日本共産党の田村智子委員長は28、29両日、長射程ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」の配備が今年度中に予定されている陸上自衛隊健軍駐屯地(熊本市)を視察し、地元住民や熊本県の幹部職員と懇談しました。住民説明会の開催など地元住民の要望や懸念を県側に伝えました。
田村氏は28日に市内で、長射程ミサイル配備に反対する住民と懇談。小学校のPTA会長を務める淵上京子さんは「ウクライナでは学校も狙われており、子どもが標的になるのではないか不安」と語りました。「軍拡を許さない女たちの会・熊本」の海北由希子さんは、要請をしても県や市が住民説明会の開催に応じないとして「長射程ミサイルが来ると知らない住民も多い。全戸配布してでも知らせるべきだ」と訴えました。駐屯地から約2キロにある「さくらんぼ保育園」の建川美徳理事長は、自治会長や商店街の関係者からも反対の声が上がっているとして「来月9日に商店街で市民集会を開き、反対の声を広げたい」と話しました。
田村氏は29日、駐屯地周辺を視察。多くの小中学校、高校、保育園や、市民病院などが隣接している様子を確認しました。
県庁で深川元樹・知事公室長と懇談しました。田村氏は「市民の安全と安心のために率直に意見交換したい」と述べ、航空自衛隊新田原(にゅうたばる)基地にF35Bステルス戦闘機が配備された宮崎県新富町や、馬毛島基地の建設が進む鹿児島県西之表市では、首長の要請を受けて防衛省が説明会を開催していると紹介。「健軍周辺の住民は標的になるのではないかと強い不安を持っている。説明会を県や市として求めることが必要ではないか」と提起しました。
深川氏は「市民の意見や要請は防衛局に伝えている。国の専管事項なので説明の手法は国が判断することだ」と繰り返しました。松岡勝党県委員長は「県は意見を伝えるだけというのは問題だ。説明会を開くよう知事が国に求めるよう要請したい」と強調しました。
田村氏は、米中対立のもとで米側がミサイル配備を進める危険な流れだとして「外交が基本というのが県の立場との説明だった。私たちも同じ考えだ」と述べ、党の「東アジア平和提言」の冊子を手渡しました。
懇談に田村貴昭衆院議員、党市議らが参加しました。
2025年10月30日(木) しんぶん赤旗

