活動報告

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社会保障削減やめよ 参院本会議 田村氏、制度改善迫る
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(写真)代表質問をする田村智子議員=28日、参院本会議

 日本共産党の田村智子議員は28日の参院本会議で2013年度決算に対する代表質問を行いました。社会保障の切り捨て路線の撤回、制度の充実・改善を求めました。

 田村氏は、介護保険利用料の負担増や介護報酬のマイナス改定について「制度始まって以来、最悪の連続改悪。深刻な『介護難民』をさらに広げることになる」と述べ、社会保障切り捨てを批判しました。

 安倍晋三首相は、「介護職員の処遇改善や中重度の要介護者へのサービスの充実を行う。懸念はあたらない」と述べ、批判にまともに答えませんでした。

 後期高齢者医療制度の低所得者保険料引き上げ、さらなる保険料値上げにつながる国民健康保険の都道府県単位化や、入院食事代の患者負担増のたくらみみについて、「低所得者がさらに医療から排除されてしまう」と批判しました。

 田村氏は、生活扶助費減額など生活保護基準の引き下げについて就学援助など他の制度にも影響を与え、18歳未満の6人に1人とされる子どもの貧困対策にも逆行すると強調しました。安倍首相は「(生活保護基準の引き下げの)影響ができるだけ及ばないように配慮する」と答えました。

 田村氏は、社会保障予算の自然増さえ認めない連続改悪の狙いを批判。社会保障充実の財源として、不要不急の大型公共事業や過去最大となる軍事費の見直し、応能負担原則の徹底による大企業利益や富裕層に対するまともな課税が必要だと主張しました。

 田村氏はまた、復帰直後に安倍政権が編成した13年度予算について、大企業のためのインフラ(社会基盤)整備に重点化した大型開発拡大路線の復活だったと告発。公共事業費は決算ベースで前年度比2・1兆円も増額し、13年度以降の新規事業は総額で50兆円を超す規模に膨らんでいることを指摘しました。

 田村氏は、介護保険利用料の負担増や介護報酬のマイナス改定について「制度始まって以来、最悪の連続改悪。深刻な『介護難民』をさらに広げることになる」と述べ、社会保障切り捨てを批判しました。

 安倍晋三首相は、「介護職員の処遇改善や中重度の要介護者へのサービスの充実を行う。懸念はあたらない」と述べ、批判にまともに答えませんでした。

 後期高齢者医療制度の低所得者保険料引き上げ、さらなる保険料値上げにつながる国民健康保険の都道府県単位化や、入院食事代の患者負担増のたくらみみについて、「低所得者がさらに医療から排除されてしまう」と批判しました。

 田村氏は、生活扶助費減額など生活保護基準の引き下げについて就学援助など他の制度にも影響を与え、18歳未満の6人に1人とされる子どもの貧困対策にも逆行すると強調しました。安倍首相は「(生活保護基準の引き下げの)影響ができるだけ及ばないように配慮する」と答えました。

 田村氏は、社会保障予算の自然増さえ認めない連続改悪の狙いを批判。社会保障充実の財源として、不要不急の大型公共事業や過去最大となる軍事費の見直し、応能負担原則の徹底による大企業利益や富裕層に対するまともな課税が必要だと主張しました。

 田村氏はまた、復帰直後に安倍政権が編成した13年度予算について、大企業のためのインフラ(社会基盤)整備に重点化した大型開発拡大路線の復活だったと告発。公共事業費は決算ベースで前年度比2・1兆円も増額し、13年度以降の新規事業は総額で50兆円を超す規模に膨らんでいることを指摘しました。


【速記録】2015年1月28日 参議院本会議

○田村智子君 日本共産党を代表して、ただいま議題となりました二〇一三年度決算について安倍総理に質問いたします。
 二〇一三年度予算は、政権復帰直後の自民党安倍政権によって編成されました。緊急経済対策だとして大型開発拡大の路線を復活させ、公共事業関係費は、決算ベースで前年度比プラス三八%、二・一兆円もの増額となりました。
 その中身も、大企業のためのインフラ整備に重点が置かれ、二〇一三年度以降の新規事業は、ダム建設三兆二千五百億、整備新幹線三兆七千六百億、国際コンテナ戦略港湾四千二百億、高速道路三十三兆円、さらに、超高層ビルを乱立させる大規模再開発への補助やリニア新幹線に伴う再開発事業費を含めると五十兆円を超える規模となります。
 バブル崩壊後の九〇年代にも景気対策として巨大開発が行われましたが、船の来ない港、再開発の失敗、赤字の空港など、国と地方の財政は一層悪化し、その後の自民党政権も公共事業予算を縮小せざるを得ませんでした。
 総理、巨大プロジェクトを乱立させながら財政再建を進めることができるのでしょうか、お答えください。
 こうした巨大プロジェクトは、建設産業の人手不足、資材不足を深刻にしています。その影響で、東日本大震災の被災地では、資材不足、人手不足、これらに伴う費用の高騰により、公共事業の入札不調が二割から三割にも達し、復興の遅れが指摘されています。
 総理、巨大プロジェクトが被災地復興の足を引っ張っていると認識されていますか。
 二〇一三年度復興特別会計の予算執行は六三・五%にとどまりました。住宅やなりわいの再建の遅れを直視し、入札不調への対策、支援拡充のための被災者生活再建支援法の改正などが必要と考えますが、いかがですか。
 自民、公明、民主の三党合意である税と社会保障の一体改革は二〇一三年度から実行に移されました。社会保障のためとして消費税増税を強行しながら、高齢者人口の増加に伴う当然の社会保障予算増額さえも認めないという路線に踏み込み、今次々と社会保障の切捨てが具体化されています。
 介護保険制度では、利用料の負担増、要支援者からのホームヘルプサービスやデイサービスの取上げ、介護報酬のマイナス改定など、制度始まって以来最悪の連続改悪が狙われています。介護労働者の平均賃金は全産業の平均よりも月額十万円も低く、深刻な人手不足となっています。また、特別養護老人ホームの三割は赤字経営です。事業者も労働者もぎりぎりの状態で介護を支えているのです。
 介護報酬マイナス改定に怒りの声が沸き起こるのは当然です。労働者の処遇改善に逆行する人手不足や赤字経営がより深刻となり、事業の縮小、撤退を引き起こすとの指摘をどう受け止めますか。今でも深刻な介護難民、介護離職を更に広げるとの認識はないのですか。
 医療制度では、保険料、医療費とも負担が重過ぎるという声が切実です。ところが、政府は、七十五歳以上の低所得者の保険料を二倍から十倍にも引き上げる、国民健康保険料の値上げにつながる国保の都道府県単位化、入院食事代の患者負担増など、制度改悪を進めようとしています。
 保険料が払えず正規の保険証を受け取れない、窓口負担が払えないなど、経済的理由から受診を控えるという問題が深刻になっています。医療の負担増を進めれば、低所得者が更に医療から排除されてしまうのではありませんか。
 生活保護制度では、二〇一三年度に生活扶助費の基準を見直し、三年間で七百四十億円の予算抑制を行うとしています。特に子供のいる世帯での減額が大きく、その生活を圧迫しています。これは、子供の貧困対策に逆行するものではありませんか。生活扶助費を元に戻し、住宅扶助の引下げや冬季加算廃止の方針を撤回すべきと考えますが、いかがですか。
 生活保護基準引下げは就学援助など他の制度に影響を与えることになる、このことを私は二〇一三年の予算委員会で取り上げました。就学援助は、経済的に苦しいけれど生活保護を受けていない小中学生に学用品や給食費などを支援する制度です。政府は影響がないようにすると答弁しましたが、危惧された事態が各地で生じています。
 横浜市では、生活保護基準引下げに連動して、今年度、九百七十七人が就学援助の対象外となり、そのうち七百六十二人は受けていた就学援助を打ち切られました。全国で三百十八の自治体が支給基準を引き下げたことが分かっています。就学援助に影響しないよう努力するという約束はどうなったのですか。多数の子供たちが支給対象から外れてしまったことに、政府はどのような対策を行うつもりですか。
 生活保護制度の改悪は、生活保護受給世帯を蔑む風潮を助長し、貧困に苦しみながら保護申請をためらう、諦める、行政が保護申請を回避させようとするなどの事態にもつながっています。
 昨年末、子供の貧困を取材したNHKスペシャルは、お茶漬けだけの晩御飯、栄養バランスどころかおなかいっぱい食べることもできない子供たちの姿を伝え、私も大きな衝撃を受けました。
 十八歳未満の子供の貧困率は一六・三%、六人に一人が貧困状態にあります。子供に貧困の自己責任を負わせることは絶対に許されません。貧困状態にある子供たちを探し出してでも救い出す、これこそ国と自治体に求められているのではありませんか。そのためにも、政府が子供の貧困率を減らす数値目標を定め、子供のいる世帯の生活保護捕捉率を引き上げるなどの対策を緊急に行うことが必要と考えますが、総理の見解をお聞きします。
 消費税増税は社会保障のためと言いながら、今年度消費税増税五兆円に対し、社会保障の充実予算は僅か五千億円にとどまっています。
 しかも、年金受給資格を保険料納入二十五年から十年にする法改正を行いながら、その実施は消費税を一〇%に引き上げたときという方針を変えていません。二十四年十一か月保険料を納めても一円の年金も受け取れない、これは国民の権利に関わる問題であり、長年改善が求められてきました。必要とする予算は年間三百から四百億円、これは政党助成金の予算程度であり、消費税一〇%と引換えにすることは許されません。
 政府も必要と認めた社会保障制度の充実は、予算の使い方を見直すことで直ちに実施すべきではありませんか。
 消費税増税は社会保障のためという宣伝は、もはや国民に通用しません。高齢者人口の増加に伴う社会保障予算の増額は、二〇二五年度がピークと言われています。この予算を抑え込めば、制度の連続改悪が容赦なく国民を襲うこととなります。これで社会保障の安心がどうして生まれるでしょうか。自然増を抑制するという路線は撤回すべきではありませんか。
 やるべきは、不要不急の公共事業や来年度過去最大となる軍事費を見直す、応能負担原則を徹底して大企業の利益、富裕層の所得にまともな課税を行うなどして社会保障予算を確保することではありませんか。
 日本共産党は、暮らしを追い詰め、景気を冷え込ませる消費税増税と社会保障の連続改悪を中止させるため、国民の皆さんと力を合わせ奮闘することを表明し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 田村智子議員にお答えをいたします。
 公共事業と財政健全化についてお尋ねがありました。
 公共事業関係費については、平成二十五年度一般会計決算において七兆九千七百五十二億円と、前年度比二兆一千九百九十二億円の増加となっております。これは、経済の底割れの回避とデフレからの早期脱却を図る観点から、公共事業の追加を含む経済対策を実施するために編成された平成二十四年度補正予算の多くが平成二十五年度に執行されたことなどによるものですが、このような財政支出は経済状況に応じた一時的な対応であり、いつまでも続けることを想定しているものではありません。
 また、安倍政権においては、経済再生と財政健全化を両立させることとしており、二〇二〇年度の財政健全化目標についてもしっかりと堅持し、本年夏までにその達成に向けた具体的な財政健全化計画を策定いたします。その際、歳出改革については、公共事業関係費を含め歳出全般にわたり聖域なく見直しを行ってまいります。
 人手不足、資材不足が被災地の復興に及ぼす影響等についてお尋ねがありました。
 被災地の復興事業を優先的に進めるため、政府としては、これまで、発注規模の大型化、生コンクリートのプラントの増設、さらには労務単価の引上げなど、累次にわたり加速化策を打ち出してきました。こうした対策により、復興事業は全体として着実に進んでいます。
 今後とも、人材や資材の状況を注視しながら、復興事業の円滑な実施のための対策をきめ細かく講じてまいります。
 一方、被災者生活再建支援制度の充実については、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して慎重に検討すべきものと考えます。
 介護報酬改定についてお尋ねがありました。
 高齢者が大きく増加する中、適切な介護サービスと介護人材の確保は重要な課題であります。今回の介護報酬改定は、こうした課題に取り組むため、介護職員の処遇改善や中重度の要介護者等へのサービスの充実を行うとともに、経営の実態を踏まえ、適正化を行うものです。改定率については、保険料等への影響も考慮して設定するものです。
 平成二十七年度からは、消費税財源により都道府県に設置した基金を活用し、地域の介護ニーズに対応した介護施設等の整備や不足している介護人材の確保を進めてまいります。したがって、御指摘のような懸念は当たりません。
 医療保険制度についてお尋ねがありました。
 医療保険制度では、低所得者が安心して医療を受けられるよう、負担を軽減するため、平成二十六年度から、国民健康保険等の保険料軽減の拡充、高額療養費制度における中低所得者の自己負担限度額の引下げなどを実施しています。さらに、平成二十七年度予算案では、低所得者が多い国保への財政支援の拡充などを実施することとしています。
 急速な少子高齢化の下、国民皆保険を堅持していくため、受益と負担の均衡が取れた制度となるよう、引き続き改革を進めてまいります。
 生活保護制度についてお尋ねがありました。
 生活扶助基準については、消費実態や物価を勘案して適正な水準となるよう段階的に見直しを進めています。住宅扶助及び冬季加算についても、最低限度の生活の維持に支障がないよう配慮しつつ、より適切な水準となるよう見直すこととしております。
 本年四月には、生活保護に至る前の段階にある生活困窮者への自立支援を強化する法律を施行することとしており、平成二十七年度予算案では、子供の学習支援を含め四百億円を計上しています。
 生活扶助基準の見直しに伴う他の制度への影響については、就学援助制度も含め、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限りその影響が及ばないよう対応することを政府の基本方針としています。
 今後とも、引き続き市町村に適切な対応を求めるなど、子供たちの教育を受ける機会が妨げられることのないよう取り組んでまいります。
 子供の貧困対策についてお尋ねがありました。
 政府としては、生活保護世帯に属する子供の高等学校等進学率や中退率、就職率等、子供の貧困に関する二十五の指標を掲げ、その改善に向けた重点施策を取りまとめた大綱を昨年八月に策定しました。同大綱に基づき、子供の貧困に関する指標の改善に向けて総合的に取組を進めてまいります。
 具体的には、教育費負担の軽減を図るため、高校生等奨学給付金の拡充や大学の無利子奨学金、授業料免除の充実を図っていきます。また、中学校等で貧困の子供を支えるスクールソーシャルワーカーの配置拡充を図っていきます。さらに、中学生に対する学習支援や保護者の学び直しの支援等の施策を推進し、子供の貧困に関する指標の改善に取り組んでまいります。
 社会保障予算についてお尋ねがありました。
 消費税増収分を活用した社会保障の充実について、平成二十七年度予算案では、限られた財源の中、施策の優先順位を付け、子ども・子育て支援新制度の予定どおりの施行などを優先的に実施することとし、受給資格期間の短縮など年金関係の措置は、法律の規定どおり、消費税率一〇%への引上げ時に実施することとしています。
 国土強靱化や安全保障など様々な課題に対応する中、社会保障関係費は高齢化に伴う自然増を含め約三十一兆五千億円、前年度に比べ約一兆円増となっており、必要な予算は確保されていると考えております。
 これらに併せ、社会保障制度を持続可能なものとしていくためには、負担能力に応じて公平に負担いただくとともに、必要な給付が適切に行われるよう、制度の重点化、効率化を行うことが必要と考えております。(拍手)


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