活動報告

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「線引き」情報の提出を/国交省職員 田村智子氏が要求/参院国交委

 日本共産党の田村智子議員は25日の参院国土交通委員会で、国交省の現役職員が民間企業に勤務する同省元職員らに送った「線引き」と呼ばれる人事情報資料について、「OBや民間に提供できるのに、国会には提供できない。こんな対応では不信を広げるだけだ」と厳しく批判しました。

 田村氏は「線引き」とは「ポストごとに新任者名と入省年、前職、後任者が“玉突き”のように記された詳細な資料で、退職者情報にもなる」と指摘。同省が慣習的に送っていたと認めており、「組織的に行われていたことに他ならない。なぜOBに送ったのか、OBが(情報を)どう使っていたのかまで調査しなければ疑念を晴らすことにはならない」と迫りました。

 斉藤鉄夫国交相は、「線引き」は「行政文書ではないので出せない」と繰り返し、分かりやすく図にしたものを国会に提出すると答弁。田村氏は「ボリューム感を含め実物でなければダメだ」と訴え、線引きそのものと提供先の元職員の氏名・再就職先の資料を委員会に提出するよう強く求めました。

 さらに、元職員にも組織的な動きが見られるとして、国交相の要請事項に限定しない徹底調査を要求。内閣府の第三者機関・再就職等監視委員会の吉田徳幸事務局長は「国交省からの申し出のありなしや提供された情報の範囲にかかわらず、当委員会の責務に従い適切に対応したい」と答えました。


2023年5月27日(土) しんぶん赤旗ホームページ

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 まず、これまでの答弁を踏まえてちょっと聞き方を変えますので、これまでの答弁の繰り返しはしないでください。私の質問に的確にお答えいただきたいと思います。

 株式会社空港施設の役員人事に複数の国交省OBが介入し、社長を国交省の天下りポストに戻そうとした。朝日新聞によるスクープの二日前、三月二十八日、介入の張本人である本田勝氏と航空局長が会食をしていたことが月刊誌「FACTA」の報道で明らかとなりました。

 航空局長、これまでの答弁はもういいです。なぜ報告しなかったのかは、その朝日新聞の報道の中身のようなことは一切話題にならなかったからだという答弁でした。

 では、その報道の二日前に会っているわけですよ。この報道、これだけ大きなスクープ、お読みになってどう思われたんですか。

○政府参考人(久保田雅晴君) お答えをいたします。
 あの報道があった後、その前に本田氏は取材を受けていた、そういったことが判明したわけであります。この報道を受けて、私は事務次官から関与について問われました。その際にこの会合自体のことについてもお話をしておくべきだったというふうに考えております。その点、緊張感を欠如した対応であったと反省をしておるところでございます。

○田村智子君 それはお答えになっていない。
 普通、そういう話題全くなくて記事を読んだら、大変驚くでしょう。そして、むしろ積極的に報告するでしょう、やましいところがなければ。だって、渦中の人物、国会でも大問題となっている人と会っていたんですから。記事読んでどう思われたんですか。

○委員長(蓮舫君) 久保田航空局長、記事の感想をお願いします。

○政府参考人(久保田雅晴君) お答えをいたします。
 三月にそういう取材を受けたというのが記事の中で明らかになったということで、私の第一印象としては正直大変驚いたという、そういう状況でございます。

○田村智子君 だからね、驚いたら普通報告しますよ、渦中の人物なんだから。やましいところなければ、これこれこういう話でしたという報告するのが筋なんですよ。当たり前のことだと思いますよ。そうすると、なぜそれがやられなかったのかなんです。

 大臣、この案件については、再就職等監視委員会の調査を要請されました。その理由ももう答弁されたので、私はお聞きしません。これまで再三野党から求められてもこうした調査を拒否していた、このことについて反省されていますか、どのように思われますか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) これまで、私はそれぞれの段階で国土交通省内の調査を命じたところでございます。
 その調査の結果、例えば先ほど来問題になっております線引き等の送付、このことについて、確かに不適切なものはございました、未公表の段階のものを外部に送っているということなんかは本当に言語道断のことだと思って是正を指示したところでございます。しかしながら、いわゆる再就職等監視委員会に報告すべき事柄というものはその段階で私として考えられない、このように判断をしたところでございまして、再就職等規制違反には当たらないものと、このように答弁を申し上げてきたところでございます。

 しかしながら、今回のこの本田氏と航空局長の会話、会食につきましてはその報告書に、報告になかった、このことは、それまで行われてきた私の調査の信頼性を揺るがすものになりかねないということで、再就職等監視委員会に第三者性そして厳格性を持って調査していただきたいと情報提供をしたところでございます。

○田村智子君 調査の信頼性はこの案件以前からもう揺らいでいますよ。
 空港施設の副社長、山口勝弘氏が二〇二一年に当時の航空局長と面談をしていた、山口氏には国交省の人事資料がメールで送信されていた、これらも省内の調査ではなくて空港施設の独立検証委員会による調査報告が公表されたことで明らかとなった。もうこの時点で国交省の調査の信頼性激しく揺らいでいるからこういう事態になっているわけですよね。

 先ほど来から、その線引きの資料というのは問題ないような資料なんだって言いますけれども、何ですか、その生年月日がないからって。だけど、ポストごとに新任者で、その新任者の入省年書いてあるわけですよね。そうしたら、大体年齢は分かりますよね、前職も分かる、つまり職歴が分かる。で、その職員の後任者が玉突きのように記された詳細な資料、これが送信されていた。これ私、退職者情報になると。なりますよ、これは当然。

 このいわゆる線引きが大臣官房総務課から局長や部長という幹部OBに慣習的に送付されていた。慣習的ということは、つまり組織的に行われていたということにほかなりません。そうしたら、なぜOBに送付していたのか、OBはどのように使っていたのか、ここまで調査しなかったら疑念晴らすことにはならないと思うんですよ。大臣、いかがですか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) まず、空港施設株式会社の調査報告書が出た時点で、メール等のやり取り明らかになりました。

 一つにつきましては、公開された情報についての、情報の送付ということで問題ないと、このように判断をしたところでございます。そして、この線引きの送付につきましても、この線引きというものがどういうものであるのか等々しっかり調査を行いまして、このいわゆる再就職等を目的とした、再就職あっせんを目的としたものではないと、このように判断をしたところでございます。

 ただ、その線引きについて、大変、先ほど申し上げましたけれども、大きな課題がある、問題があるということで、この線引きの在り方についてはもう抜本的に見直していきたいと、このように思っております。

○田村智子君 なぜOBに送付されていたのか、OBがどう使っていたのか、ここが分からなかったら疑念は全く晴れません。

 再就職等監視委員会に来ていただきました。ありがとうございます。
 二〇一七年の天下りあっせん事件では、OBが文教フォーラムという組織をつくり、文科省からメールで退職者情報の提供を受けて、天下りあっせんを組織的に行っていて大問題となりました。これ、事務次官が辞職するような、そういう問題になったわけですよ。今回、国交省の複数のOBが関わっています。名称のある組織がなくとも、OBの組織的な動きがあった。そして国交省は、OBに退職者の情報、事実上その情報を提供していた、これ文科省の事件をほうふつさせます。

 再就職等監視委員会は、任命権者の報告を待たずに、必要があると認めたときは自らの調査を行うことができます。国家公務員法の条文上も、国交省からの情報提供があろうとなかろうと、また、情報提供を受けた場合もその範囲を限定せずに調査を行うことができます。国交大臣からの要請された事項に限定せず、徹底的な調査必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(吉田徳幸君) お答えいたします。
 個々の事案に関する事項につきまして私どもがどのように対応するかを申し上げますことは、事案の関係者に対応策を用意させてしまうなど、今後の当委員会の調査活動に支障を来しかねないことからお答えは差し控えさせていただきますが、国土交通省からの申出のありなしや、提供された情報の範囲にかかわらず、当委員会の責務に従い、適切に対応したいと考えております。

○田村智子君 国交省は、二〇〇九年、当時の審議官が民鉄協会の理事長に後進に道を譲るよう働きかけ、再就職等監視委員会は国公法違反と断定しました。今度は、表面的には現職が直接関わらないような形を取りながら組織的な天下りを進めているのではないのかと、こういう疑念を持たざるを得ません。天下りあっせんには、いつ、どのような公務員退職者がいるのかという情報が不可欠ですので、これ、徹底的な真相究明を求めたいと思います。

 空港施設の独立検証委員会は、一連の事案の問題点の第一に、山口氏が国公法第百六条の四、働きかけ規制の趣旨に反する発言をして代表取締役副社長の地位を手に入れたことを挙げています。

 読み上げると、山口氏の二〇二一年五月三十一日の執行部協議③における発言は、あたかも山口氏が当社の代表取締役副社長に就くことで国有地の賃貸契約や許認可において便宜を図るよう国交省航空局に要求、依頼できること、逆に山口氏が代表取締役副社長に就かなければ国交省航空局との関係が悪化するおそれがあることを強く示唆するものであり、この働きかけ規制の趣旨に反するものであったと、こう結論付けているんです。山口氏の行為は企業価値を毀損した、また、国交省出身者を役員に選任することのリスク、こういうことまでこの報告の中では指摘をされています。

 国交省も大臣も、法令違反ではないと、誤解を与える行為だから注意したと、それで言わば終わりにしているんです。そんな軽い問題ではありません。

 山口氏は二〇二一年五月末の会議で、自分を次期副社長にするように求め、そうでなければ国交省との関係が悪くなると主張し、その直後の六月二日に航空局長との面談を依頼し、九日に面談をしている。これらの経緯も、山口氏の要求を受け入れなかったら国との関係が悪化するかもしれないと思わせるような行動そのものですよ。組織がバックにいるぞと威嚇する、反社会的組織が不当な要求突き付けるのと同じような構図です。

 それでも国公法違反でないから問題ないと言えるのか。現在の行為規制を実質化するためにも、これは内閣府にお聞きします。何らかの対応必要になってくると思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(岡本誠司君) お答えいたします。
 現在の再就職規制につきましては、現役職員による再就職あっせん等の不適切な行為を規制する、また、社会における職員OBの人材としての有効活用の両立を図る観点から、特定の団体等への再就職を一律に禁止するのではなく、各省庁による再就職あっせんの禁止など厳格な規定を設けた上で、再就職等監視委員会が規制の遵守状況を監視し、管理職員であった者に離職後二年間の再就職情報を届けさせ、これを公表し、透明性を確保することとしております。

 また、御指摘の職員OBの再就職に関する規制に関しましては、OBは既に公務を離れた民間人でありますので、その活動に関して規制することに関しては極めて慎重であるべきと考えておるところでございます。

○田村智子君 OBになったら何をやってもいいのかということですよね。
 これ、国交省は、土地情報センターの天下り、これも問題になりまして、前理事長が取材に答えて、もう恒久の天下りポスト、これは職員のモチベーションに関わると、こういうことまで言われているわけですよ。これはもう天下りの禁止こそ必要ですけれども、当時から抜け穴と言われていた穴、これを塞ぐことは必要だということを私も求めたいと思います。

 国交省、これからの改革ということで大臣答弁されているんですけれども、意識改革だと、これ行動で示してもらわなかったら困るわけで、先ほど浜口議員からあったとおり、今この問題で資料を提出するかどうか、これですよ。

 線引きは、人事権を持たない大臣官房総務課の若手職員が作成したから行政文書ではないと、責任持てないから提出できないと、これ何言ってるのかって話なんですね。先ほど大臣は、こういう国交省の意識と国民の視点とのずれがある、これがずれなんですよ、出せないというのが。

 国交省内で重要な文書として人事異動の度に同一部署で作られてきた文書が、何で行政文書じゃないんでしょう。一方で、民間に提供したということについては、機密資料ではないから問題ないと言う。OBには提供できる、民間には提供できる、だけど国会には名前を黒塗りにしても提供できない。こんな対応では意識改革どころじゃないですよ。不信を広げるだけです。

 私の事務所で、航空局がメール送信した資料、これ要求いたしました。これはマスコミにも送信していてすぐに提出できる資料なのに、それさえも、要求から一週間以上たって、もう質問の前の日、昨日の夕刻やっと提出された。委員長からも働きかけがあったというふうにお聞きしています。

 これ、守秘義務にも問われない資料ですよ。これさえ出さないとなると、私にはアリの一穴を恐れているとしか思えません。出しちゃったらそこからぼろが出る、アリの一穴。そうでないというのなら、大臣、国民との視点のずれ、これなくすためにも大臣の指示で私たちが求めている資料出すよう指示していただきたい。いかがですか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 行政文書でない文書を責任を持って国会にお出しするということはできないということは是非御理解を賜りたいと、このように思います。

 そして、私、今回、先ほど来申し上げておりますけれども、国土交通省の風土改革、組織風土の改革、そして公正公平な行政と、この二つをどう信頼を取り戻すかということにつきましては、ずれという話もございましたが、その一般国民の視点といわゆる行政マンの視点のずれというようなこともございます。ここの点も踏まえましてしっかりと行っていきたいと、このように決意しております。

○田村智子君 行政文書でなければ出せないなんという法律がありますか。ないでしょう。過去に、加計学園の問題では、私的に持っていたと言われるような、怪文書と言われる、政府の側が言ったようなものも提出されたんですよ。なぜ指示されないのか。アリの一穴を恐れているんですか、大臣。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 先ほど来申し上げておりますように、責任を持って国会に提出する資料として、行政文書は必ずお出し申し上げますけれども、その行政文書でないものについてはお出しできないということでございます。

 しかし、我々の真摯な態度を御理解いただくために、その線引きというものがどういうものであるかということを分かりやすく図にしたものについては、これをお出しし、御説明申し上げているところでございます。

○田村智子君 これ、ボリューム感も含めて実物でなければ駄目です。正確性なんか求めてないです。どういうものが送られたか、それを私たちは提出求めています。

 航空局総務課が人事資料を送付した国交省と関係のある企業、団体に再就職したOB、これがどれだけいるのかという資料を求めましたが、これも人数しか示されませんでした。で、昨日提出されました。

 私の事務所で、資料の一ですけれども、国立国会図書館等の協力を得てまとめたものです。局長、審議官OBが何人もこの民間企業、団体にいます。機密情報でも何でもありません。

 線引きが提供されていたOBについては、理事会提出資料で最終官職は示されましたが、どの部署の局長や部長なのかの資料は個人が特定されるという理由で拒んでいます。例えば年限を外せば提出できるはずだと求めても応じない。やましいところがないのなら、個人が特定されても問題ないでしょう。

 委員長、大臣官房総務課がOBに提供した線引きそのもの、また人事資料を提供したOBの名前と再就職先について本委員会に提出することを求めます。

○委員長(蓮舫君) 後刻理事会で協議いたします。

○田村智子君 終わります。

 


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