義を終わらせて「冷たく弱い経済」から「やさしく強い経済」への転換が必要だと五つの提案を行いました。

 第一は、消費税を緊急に5%に減税するとともに、中小零細業者やフリーランスを苦しめるインボイス(適格請求書)制度の導入を中止することです。

 志位、田村両氏は、政府の物価対策はガソリンなどごく一部に限られているが、生活必需品の値上げは深刻で所得の少ない人ほど打撃が深刻だと指摘。志位氏は「消費税減税こそ物価高騰から暮らしを守る上で最も効果的な対策だ」と強調しました。

 円安のもと大企業の利益は過去最高となり、富裕層も大きく資産を増やしていることを示し、「大企業と富裕層に応分の負担を求め、消費税を減税することは、税の公正という観点からも当然のことだ」と訴えました。

 田村氏は、「読売」の世論調査でも政府が優先的に取り組むべき対策として「大企業や富裕層への課税強化などの税制の見直し」と答えた人が50%にのぼっていることにふれ、「これこそ国民が求めている公正な税制のあり方だ」と強調しました。

 岸田首相は「消費税減税は考えていない」「インボイス制度は必要なものだ」などと答えました。

 

共産党・内部留保課税を/岸田首相「慎重な検討必要」
 第二の提案は、「賃金が上がる国」にするために政治が責任を果たすことです。

 志位氏は「大企業の内部留保はアベノミクスの8年で130兆円も増え、466兆円にも達している。40兆円もの大企業減税が行われてきたことが一因だ」と指摘。日本共産党が提案した大企業の内部留保課税を紹介し、「政治の責任で賃上げを推進すべきだ」と強調しました。

 日本共産党は、「アベノミクス」で増えた大企業の内部留保に毎年2%、5年間で10兆円の時限的課税を行うことを提案しています。志位氏は、これには▽大企業への行き過ぎた減税の不公平をただす▽適切な控除を設けて「賃上げ」と「グリーン投資」を促進する▽10兆円の税収を中小企業への支援にあてて最低賃金を時給1500円に引き上げる―という「一石三鳥」の効果があると強調しました。

 田村氏は、諸外国の最低賃金はイギリスでは4月から6・6%引き上げて9・5ポンド(1520円)へ、ドイツでは7月から14・8%引き上げて12ユーロ(1620円)になると指摘。「物価高騰対策として日本でも最賃の大幅引き上げを決断すべきだ」と求めました。岸田首相は「内部留保への課税については、慎重な検討が必要になる」などと答えました。

 

共産党・年金削減の中止を/岸田首相、答えず
 第三の提案は、社会保障と教育予算を経済力にふさわしく充実することです。
 志位氏は、6月から年金支給額がさらに減額されようとしていると指摘し、物価高騰時の減額は「あまりにも理不尽だ」と厳しく批判。「持続可能にするため」と言うが、現役世代の年金不信をひどくするだけだと強調し、年金削減の中止と、低すぎる年金の底上げを求めました。

 田村氏は、2019年の世論調査で「公的年金制度が信頼できない」との回答が65%に上るとして認識をただしました。
 岸田首相は年金削減については答えず、「信頼を確保することが重要だ」としか述べませんでした。

 教育費の負担軽減について志位氏は、大学の学費を半分にし、入学金制度の廃止、給付奨学金の抜本拡充を求めました。
 田村氏は、食材の高騰が学校給食に影響を与えており、給食費無償の要求に政府は、地方創生臨時交付金を使えると言うが「1年限りの交付金だ」と指摘。憲法制定後の1951年に、日本共産党議員の質問に政府が教科書、学用品、学校給食などを無償とすることが理想だと答えたことをあげ、「いまだ実現していないことが問題だ」と批判。給食費無償化に向け全国で負担軽減を行うよう求めました。

 

共産党・再生エネ大規模に/岸田首相「バランスよく活用」
 第四の提案は、気候危機打開を日本の産業と経済成長の大戦略とすることです。

 志位氏は「日本のエネルギー自給率は10%程度。先進国で最低水準だ」と指摘。「原油価格高騰は、いつまでもエネルギーを外国に頼る危うさを示している」とただしました。

 岸田首相は「エネルギー自給率の向上は重要だ」としつつ「原子力や火力を含む多様なエネルギー源をバランスよく活用する」などと答えました。

 志位氏は、日本共産党が提案した2030年までに省エネと一体に再エネで電力の50%をまかない、二酸化炭素を最大60%削減する「2030戦略」にふれ、気候危機打開へ向け、100%国産の再エネの大規模普及を図るべきと強調。原発即時ゼロ、石炭火発からの撤退を決断するよう求めました。また、農業再生は持続可能な社会のカギだと指摘。37%まで落ち込んだ食料自給率をさらに引き下げる水田活用交付金の削減を中止するよう求めました。

 田村氏は、日本は1980年ごろまで太陽光、風力発電ともに世界のトップランナーだったとして、石炭火力や原発にしがみつき、再エネの普及で世界に後れを取ることは「日本経済と産業に大きなマイナスとなる」と批判しました。

 岸田首相は「海外市場が急拡大していく中、投資競争に対応できなかったことが太陽光や風力発電の競争力低下の要因の一つだ」と答えました。

 

共産党・男女の賃金格差なくせ/岸田首相「早期に制度改正」
 第五の提案は、ジェンダー平等の視点を経済政策に貫くことです。

 志位・田村両氏は、日本共産党が生涯賃金で1億円にものぼる男女の賃金格差をなくすため、企業に対し格差公表の義務づけを繰り返し求めてきたと言及。岸田首相が公表義務づけの方針を表明したことは一歩前進だとして、公表の徹底と、企業に是正計画の作成を義務づけ、国が実施を促す仕組みが必要だと強調しました。

 岸田首相は、早急に女性活躍推進法の制度改正を行うと明言。「労働者300人を超える事業主に、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を開示することを義務化し、この夏に施行するよう準備を進める」と答えました。


2022年5月26日(木) しんぶん赤旗

 

 

○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、二〇二二年度補正予算案について岸田総理に質問いたします。

 ロシアによるウクライナ侵略戦争を一日も早く終わらせてほしい、日本と世界の人々の切実な願いとなっています。我が党は、国連憲章違反を糾弾するという一点で国際社会の一致結束を呼びかけてきました。

 国連では、百四十を超える国と地域、国家体制も宗教や文化も異なる国々がロシア非難決議に賛成しました。この国連憲章守れの団結を更に広げる外交こそ最も求められているのではありませんか。それは東アジアの平和と安定にも大きく寄与すると考えますが、総理の認識をお示しください。

 バイデン米大統領は民主主義対専制主義の闘いと表明し、岸田総理は価値観を共有するG7主導の秩序の回復と繰り返しています。

 英国のミリバンド元外相は、米CNNの討論番組で、ウクライナ問題は欧州の安全という枠を超えて、世界の秩序をどうするかの問題だと指摘し、西側は民主対専制という構図を取るべきではないと警告しています。また、シンガポールの元外務次官キショール・マブバニ氏も、ロシアの侵略反対では非常に大きな国際的一致があるのに、西側の構図を押し付けてしまえば途上国は付いていけないと批判しています。

 総理は、これらの指摘をどう考えますか。日本政府が行うべきは、あれこれの価値観で世界を分断することではなく、中国を含むアジアの国々にロシアは国連憲章を守れという共同を広げることではありませんか。

 戦争の心配のない東アジアをどう実現するかが問われています。

 二十三日に発表された日米首脳共同声明では、日米同盟の強化として、米国の拡大抑止が強靱なものであり続けることを確保するとしています。拡大抑止とは、日本の安全保障のためには米国の核使用を認めるということでしょうか。それは、広島、長崎の惨禍を再び引き起こすことではありませんか。また、拡大抑止は核軍拡を招くものであり、総理の言う核兵器のない世界を目指すことと矛盾するのではありませんか。

 共同声明では、岸田総理が防衛費の相当な増額を確保する決意を表明し、バイデン大統領はこれを強く支持したとあります。相当な増額とは幾らの増額ですか。五年以内にGDP比二%以上の防衛予算という自民党の提言を政府の方針とするのですか。その財源は消費税増税ですか、社会保障予算の抑制、削減ですか、それとも、国債発行で、安倍元首相が政府の子会社と称した日本銀行に引き受けさせるのですか。財源についてノーアイデアで米国と約束するなどあり得ません。明確な答弁を求めます。

 核兵器には核兵器、軍事には軍事のエスカレーションでは、東アジアの平和を構築することはできません。ASEAN十か国と米国、中国、日本、韓国など八か国は、東アジア・サミットという平和の枠組みをつくっています。この活用、強化を我が党の志位和夫委員長がNHK「日曜討論」で提案し、総理は、平和の枠組みは重要と答えました。では、東アジアに分断、排除ではなく、包摂的な平和の枠組みを構築するため、どのような外交努力をするのでしょうか、お答えください。

 物価高騰への対策として、補正予算案がようやく提出されましたが、具体の施策は、実質、ガソリン元売価格の抑制だけです。食用油三九%、生鮮食料品一二%、電気代二一%など、生活に不可欠な品目ほど値上げ幅が大きいのに、これで物価高への対策になるのでしょうか。

 第一にやるべきは、消費税五%への減税とインボイス中止です。
 消費税減税は、所得の少ない人ほど効果が大きく、中小企業・業者ほど税負担の軽減につながります。物価高騰への最も有効な政策ではありませんか。これを拒否するならば、生活必需品全般にわたる物価高騰にどのような対策を取るのでしょうか。

 暮らしの危機の一方で、大企業は、円安の恩恵等により、軒並み史上最高益となっています。三月期決算では、連結純利益上位三十社のうち二十二社が史上最高益、株主配当も大きく増加しています。読売新聞の世論調査では、政府が優先的に取り組むべき対策として、大企業や富裕層への課税強化など税制の見直しと答えた人は五〇%に上ります。大企業、富裕層に応分の税負担、消費税は減税、これこそが国民が求める公正な税制の在り方ではありませんか。

 第二に、本気の賃上げを政治の責任で行うことです。
 大企業の空前の利益によって、このままでは、また内部留保が大きく積み増すことになります。我が党が提案した内部留保課税は、アベノミクスで積み増した内部留保に年間二%で五年間課税し、中小企業の賃上げを直接支援するというものです。その際に、内部留保から人件費とグリーン投資に充てた分を控除することも提案しています。課税することで、内部留保積み増しではなく、利益を賃上げに回すというインセンティブにもなります。

 総理は、四百六十六兆円にも達した大企業の内部留保について、どういう認識をお持ちですか。人件費やグリーン投資へと回す仕組みをつくることこそ経済の好循環に寄与すると考えますが、いかがですか。

 米国では、政権与党である民主党が、最低賃金時給十五ドル、日本円で千九百五十円への引上げ法案を検討、ドイツでは、十月一日から一四・八%の引上げで十二ユーロ、千六百二十円、イギリスでは、四月から六・六%の引上げで九・五ポンド、千五百二十円の最賃を実施しています。物価高騰への対策として、日本でも最低賃金の大幅引上げを決断すべきではありませんか。

 第三に、年金引下げの中止、教育費負担の軽減などにより、家計を直接応援することです。
 年金引下げの根拠は、コロナ危機による現役世代の賃金の減少です。これが、物価高騰のさなかに来月から年金減額を行う理由になるのでしょうか。二〇一九年の世論調査で、既に公的年金制度が信頼できないが六五%に上っていることを総理はどう思われますか。

 食材の高騰は、学校給食に影響を与えます。給食費無償の要求に、政府は地方創生臨時交付金を使えると言いますが、これは一年限りの交付金です。憲法制定後の一九五一年、我が党議員の質問に政府は、教科書、学校用品、学校給食などを無償とすることが理想と答弁しています。いまだ実現していないことが問題です。無償化に向けて、直ちに給食費負担軽減を全国どこでも実施すべきではありませんか。

 第四に、気候危機打開を日本の産業と経済成長の大戦略にすることです。
 原油高によってエネルギーの自給率が問われています。純国産エネルギーである再生可能エネルギーを二〇三〇年に五〇%、五〇年に一〇〇%の目標を持ち、実現への戦略を直ちに持つべきではありませんか。

 一九八〇年頃まで、日本は、太陽光、風力発電とも世界のトップランナーでした。なぜその技術・製品開発が衰退したのか、政府はどのように分析していますか。石炭火力や原発にしがみつき、これ以上、再生可能エネルギーの普及で世界に後れを取ることは、日本の経済、産業の発展に大きなマイナスとなることは明らかですが、総理にその認識はありますか。

 第五に、ジェンダー平等の視点を経済政策に貫くことです。
 我が党は、男女賃金格差の公表を企業に義務付けることを国会質問で繰り返し要求し、政府は実施を表明しました。更に一歩進めるために、格差是正の目標を政府が持ち、企業に格差是正の計画策定とその実施を求めることが必要ではありませんか。

 以上、総理の答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 田村智子議員の御質問にお答えいたします。

 国連憲章を守ることを求める外交についてお尋ねがありました。
 百四十一か国が賛成したウクライナに対する侵略決議は、国連憲章に違反するロシアのウクライナ侵略を最も強い言葉で遺憾とし、ロシア軍の即時完全無条件の撤退を求めています。一刻も早くロシアが侵略等をやめるよう、国際社会が結束して毅然と対応し、この決議の実施に至ることが重要であると考えます。

 そのために、我が国として、G7を始めとする普遍的価値を共有するパートナーと連携しながら、力による一方的な現状変更の試みに対抗する国際社会の取組を主導してまいりたいと思います。

 拡大抑止についてお尋ねがありました。
 今回の日米首脳会談において、バイデン大統領から、核を含むあらゆる種類の能力によって裏付けられた、日米安全保障条約の下での日本の防衛に対する米国のコミットメントが表明され、私とバイデン大統領との間で、今後も拡大抑止が揺るぎないものであり続けることを確保するため、閣僚レベルを含め、日米間で一層緊密な意思疎通を行っていくことで一致をいたしました。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、米国の拡大抑止は、我が国の安全保障にとって極めて重要です。そして、我が国を取り巻く安全保障環境など、厳しい現実に対応し、そして、国の安全保障を確保しつつ、同時に、核兵器のない世界という理想に向けて努力をする、このことは決して矛盾するものではないと考えています。

 この現実から理想に至るまでのロードマップを示しながら、唯一の同盟国である米国との信頼関係を基礎としつつ、現実的な取組を進めていく考えであります。

 防衛費の増額とその財源についてお尋ねがありました。
 我が国の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、まず行うべきことは、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、具体的かつ現実的に議論をし、積み上げていくことです。その結果、防衛力の抜本的強化に当たって必要となるものの裏付けとなる予算をしっかり確保していく考えであり、こうした観点から、先般の日米首脳会談では、防衛費の相当な増額を確保する決意を述べたところであります。

 こうした考えの下、防衛費の内容、規模等について、新たな安全保障戦略等の策定や、今後の予算編成過程を通じて検討をしてまいります。その際に、防衛費の安定的な確保をする観点から、この財源の在り方についても併せて検討をしてまいりたいと考えます。

 東アジアでの平和外交についてお尋ねがありました。
 自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、同盟国、同志国とも連携し、日米豪印の取組等も活用しながら、戦略的に取り組み、地域の平和と繁栄に貢献をしてまいります。

 御指摘の東アジア首脳会議については、首脳間で地域共通の課題について率直な対話を行う重要な機会、会議であると考えており、今後ともしっかりと活用をしてまいりたいと考えます。

 物価高騰対策等についてお尋ねがありました。
 物価高騰等への対策としては、事業規模十三兆円の総合緊急対策において、家計にとって重大な問題であるガソリン価格や小麦価格等の国内価格の上昇を抑制するとともに、低所得の子育て世帯への給付金の支給や、地方自治体による地域の事情に応じたきめ細かな生活困窮者支援を後押しすることとしており、これらを迅速に実行してまいります。

 このように、コロナ禍において物価高騰に直面し、真に困窮する方々に支援を行うこととしており、御指摘の消費税減税を行うことは考えておりません。

 また、インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、十分な経過措置を設けるとともに、事業者への支援と周知、広報を行ってまいります。その上で、税制については、これまでも所得再分配機能強化を行ってきており、今後も、成長と分配の好循環の実現に向け、総合的に検討をしてまいります。

 内部留保への認識等についてお尋ねがありました。
 大企業を中心に、高水準の企業収益を背景として内部留保が増加してきましたが、こうした企業収益が賃金や設備投資に向けられることで、次の成長につなげ、持続可能な経済をつくり上げていくことが重要であると考えています。

 このため、賃上げ税制の抜本強化に加え、公的価格の引上げ、中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備などにより、企業の賃上げを促してまいります。あわせて、最低賃金について、できる限り早期に全国加重平均千円以上となるよう取り組んでいきます。

 また、デジタル投資やカーボンニュートラルに向けた投資を促進するため、税制も活用し、企業の積極的な設備投資、促してまいります。

 また、内部留保への課税については、二重課税に当たるとの指摘があることなどから、慎重な検討が必要になると考えております。

 公的年金制度と給食費負担軽減についてお尋ねがありました。
 年金制度への信頼を確保することは重要です。公的年金制度については、将来世代の負担が過重にならないようにしつつ、長期的な給付と負担のバランスを確保し、将来にわたって持続可能な仕組みとしており、この仕組みの下で年金を着実に支給してまいります。

 学校給食費については、家庭の経済状況が厳しい児童生徒について就学援助等により支援を実施しており、更なる負担軽減については、各自治体において地域の実情に応じて検討いただくものですが、コロナ禍において物価高騰等に直面する子育て世帯を支援するため、地方創生臨時交付金により、各自治体による学校給食費の負担軽減に向けた取組を後押ししてまいりたいと考えます。

 再生可能エネルギーの衰退要因の分析と普及拡大の戦略についてお尋ねがありました。
 再生可能エネルギーについては、国民負担の抑制と地域の共生を図りながら最大限導入に取り組むというのが政府の方針です。

 他方で、資源が乏しい我が国において、単一の完璧なエネルギー源がない現状では、原子力や火力を含む多様なエネルギー源をバランスよく活用することで、エネルギーの安価で安定的な供給を確保してまいります。

 海外市場が急拡大していく中で投資競争に対応できなかったことが、太陽光や風力発電の競争力低下の要因の一つと考えています。

 今後は、再生可能エネルギーを含め、政府が投資の呼び水となる予算や規制改革、ルール整備などの政策を総動員することによって、民間の投資を促すインセンティブを与えるといった工夫により、日本の経済、産業の発展につなげてまいります。

 男女間賃金格差についてお尋ねがありました。
 労働者の男女間賃金格差を解消していくため、早急に女性活躍推進法の制度改正を実施し、労働者三百人を超える事業主に対し、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を開示することを義務化し、この夏に施行できるよう準備を進めます。

 同法では、企業が管理職割合や平均勤続年数など、男女間賃金格差の要因に関する状況把握を行い、企業としての目標を定め、行動計画を策定してPDCAを回す仕組みに既になっており、政府としては、男女間賃金格差の開示を義務付けることで、女性活躍推進法に基づき各企業の取組を加速させ、格差の更なる縮小を目指してまいります。(拍手)


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