日本共産党 田村智子
コラム

【09.10.21】「いのちの山河」の試写会

憲法が生きる社会をめざした村があった

「日本の青空�供廚箸靴董�憲法改悪に文化的にたちむかう映画「いのちの山河」。
大澤豊監督、出演した主な俳優のみなさんが勢ぞろいしての試写会にご招待いただきました。
千葉県佐倉市から新宿武蔵野館へ。開会の6時半ぎりぎりに到着。

汗がふきだしそうな熱気のなか、監督、舞台となった岩手県沢内村が合併された西和賀町の町長さん、主演の長谷川初範さん、とよた真帆さん、加藤剛さんらがひとことずつあいさつ。
「しまったデジカメ、置いてきちゃった…」
至近距離の有名人を前にやや舞い上がってしまいました。

一年の半分近くを雪で閉ざされる陸の孤島、沢内村。
映画の冒頭シーンは、そのことを印象づける雪原の風景です。
馬ぞりでも進むことが困難な道、転びながら、足をとられながら夫婦が歩いていく。
のちに村長となる深沢晟雄(まさお)が故郷に帰るシーンです。

貧しさから「医者にみてもらうのは死んだときだけ」と嘆く村の人々。
赤ん坊が、栄養失調や家庭環境から命を落とす。
保健婦もいない、医師は大学から派遣されるがやる気はない。
閉塞感と絶望が、豪雪とともに村を覆い尽くすのです。

この状況をうちやぶるには「行脚と対話」と、まず婦人の組織化をすすめるのには驚きました。
くらしのことが一番わかっているのは女。その女たちがまず日頃思っていることを言い合う、話し合う、そこに行政が耳を傾ける――村の人の意識を掘り起こし、村人たちの要求で政治を動かそうという努力、私たちのめざす活動そのものです。

村民の要求のトップは「雪をどうにかしてほしい」
続いて「お金がなくて病院に行かれない」、そして「産業の復興」…。
こうした声を政策にまとめる過程も深沢村長の人間性があふれています。

「すこやかに生まれ、すこやかに育ち、すこやかに老いる」
この目標を達成するためには、
「豪雪、病、貧困の3つの害悪とたたかう」、これが村政の柱となっていく。
どうやってたたかっていくかは、映画でぜひご覧下さい。

深沢村長がなぜ信念をもって老人医療費無料を全国で初めて実現したのか、
その根底に、憲法の理念への深い共感があったことがわかります。
村長になるはるか前から、新憲法を学ぶ若者の学習会に講師として参加をしてきた経緯も紹介されます。

戦後、経済の復興に躍起になるだけでなく、どういう日本の世の中をつくるべきかと、真剣に学び語り合う人たちがいたのですね。

ラストシーンでは、深沢村長の肉声が流れます。
実在した人だということが、実際に「いのちの格差があってはならない」という政治をすすめた村があったということが、圧倒的に胸に迫ってきます。
涙が流れるのをとめることができませんでした。

そして映画の「完」の文字のあとにつづく、協賛者・団体の名前の迫力。
国民の共同でつくられた映画なのだと、画面を流れ続ける文字の波をみつめていました。

各地ですでに上映会が計画されているとききました。
その成功の力になりたいと思わずにいられません。

映画では、貧困をもたらしていた大きな要因は「豪雪」でした。
しかし今、貧困は政治によってもたらされている。
「格差のどこが悪い」と開き直る政治家さえいることに、今日の政治の退化を見る思いです。

「すこやかに生まれ、すこやかに育ち、すこやかに老いる」
「いのちに格差があってはならない」
この目標は、今、この国に求められています。
とくに「すこやかに老いる」−−なんとすてきな言葉でしょうか。
言葉を現実にするために、何が求められているのか、私も「行脚と対話」から始める決意を固めています。