日本共産党は20日、党本部で高校生スプリングセミナー「田村智子さんと話してみよう 日本と世界はどうなるの?」を開きました。1人で飛行機や新幹線を乗り継いで来た人や、春から新1年生という人など全国から88人が参加。高校生は次々と挙手をして、田村委員長と2時間、とことん語り合いました。(手島陽子、仁田桃)
アメリカ・イスラエルのイラン攻撃で、戦争への不安が次々に語られました。
「市民のデモに行ってきました。すごく元気づけられました。私、日米首脳会談で高市首相がトランプ大統領に抱きついたしぐさに、同じ日本人女性としてすごく恥ずかしいです。今後、日本は大丈夫なんでしょうか」と震える声での質問も。
田村さんは、「『世界に平和と繁栄をもたらすことができるのはドナルドだけ』という発言は、国民多数の意見とも違う。徹底的に国会で追及したい」と表明。また国会議事堂前や大阪の梅田駅での戦争反対の行動を紹介して、「政治を変える力はここにあります」「世界でも戦争反対、平和の国際秩序を守れという声が上がっている。一緒に声をあげましょう」と希望を語りました。
レッテル貼り どうすれば?
構造的差別の研究をしているという3年生は、こう訴えました。
「ジェンダー、外国人、障害者などさまざまな差別は、同じ人間の中で違う扱いをしてもいいという考えが原因になっていて、差別の問題と地続きになっているのが戦争だと思っています。人権は欧州のキリスト教の考え方が基本だと思う。宗教的考え方は弱まって、科学や経済がどんどん力を持つ中で、私たちには基本的人権があるという理論は、どう構築できるでしょうか」
「すごい質問ですね」と田村さん。「日本共産党が理論の基本としている科学的社会主義は、人類社会の発展の法則を見いだしたものです」と語り始めました。
私有財産が生まれ、収奪の構造が生まれ、最悪の抑圧として戦争が人類に悲劇をもたらしました。「基本的人権は、戦争を二度と起こしてはならないという原点に立って確立された。植民地支配から多くの国々が独立し、支配していた国に謝罪と反省を求め、人種差別でも大きく動いています。それが国連憲章に生きています」
また、搾取をなくしてこそ、人権が保障されることにも触れました。「人類が発展していく法則を歴史の中から私たちがつかみ取り、前に進める生き方をするのかが問われていると思います」
民主主義についての質問が相次ぎました。
平和の問題や差別の問題で学習会や署名活動をしている高校生は、「活動していると『怪しい』と言われることがあります。『思想強そう』とか。レッテル貼る人とどう対話すればいいですか」と問いかけます。
田村さんは、自分の学生時代も同じ経験をして「なかなか難しいよね」と述べたうえで、ストリート対話のきっかけについて語りました。
「ニューヨーク市長のマムダニさんはイスラム教徒でマイノリティー。『怪しい』というレッテル貼りを相手陣営はものすごくやったんです。マムダニさんは、動画で正面から反論した。同時に、マムダニさん自身が街での対話をやり続けた。10万人のボランティアも戸別訪問で、要求を聞き、政策を伝えて変えていった。私も、これに学んだのです。戦争はいやだよね、という対話ができるといいですよね」
改憲に反対も投票権なし?
改憲について2人の高校生は…。
Aさん 与党の改憲案に私は反対です。国民投票が最後のとりでになると思いますが、今17歳で、国民投票までに選挙権がもらえるのか、とても不安です。
Bさん 18歳未満の子どもも、改憲の結果はずっと関わっていくのに、投票できないのはおかしいのでは。
田村さん いまの言葉を受け止めたい。18歳未満の人も、自分に関わるあらゆることで意見を言う権利があり、それは尊重されるというのが子どもの権利条約。未成年者の意見を聞き、尊重することが求められると思います。新しい刺激をいただきました。
いじめについても切実な声が…。
Cさん(高1) 高校に入っていじめを受けました。いじめられる側にも問題があるという人もいますが、どう思いますか。
Dさん(高2) いじめを受けました。加害者の厳罰化をどう思いますか。
田村さん つらいことを話してくれて、ありがとうございます。いじめられた側に問題があるという意見は、私は否定します。
田村さんはきっぱりと答え、いじめをなくすには厳罰化ではなく、どうすればいいかを話しました。
「たとえば、誰かのことを嫌いだと思うことは仕方がないかもしれない。でも行動に移すことは違う」「加害者が心から反省して成長できるような教育が求められている。でも深刻ないじめの事件があっても、テストや受験が優先される、競争教育・管理教育がゆがみをもたらしていると思う」
Eさん 私はかわいいものが好きな男性ですが、LGBTQだと言われることがあります。そうではないと言うと、その人たちと自分は違うと言うようで悩んでいる。
田村さん 誰が誰を好きになるか、私はこれが好きとか、普通に言える社会にしたいよね。カテゴライズがなくなっていくことが必要だと思います。私の好きを大切にできて、あなたの好きも尊重する、そういう社会にしていきたいですね。
富裕層課税はなんで必要?
衆院選で日本共産党が主張した「タックス・ザ・リッチ(富める者に課税を)」に「ちょっと反対に思っている」という高校生。「海外に大企業やお金持ちがいってしまう。『タックス・ザ・リッチ』がどうして必要なんでしょうか」
田村さんは、「大企業が海外に工場をつくる理由として、そこに需要があるから、が圧倒的なんです。日本は個人消費が冷え込んでいることが一番問題。大企業への行き過ぎた減税を見直す、大株主に欧州並みの税金をというのが私たちの政策です」と回答。高校生はうなずいて聞いていました。
このほか、大学での研究費など、学術文化の予算が足りないこと、JRの廃線や運賃の値上げの問題など、話題は多岐にわたり、田村さんはその一つひとつにていねいに答えました。
対話で真理追究「感動」
親が反対 「むっちゃ対話して」参加も
セミナーは党本部の見学から始まりました。参加者は、11階に移動し窓から明治神宮を見晴らせる景色を楽しみながら、党本部が建設された歴史について話を聞きました。資料室と国際委員会も見学。国際委員会では一人の参加者が机の上にある像を見て「これは誰ですか?」と尋ねました。事務局長の田川実さんが「誰だか分かりますか?」と問い返すと、「ベトナムの革命家のホー・チ・ミンですね」と高校生が流ちょうに回答する場面も。資料室ではスタッフが1941年の朝日新聞の縮刷版にある「大政翼賛会」という見出しの記事を紹介すると参加者から「お~」「戦時中の記事だ」と感嘆の声が上がりました。
田村委員長とのトークの終了後、八つのグループに分かれて感想交流を行いました。「たむともストリート対話」の動画を見て参加した高校生は「先入観を持つことなく政党を見ることはすごく大事だと思った」と話しました。「田村委員長はいろんな質問に筋が通った回答をしている」「対話を重ねて真理を追究する姿勢に感動した」などの感想も出されました。親が共産党に反対だけど参加したという高校生は「今日は来るの大丈夫だった?」と聞かれ「むっちゃ対話しました」と会話をする場面も。
会場で質問できなかった高校生が「日本は米国と中国の板挟み。世界に対してどんな姿勢で臨めばいいのか」と疑問を出しました。それに対して別の参加者が「日本は国際社会の一員。ASEAN(東南アジア諸国連合)みたいなグローバルでどの国に対してもフラットに接する多国間の枠組みが緊張や対立をなくすと思う」と答えました。原発についても、「人間が操れるシステムではない」「地震大国の日本に建てるのは違うんじゃないか」「地域の人の声が大事だと思う」と率直に意見が交わされました。(今井千尋)
ノリで参加、イメージ変わった
参加者の感想には「今後も企画を知らせてほしい」という要望が多数ありました。一部を紹介します。
「あまり政治に興味がなく、スプリングセミナーはSNSで見つけてノリで参加しました。しかし、同じ高校生や共産党員、田村さんと話して、興味深いと思いました。共産党に対して、ステレオタイプの少し怖いというイメージがありましたが、今回の対話で考え方や歴史について学ぶことができ、イメージが変わりました。ブレない良い政党だし、国際社会や国内の問題についての考え方に深く共感しました」(東京都)
「まっすぐで簡潔で、でも優しさのある回答で印象的でした。私は共産党支持ではないし、そもそも特定の政党を支持していませんが、今日過ごしてみて、共産党を応援したいなという思いが出てきました。高校でも演説や講演会をやってほしいです!」(東京都)
「高校生とたくさん話して田村さんとの対話もできて、自分の思考が深まった気がします。普段、若者の政治離れを学校で感じているのがうそのようでした。自分は政治オタクにはほど遠かったことを思い知らされました。これからもたくさん勉強して、意見交流して、自分の軸を確立したいと思いました」(静岡県)
「想像している以上に『対話』を実践しているという印象を強く感じました。違う意見の人はたくさんいます。でもその人たちを全否定せず、合致点を見いだして、互いに理解が促進できる場が今後、幅広い政党や社会全体に広がればよいと思います」(神奈川県)
2026年3月23日(月) しんぶん赤旗

