活動報告

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家賃保証業/借家人の権利を守れ/法規制を求める/参院委で田村氏

 日本共産党の田村智子議員は17日の参院国土交通委員会で、家賃保証会社が滞納などを理由に一方的に借り主を追い出して乱暴な家賃支払い請求をする実態を告発し、借り手の権利を守り支援する法整備を求めました。

 賃貸住宅を借りる際、連帯保証人がいない人に家賃債務保証をする支援が増加し、近年は家賃滞納時に賃料を保証する「家賃保証会社」と契約する事例が大半です。しかし、家賃保証会社が家賃滞納を理由に借主に無断で玄関の鍵を変えたり、家財道具を全て処分するなど悪質な追い出しも生じています。

 昨年12月には最高裁が、3カ月の家賃滞納で借主に通知せず契約を解除できるなどとする家賃保証会社「フォーシーズ」の契約条項を違法とする判決を出しました。田村氏はそれを紹介し、契約からこうした違法条項を排除する必要があると強調しました。

 さらに、保証事業者の登録制度がつくられたものの、登録していない業者も存在すると指摘。登録義務付け等の法規制を求めました。国交省の長橋和久不動産・建設経済局長は「登録制度や登録されている会社の内容などの情報の提供に努める」と述べるのみでした。

 田村氏は、契約には指定された保証会社しか選択肢がなく、多くの場合家賃1カ月分が必要とされるなど、借り手の権利がないがしろにされていると指摘。「借り手が保証業者を選択・変更でき、連帯保証人での契約を認めるなどの改善が必要だ」と主張しました。斉藤鉄夫国交相は「賃借人の権利保護のために、家賃保証業の適正な運用を確保する」と答弁しました。


2023年3月18(土) しんぶん赤旗

 

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 家賃債務保証について質問いたします。

 アパートなどを借りる際に、連帯保証人がいないという方にNPO法人などが家賃債務保証を行うという支援がリーマン・ショック後に取り組まれてきました。近年、この家賃債務保証が事業として急拡大し、今では保証会社との契約が賃借契約の条件とされることがほとんどになっていて、国交省の調査でも利用率は八割に及んでいます。

 昨年十二月十二日、家賃保証会社フォーシーズの契約条項について、消費者契約法十条違反という最高裁判決が出されました。
 資料の一を御覧ください。

 三か月の家賃滞納で借主に通知せずに賃貸借契約を解除できるという追い出し条項。二か月以上の滞納で、本人と連絡が取れず、電気、ガス、水道、郵便物などの確認から、部屋を利用していない、今後も利用する意思がないと保証会社が判断したときは明け渡したとみなす明渡し条項。これらが消費者の利益を一方的に害するとして、この条項による契約の禁止、条項が記載された契約書用紙の廃棄が命じられました。鍵を取り替えられて部屋に入れないとか所有物を勝手に処分されるなど、不動産所有者でもない保証会社が法的手続も取らずに追い出しをしていたことが厳しく断罪されたことになります。

 これは個別案件にとどめてはならないと考えます。全ての家賃債務保証契約から違法な条項を排除する必要があると考えますが、国交省はどう対応されますか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 委員御指摘の最高裁判決では、家賃債務保証会社が使用していた契約条項の一部が無効と判断され、今後、当該条項を含む契約書の使用が禁じられたものと承知しております。

 これを受け、国土交通省では、現在、業界団体等を通じ、他の家賃債務保証事業者に対して、同様の契約条項を使用していないかや、使用している場合の見直し方針などについて調査をしているところです。この調査によりまして今般の最高裁判決で禁じられた契約条項を使用していることが判明した業者に対しては、当該契約条項の使用をしないよう是正を促してまいります。

○田村智子君 是正しなければならないんですが、問題は、法的な仕組みがあるかどうかというところを問題にしたいんです。
 二〇一七年に住宅セーフティーネット法の改正が行われ、家賃債務保証事業者の登録制度がつくられました。衆議院での法案審議の際、我が党の清水忠史議員が、フォーシーズによる人権侵害の取立て、これを幾つも事例を挙げて指摘をいたしました。しかし、フォーシーズは、二〇一七年十月に何事もなく登録事業者となったと。で、今回の最高裁判決なんですよ。

 事業の適正化を図るということを目的としたはずの登録制度は、違法な条項、違法行為、人権侵害、これらを排除できる仕組みになっているんでしょうか。

○政府参考人(塩見英之君) お答えを申し上げます。
 国土交通省が定めております委員御指摘の家賃債務保証業者登録規程でございますけれども、これは業務の適正な運営を確保することを目的に掲げますとともに、家賃債務保証業者によります法令遵守を確保することとしてございます。

 具体的には、国土交通大臣が家賃債務保証業者を登録するに当たりまして、法令遵守に関する内部規則等が整備されていることを求めますとともに、家賃債務保証の実施に関する法令等を遵守させるために必要な措置が講じられていることについても求めているところでございます。また、登録後におきましても、最終的には登録の取消しも背景としながら、登録事業者に対しまして必要な指導、助言、勧告を行うことができる仕組みとしておりまして、この仕組みによりまして、登録事業者によります違法な条項の使用でありますとか違法行為につきまして未然の防止や必要な是正を図るということにしているところでございます。

○田村智子君 その登録事業者だったフォーシーズが最高裁で断罪されたんですよ。ここ、どう考えるかだと私は思いますね。
 私の事務所から消費者庁に依頼をして、家賃債務保証、家賃保証というキーワードで全国消費者ネットワークシステムでの検索をしてもらいました。資料の二枚目です。

 家賃保証制度がつくられたのは二〇一七年の十二月なので、この二〇一七年度の件数見ると八百六十四件、まあこれがまだ登録制度が普及していないときですよね。で、二〇二〇年度、二一年度は九百九十五件、昨年度も八百三十一件と、高止まりという状況です。実際の相談件数は減っているんだという資料もあるんですけれども、こういうキーワードで全国のネットワークシステムで調べれば決して減っていない。

 資料の三枚目、全国借地借家人組合連合会が昨年秋、三週間という短期間でしたが、ウェブ調査を行って百四十二人の方から回答を得ています。人権侵害と思われる事例が幾つもあります。朝方車で来て駅までずっと付いてきて、その間支払いしろよと大声を出していた。一時間から二時間玄関のドアをどんどんとたたき、ドアホンを何度も鳴らされた。家賃支払が一日でも遅れると家賃プラス三千円の請求が来る。一分に十回の電話も掛かってきた。退去時に高額請求され、納得いかずサインもしていないのに勝手に立替えが行われ、代位弁済ですね、で、保証会社から高額請求を受けた。これらの事例がいっぱい出てくるんですよ。

 家賃滞納というのは生活困窮、収入減少などが主な原因ですから、これ払う約束しても払えないということが繰り返されるという危険性はあるわけですね。そうすると、人権侵害の取立てが大変生じやすいと思います。法規制をしなければ命にも関わる深刻な事態が起きかねません。

 貸金業というのは法律によって事業者の登録が義務付けられ、行政による指導監督の対象となっています。家賃の求償として借金の取立てをする事業者に法的な規制がない、登録は義務付けられてもいない、それでよいのかと考えますが、大臣の認識はいかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 家賃債務保証業者登録制度では、貸金業法で規制されているような取立て行為を禁ずる内部規則等が設けられていることを登録要件としております。

 具体的には、不適当な時間帯における電話や訪問の禁止、勤務先への電話や訪問の禁止、退去を求められた場合に居座ることの禁止などを内部規制として、内部規則として定めることを求めております。また、登録事業者に対しては指導等を行うことができることとしており、具体的には、国土交通省において、賃借人等から求償権の行使に関する相談をいただいた際には、その内容に応じて当該業者に対する確認や注意喚起などを行っております。今後は、さらに、消費者から寄せられた相談事項を踏まえ、登録事業者に対する指導等をより積極的に行ってまいります。

 国土交通省としましては、登録事業者を活用するよう広く国民に周知を図るとともに、消費者庁とも連携しながら、登録制度に基づき家賃債務保証業の適正な運営を確保してまいりたいと思っております。

○田村智子君 だったらなぜ登録を義務付けないのかという問題が出てくるんですよ、なぜ義務付けないのか。
 そしてまた、先ほど、例えば貸金業法、上限金利定めています。だけども、この家賃の保証の場合は内部規定なんですよね。家賃保証会社への支払い滞った場合の利率について法的な規制ってあるんでしょうか。いかがですか。

○政府参考人(塩見英之君) お答えを申し上げます。
 家賃債務保証業者登録規程におきましては、保証委託契約におきまして、消費者契約法第九条の規定によりその一部が無効となる違約金条項等を定めてはならないということとしてございます。

 ここで消費者契約法第九条と申しますのは、消費者が支払期日までに支払うべき金銭を支払わないという場合における損害賠償の額の予定や違約金の定めの条項につきまして、支払期日の翌日から実際の支払日までの期間に応じまして年一四・六%を乗じて計算した額を超える定めにつきましては、その超える部分については規定が無効であるというのが消費者契約法の第九条でございます。

 したがいまして、家賃債務保証業者登録規程では、こうした無効となる契約条項、すなわち年一四・六%を超える違約金条項等を定めてはならないということをこの登録規程では定めているところでございます。

○田村智子君 ならば、法律で明示すべきなんじゃないでしょうかね。今、自主ルールとして書かれているんですよ。年利一四・六%を超える遅延損害金、損害賠償、違約金等を請求することを行ってはならないと。これ、自主ルールに任せる、あるいは今みたいに直接の法規制ではないやり方にそのまましていくのかということなんですね。

 一番私問題にしたいのは、先ほど来言っているとおり、登録制度に、つまり登録事業者にならなくともこの事業が可能になってしまうということなんですよ。ここはせめて義務付けをすべきなんじゃないでしょうか。

 あわせて、今すぐにできることとしては、宅地建物取引業法、宅建法ですね、三十五条、重要事項説明に、保証会社が登録事業者か否か、登録事業者でないというところを使う場合には、なぜその事業者を使うのか、その理由の説明を義務付けるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(長橋和久君) 宅地建物取引業法に基づく重要事項説明は、取引の対象となる宅地や建物に関して説明すべき必要な事項、これは例えば登記上の権利関係あるいは法令に基づく権利の制限の内容など当たりますが、それを宅地建物取引業者に説明することを義務付けているものであり、その説明対象とする事項は法令上明記しております。

 家賃債務の保証契約に関する事項については重要事項説明の今対象となっておりませんが、保証会社に関する情報が提供されることは借主にとって判断材料になると考えられることから、関係業界と協力を得ながら、例えば登録制度の内容ですとかその登録されている会社の情報など、そうした情報の提供に努めてはまいりたいと思います。

○田村智子君 是非やっていただきたいんですね。法改正も是非検討いただきたいんです。
 そもそも、家賃債務保証って何を目的としているのかなんですね。始まりは、高齢者、障害者、低所得者の方にも住まいを保障するための制度で、家賃滞納があれば支援策につなげるということが求められるはずなんですよ。ところが、今の家賃保証はまさにビジネスになっていて、借り手の権利が極めて弱い。

 例えばなんですけど、保証会社が事前審査を行って、これ賃貸借契約の事前審査なんですよ。その審査基準も分からないと。支払能力が問題視されれば、住宅確保が困難な人、低所得な人が審査に落とされて賃貸借契約ができないという事態にもなりかねません。保証会社との契約に連帯保証人を必要とするという事例も増えています。連帯保証人が必要ないから保証会社だって言われているのに、その保証会社を使うのに、契約するのに連帯保証人が必要と言われちゃう。何のための制度かなんですね。それから、保証会社がもう物件に付いているんですよ。だから、ほかの保証会社を選べない。また、私は連帯保証人が確保できるから使いたいと言っても認められない。また、保証会社との契約金というのは、多くの場合、家賃一か月分を必要としていて、更新料も一年ごとに徴収されるため、借り手の負担がより重くなっていると。

 これらは、私は借り手の権利が余りにもないがしろにされているというふうに思えるんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 家賃債務保証は、賃貸借契約を締結するに当たり、連帯保証人を見付けることができない賃借人がこれを利用することにより賃貸借契約が締結可能となるため、賃借人の居住の安定を図る上で一定の役割を果たしていると認識しております。ただ、賃借人が十分な情報を与えられないまま不適切な保証業者と契約を結ぶことのないようにしなければならないと考えます。このため、賃借人の権利が保護されるよう、保証契約前の書面交付や説明を徹底させ、家賃債務保証業の適正な運営を確保してまいります。

 また、何らかの事情で家賃債務保証を受けられない賃借人について、居住の安定確保に努めることも必要です。この点については、居住支援法人が関わることで入居が円滑化する事例もあることから、財政支援等を通じ、こうした取組を推進してまいりたいと思っております。

○田村智子君 これ、二〇一七年の住宅セーフティーネット法に位置付けるときに日弁連からも厳しい意見が付いています。是非見直しをしていただきたい。

 せめて、保証業者を選択、変更できる、保証会社ではなく連帯保証人での賃貸借契約を認めるなど、こういう改善はすぐにも行っていただきたいし、貸し手の側の家賃収入保証というのは保険なども考え得ると思いますので、こういった制度の改正求めまして、質問を終わります。

 


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