公共工事での週休2日制促進など、担い手確保のための改定公共工事品質確保法が12日の参院本会議で日本共産党、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成多数で可決・成立しました。
日本共産党の田村智子委員長は11日の参院国土交通委員会で、「建設業では日給月給賃金制度が多いため、休日が増えると収入が減る実態がある。賃上げし、安心して週2日休めるようにする施策が重要だ」と主張。法案提案者の城井崇衆院議員(立民)は「国が公共工事の契約締結状況や給与支払いの実態を把握し、必要な施策を講じる。また、週休2日の推進を念頭に置いた規定を加える」と答えました。
また田村氏は「資材価格が高騰すると建設業者がかぶらざるを得ない実態がある」と指摘し、同法案でどう是正するのかと質問。城井氏は、公共工事のモデル約款で「運用基準の策定を発注者の責務とする等、適切な価格転嫁策を進める」と述べました。
さらに田村氏は「災害工事で建設従事者の労災加入をどう促進し、保険料を発注者に負担させるのか」と質問。提案者の古川禎久衆院議員(自民)は「災害工事の従事者全員の保険契約締結を元請け企業の努力義務とし、その保険料は予定価格に反映させることを明確化した」と答えました。
2024年6月16日(日) しんぶん赤旗
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
週休二日制を公共工事から推進するということは、民間への波及効果も見込まれて、大変重要なことだと思います。しかし、建設業の現場では、いわゆる日給月給賃金制度が多いため、休日が増えることで収入が減ってしまうという実態があります。公共事業の建設現場で土日祝日、現場が閉まって休みになると、民間の現場で仕事をして収入が減らないようにしているというお話もお聞きします。
そこで、本法案では、賃上げをしっかり行って、建設業者が週二日休んでも安心して暮らせる、そういう仕組みづくりのためにどういう施策を取るのか、お願いいたします。
○衆議院議員(城井崇君) お答え申し上げます。
建設業の担い手確保のためには、週休二日を推進して、他産業より長い労働時間を是正することは急務ですが、御指摘のとおり、実際に日給月給の方から心配の声が届いておりまして、できるだけ収入を減らさない努力も必要であると認識をいたしております。
このため、建設業における処遇改善を推進するよう、今回の改正においては、公共工事の受注者が能力に応じた処遇の確保などに取り組むこととした上で、国が公共工事の契約締結状況や給与支払の実態を把握し、必要な施策を講じるよう規定を整備しております。
また、政府においては、近年の賃上げ傾向を適切に反映した公共工事設計労務単価の設定や官民での賃上げ目標の設定に取り組んでいるほか、適切な労務費の確保に向け建設業の改正案を提出し、先般、参議院において可決、成立したものと承知しております。
このように、他の法令とも相まって建設業における処遇確保を推進し、将来にわたっての公共工事の品質確保や持続可能な建設業の実現を期するところです。
○田村智子君 ちょっと条文上で確認をしたいんですけれども、七条一項一号、確保されるための適正な利潤を確保する、そのためにも、七条一項三号、その他の特別な事情ということは書かれているんですけれども、これ、休日の増加による労務単価を上げていくという必要性、これは含まれるというふうに考えてよろしいでしょうか。
○衆議院議員(城井崇君) 建設業における週休二日の推進に当たっては、その確保に当たって必要となる費用が適切に請負代金に計上されることが重要です。
このため、今回の改正におきましては、今ほど触れていただきました品確法第七条第一項第三号に週休二日の推進を念頭に置いた特別な事情を加える改正を行い、国土交通省等が行っている週休二日補正係数について特別な積算の方法として読み込めるようにすることとしております。
このように、様々手だてを講じながら建設業の担い手確保に向け、週休二日の推進に引き続きしっかり取り組むよう政府に求めてまいりたいと考えております。
○田村智子君 次に、発注者の責務としてのスライド条項についてお聞きします。
本法案では、資材価格などの高騰が契約金額に適切に反映されるよう、発注者の責務として物価スライド条項を設定、運用させるための規定が新設されます。これも七条一項十三号にありますね。契約時点で総額契約となるために、資材価格が高騰すると建設業者がかぶらざるを得ないという実態がありますが、本法案の物価スライド条項ではこの実態がどのように是正されることになるんでしょうか。
○衆議院議員(城井崇君) お答え申し上げます。
資材価格高騰に対する価格転嫁が適切に行われることは、労務費へのしわ寄せを防止する観点からも重要です。
価格変動時における契約変更は、公共工事においては、契約のひな形である公共工事標準請負契約約款の契約変更の規定、いわゆるスライド条項により行われることとなります。このスライド条項は、発注者において運用基準が設定され適切に運用されることで機能するものですが、市区町村においてはスライド条項の運用基準が未策定の団体が約六割に上るなど、価格転嫁のための環境整備が十分ではない状況が明らかとなっております。
このため、今回の改正においては、契約書におけるスライド条項の確実な設定とその運用基準の策定、そしてそれらに基づく契約変更の実施を発注者の責務として位置付けることといたしました。
また、品確法に加えて入契法においても発注体制の強化のための改正を盛り込んでおり、それと相まって発注者による取組を改善し、公共工事における適切な価格転嫁の取組の推進を期するところです。
○田村智子君 次に、災害工事での労災保険の問題についてお聞きします。
災害工事は公共事業の中でも大変重要な分野になります。そこには、一人親方の方も含めて本当に災害復旧で活動をされておられます。安心してそういう仕事ができるようにするためには、やはり労災保険契約の締結が大切になります。
そこで、国交省と法案提出者、それぞれにお聞きします。
まず国交省には、災害工事での労災加入、これなかなか進んでいないというふうにもお聞きしていますので、加入の現状と課題を端的に示していただきたい。
そして法案提出者には、保険契約の締結を促進して保険料を予定価格に反映させるということが当然必要になってくると思います。発注者が公正に保険料を負担するようにするために本法案ではどのように取り組むのか、それぞれお答えください。
○政府参考人(林正道君) お答えいたします。
災害工事に従事する全ての方が万一の際には保険による補償が受けられるなど、安心して仕事ができる環境を整備することは極めて重要と認識しております。
まず、現状についてですが、現場従業員については、下請まで含めて、元請である受注者が労災保険、労災保険法上の労災保険に加入することが義務付けられています。
一方、元請、下請企業の役員やいわゆる一人親方など個人事業主については、労災保険上の特別加入や民間の災害補償保険に任意で加入可能となっていますが、リスクが多い災害工事を含め、いまだ加入していない者も多い現状となっております。
例えば、国土交通省の直轄工事の予定価格には、労災保険上の労災保険について必要経費が計上されていますが、労災保険の特別加入や民間災害補償保険などの法定外保険料については未加入の者も含めた支払実績を基に積算しており、全ての方が加入することを前提としたものとなっていないことが課題というふうに認識しております。
○衆議院議員(古川禎久君) お答え申し上げます。
労災保険法上の特別加入や民間の災害補償保険等の加入を着実に行っていただくためには、これらに必要となる経費が工事の予定価格に計上されていることが極めて重要でありまして、そのための環境を整備することが必要であるというふうに認識しております。
このため、今回の改正におきまして、第八条第五項に、いわゆる一人親方など個人事業主を含め、災害応急対策工事等に従事する者全員についての適切な保険契約を締結するよう、元請企業に対して努力義務を課しております。その上で、第七条第一項第一号に、第八条第五項において努力義務を課した保険契約の保険料を予定価格に反映させることを明確化いたしました。
今回の法改正の趣旨にのっとり、保険料の実態把握や予定価格への反映方法の検討を実施することで、災害工事の保険加入が進み、これに従事する全ての方が安心して仕事ができる環境を整えるよう政府に求めてまいりたいと存じます。
○田村智子君 ありがとうございました。
前回の政府が提出の建設業法等の改正とともに、やはり議員立法で、本当に現場で、一番現場で働く建設労働者の皆さんが安定した収入、休みが取れる、そして労災なったときに本当に、仕事休んだら収入が途絶えてしまうというのが建設業者の一番の問題としてずっと労働組合でも取り組まれてきた問題がありますから、今日御答弁いただいた内容がしっかり公共工事でまず徹底されること、そして民間に波及されていくこと、これ強く要望いたしまして、質問を終わります。