日本共産党 田村智子
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【14.06.19】文教科学委員会 学校教育法改正法案について

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 学校教育法の改定九十三条二項では、学生の入学、卒業について学長は決定を行うに当たり教授会に意見を求めることを義務付けています。
 例えば入試についてですが、実際には学長から教授会に権限が移譲され、あるいは教授会の下に置かれた合否判定委員会にまで権限が移譲されて合否判断が行われ、大学名や学長名で合格者に通知するというのが実態だと思います。
 受験者数というのは一大学数千人あるいは万単位にもなりまして、現実問題として学長がその一人一人について判断をするということはこれは不可能です。卒業についても同じで、大学によっては万に近い数の卒業者がいるわけで、教授会の意見を聴いて学長が一人一人について卒業は可か否かと判断すると、これはあり得ないことだと思うんです。
 こういう学生の入学、卒業、修了、つまりは九十三条二項の一号、二号については、教授会が決定し、その判断を学長が執行するということが可能でなければ円滑で公正な大学の運営はできないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(吉田大輔君) これはもう何度もこの委員会でも出ましたけれども、学校教育法九十二条第三項では、学長は校務をつかさどるということで、大学の最終的な意思決定権者として位置付けられているわけでございます。大学として意思決定を行うに際して、学長が教授会等の学内組織に実質的な検討を行わせることは可能であるとは考えられますけれども、あくまでもその際に学長が最終的な決定を行うことが担保されているということが必要でございます。
 ただいま御質問では、教授会で決定し、学長は執行するという、こういう過程ではどうかということでございますが、これはやはり学長が最終決定を行うと、そういった観点からいたしますと問題があろうかと思います。

○田村智子君 これ、教授会などが決定した合格者をそのまま認めるのも駄目だと、こうなりますと、じゃ、法案にそのまま忠実に沿えば、学長が受験生を一人一人チェックして判断するということになるんですよ。例えば、早稲田大学では二〇一三年度の一般入試は、受験者数だけで八万人を大きく超えています。東京大学は、記述式の試験で受験者数は九千人を超えています。これ、どうやって学長が判断するんですか。あるいは、教授会の判断、それは違うよと、じゃ、この人を入学者の中に入れなさいという判断を行うということなんですか。

○政府参考人(吉田大輔君) 先ほども申し上げましたように、教授会等の学内組織に実質的な検討を行わせるということは、それは可能でございます。
 多くの大学では、その合否判定委員会などの専門的な委員会を通じて、その学生の入学等についての判断といいましょうか、その可否を検討してきているかと思いますが、ただ、最終的にその入学の許可などを行うということ、これはもうやはり学長の名前で行っていくわけでございますから、最終的にその学長の責任といったものが全うできるような体制にしておくことが肝要かと思います。

○田村智子君 形式的に学長の名前で行うというのは分かりますよ、それは。だけど、この合否判定についてまで教授会の決定権限を認めない、決定権限は学長だというふうに強調される。だから、この法案審議が進めば進むほどに、全国の大学の教員の方、教職員の方からは、この法案が大学の自治を壊すんだという声がどんどん寄せられてくるわけです。この学生の合否判定や卒業について、学長一人で判断などとてもできないと。
 それだけじゃありません。カリキュラムの編成、それに基づく教員の採用なども、全ての専門分野にわたって学長一人が情報を解析し、決定するというのも、これも現実的ではないわけです。だからこそ教授会が、教育課程の編成、採用、昇任の教員人事などを実質的に審議、決定してきた。それを学長が尊重して執行するという運営が幾つもの大学の中で行われてきたわけです。
 そうすると、この法案を根拠に、教授会は審議機関だからと、教授会の審議の結果を学長が覆す、こういうことが起きてくると、それは逆に、学長の恣意的な判断が行われたのではないかという疑念や混乱が生じかねないわけです。
 教授会が審議した結果を学長は尊重する、審議の結果と異なる判断をする場合にはその理由を説明するなどは、この法案の運用としては当然のことだと考えますが、いかがですか。

○政府参考人(吉田大輔君) 今回の改正案では、学校教育法九十三条二項、ここにおきましては、学長がこの二項に掲げております各事項につきまして教授会の意見を聴くということが決められておりますけれども、これはあくまでも教授会が述べた意見を参考にした上で学長が決定をすると、こういう仕組みでございまして、その際に、必ずしもその教授会の意見に拘束されるというものではございません。学長が教授会の意見と異なる決定を行った場合でも、法的にはその教授会に対しまして理由を説明する義務はないわけでございます。
 ただ、円滑な大学運営を図るという観点では、やはりその教授会と適切な意思疎通を図ることが望ましいと考えております。

○田村智子君 今日の朝日新聞で、筑波大学教授の中教審のメンバーでもあった金子教授が寄稿しているんですよ。例えば、改正九十三条、学長個人が経営的な観点から特定の学生の入学や卒業を決定することを許容するのだろうかと、こういう疑問の声が中教審のメンバーだった方からも寄せられてくるわけですよね。
   〔理事石井浩郎君退席、委員長着席〕
 これ、恣意的な判断、許しちゃ駄目ですよ。これは、教授会の判断を尊重する、もし意見が違うことをやるんだったら丁寧に説明する、これは当たり前のことだと思います。そういうことが望ましいと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(吉田大輔君) 入学、卒業などは、やはり公平、客観的な判断が求められるものについては、やはり専門的な見地からの意見を十分に徴した上で学長が決定することが必要でございます。
 そういうことから、今回の九十三条の二項におきましては、学長が意見を聴くべき事項として、入学、卒業等のことを決めているわけでございます。

○田村智子君 本当に陳腐な法案だと、私言わざるを得なくなってくるんですね。だから、これを運用されるときに歯止めを幾つも掛けていかなければいけませんので、そういう意味でお聞きします。続けます。
 九十三条二項三号、これまでの答弁では、教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要と定めるものについて、例示としてキャンパス移転が挙げられました。しかし、これは大学の中ではまれな事例で、これはやっぱり通常の大学運営の中でどのようなものが入り得るのかということを私の方から例示を示して確認したいと思います。
 入試制度、学部、学科の改廃、新設などの組織再編、全学的な各種会議、委員会等への委員の選任又は推薦、教授会が属する学部の運営方針、教員の昇任、降格に関わる業績審査、教授会が属する学部の規程の制定、改廃、これは教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要であると定めるものに含まれ得るのかどうか、お聞きします。

○政府参考人(吉田大輔君) これまでの議論の中で、九十三条二項第三号の教育研究に関する重要事項には教育課程の編成や教員の教育研究業績の審査等が含まれているというふうにお答えしてきたところでございます。これ以外にも、キャンパス移転ですとか組織再編などについて、この教育研究に関する重要事項に含まれ得るというお答えをしてきたかと思います。
 その以外に今御提示いただきました事項につきましても、教育研究に関する重要な事項で、学長が決定を行うに当たりまして専門的な見地から教授会の意見を聴くことが必要と判断する場合にはこの三号に該当するということになってくるわけでございますけれども、具体的にどのような事項を含めるかにつきましては、学長が各大学の実情等を踏まえて判断すべきものと考えております。

○田村智子君 事前にこういうことは含まれ得るのかと渡しているんですよ、昨日、一つ一つ。含まれ得るのかどうか、文科省の認識を示してください。

○政府参考人(吉田大輔君) 申し上げましたように、この三号につきましては、教育研究に関する重要な事項で、学長が決定を行うに当たって専門的な見地から教授会の意見を聴くことが必要と認められるものということでございまして、これにつきまして、今提示されたものについて一概にこれはこうだということは申し上げるのは困難でございます。

○田村智子君 ちょっと、昨日、私たち一時間ぐらい、もう質問通告終わってからやり取りしたんですよ。それで、私が、例えば学部内の教員ポストの配置、これは確認できるかと言ったら難しいとか、次から次へと言うわけですよ。入学定員、それは含まれ得るというのはなかなか難しいとか。私はそういうものをそぎ落として、これは含まれ得るというふうに、文科省の方でそれは答弁できますよと言ったものさえ局長答えない。大学の判断だということですから、これは大いに大学の中で含めていってほしいと思いますし、もう本当に上からここまで大学を統制しようとしているのかということを、私、逆に危機感を大変覚えています。
 もう確認になるのかどうか分かりませんが、続けます。
 学長が学部長を選任するに当たって、学部教授会の投票を経てとか、学部教授会が推薦した候補者を選任するなど学内規程で定めた場合、文科省として是正を求めるということはありませんか。

○政府参考人(吉田大輔君) 学部長の任命を含めました人事につきましては、学長や理事会が最終的な決定を行い任命することが法律上明らかにされております。
 今御提示いただきました、学部教授会の投票を経てですとか、あるいは学部教授会の推薦するなどの学内規程につきましては、その学内規程の全体構造を見てみる必要がございます。学長の最終決定権が明示され、教授会の投票や推薦の結果に任命権者が拘束されないなど、任命権者の決定権が担保されているかどうかという観点から吟味することが必要でございまして、一概に判断することはできないと考えております。

○田村智子君 ちょっと待ってください。文科省は学内規程に対して是正を求めることがあるのかどうかと聞いているんですよ。

○政府参考人(吉田大輔君) 法の趣旨に反する学内規程ということにつきましては、これは私どもの方からその点の問題点を指摘することはあろうと思います。

○田村智子君 もう一つ、学長選考基準についてお聞きします。
 一般論で確認しますが、あくまで法律に基づいて自主的、自律的に大学が定めるべきものであって、文部科学省は決定過程に干渉すべきではないし、決定後に変更を求めるべきではないと考えますが、どうですか。

○政府参考人(吉田大輔君) 学長選考の基準につきましては、学長選考会議が、その責任と権限の下、各大学の特性やミッションを自ら検討、勘案しつつ、主体的に定めるものでございます。その決定過程及び決定後を問わず、その内容について文部科学省が関与するものではございません。

○田村智子君 やっと明らかに関与しないって出てきたんですね。ここまで大学の内規に手を突っ込むような答弁が続くと、本当に私も危機感をこの審議の中で募らせざるを得ません。
 こういうカリキュラム編成など大学の教育研究に直接関わる事柄でも教授会の権限を法律で縛ろうとする、やっぱりこの法案通しちゃいけないなということを改めて感じるところなんですけれども、このまま通していいのかなと思うところなんですが。
 今日は、もう一つ、大学の学問研究の自由の問題についてもお聞きをしなければなりません。
 いわゆる東大ポポロ事件最高裁判決でも認められたように、大学における研究の自由にとどまらず、研究に基づく発表、教授の自由について、これは完全に認められなければならないと思います。この法案によっても憲法二十三条が保障する学問の自由は何ら制限を加えられるものではない、そういうことでいいのか、大臣に確認します。

○国務大臣(下村博文君) 今御指摘のように、学問の自由は憲法第二十三条の規定により保障されているものであり、大学における学問の自由は、大学における教授その他の研究者の研究と教授の自由をその内容とするものであります。
 今回の改正案は、学長や教授会等の学内の組織について、それぞれの役割を明確化し、大学運営における責任と権限の一致を図ることを目的とするものでありまして、学問の自由に何ら制限を加えようとするものでは全くありません。

○田村智子君 ところが、この法案が衆議院で審議されているさなかに、この学問の自由、とりわけ教授の自由への文科省の姿勢が問われる事態が起きているので、このことはどうしてもここで質問しなければなりません。
 本年四月、広島大学で日本軍慰安婦を取り上げたドキュメンタリー映画「終わらない戦争」を上映し、担当教員がコメントを付す形で講義が行われました。この講義に対して、授業ですね、に対して非難をする記事が五月二十一日、産経新聞一面に報じられました。日本科学者会議広島支部幹事会は、報道の直後に、「「産経新聞」報道を契機とする言論への圧力を許さず、学問の自由を守ろう」という声明を出しています。声明では、「そもそも、学問の自由は日本国憲法が保障する基本的人権のひとつであり、大学の授業で教員は、自身の学問的信念に基づいて教育研究を行う自由をもつ。もちろん、その教育研究に対して学生が異議を唱えることも当然の権利であり、教員はその異議を受け止め、相互理解を深めることによって、学問の府である大学の教育研究が深化する。」と述べています。これは至極当然の指摘です。これこそ、学問の自由と、それを保障する大学の自治のあるべき姿だとも思います。
 問題は、産経新聞の報道にとどまらなかったんです。五月二十三日の衆議院内閣委員会で、広島大学でのこの講義の内容を問題だとする質問があり、上野政務官は、広島大学の授業で行われたことについて、こちらとしても調査してきましたと答弁をされました。
 文科省に確認します。どういう調査をしたんですか。広島大学に講義の内容の照会を行いましたか。

○政府参考人(吉田大輔君) 五月二十三日の衆議院内閣委員会におきまして上野政務官が答弁いたしました調査とは、文部科学省の職員が広島大学のホームページからシラバスの情報を入手し、新聞報道に取り上げられた授業の位置付けを確認したということを意味するものでございます。
 また、シラバス情報の入手とは別に文部科学省から広島大学に問合せを行っておりますが、それは個別の授業の内容についてではなく、あくまでも事実関係について正確な情報を得るためのものでございました。

○田村智子君 講義の内容について文科省が調査を行えば、それだけで圧力になり、学問の自由を侵しかねません。ましてや、国会で議論があるということを伝えた上で調査を行うと一層の圧力になる、こういう認識は文科省にありますか。

○政府参考人(吉田大輔君) 私どもは事実関係を調査したのみでございます。

○田村智子君 そうしましたら、政務官の答弁ではこうも言っているんです。一般的に、一面的な見解のみを取り上げるのではなく、多様な見解があることを取り上げ考察することは、科学的あるいは批判的な思考力を、思考的な能力を養うためにも重要であると考え、文科省としましては、各大学で適切な対応が行われているかどうか、必要な助言を行ってまいりたいと思いますと。
 広島大学について必要な助言を行った、あるいは今後行うということがあるんですか。

○政府参考人(吉田大輔君) 今回の件に関しまして、これまでの間、文部科学省から広島大学に対しまして助言を行うことはしておりません。また、広島大学から特に求められない限り、今後も何らかの助言を行うことも予定はしておりません。

○田村智子君 これ、じゃ、大臣にもお聞きしたいんです。
 そもそも大学における講義というのは、教授会などによってカリキュラムが定められ、それに沿って講義のテーマも決まり、個々の教員が自らの研究と学問的信念に基づいて行うものです。その内容は教授の自由によって完全に保障される。もちろん、教員同士あるいは学生も含めて議論をして、講義の内容の批判も行う。学内での自由な議論によって自分の認識も相互理解も進むと。これら全てが学問の自由によって保護されているということだと思うんです。
 文科省が講義の内容について、各大学で適切な対応が行われているかどうかを判断して必要な助言を行うと、こういう方針を持つこと自体がこの教授の自由、学問の自由と両立しないと思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(下村博文君) まず、一般論として、国会で質問されれば、田村委員の質問もそうですけれども、特定の大学に対しての質問であれば、当然、事実関係として文部科学省はその大学に問合せするのはこれは当然の話でありまして、それと学問の自由というのは全く別次元の話であるというふうに思います。
 田村委員の御指摘の学問の自由は、憲法により広く全ての国民に保障されたものであり、特に、大学における学問研究及びその成果の発表、教授が自由に行えることを保障したものであるという位置付けであるというふうに承知しております。文科省としては、当然、学問の自由を尊重する立場であるわけでありまして、大学における個々の教員が行う個別の授業内容について、その是非を直接判断するという立場ではもちろんないわけでございます。
 また、大学における授業は、関係法令に従った上で、各大学における教育課程の編成や実施に関する方針に基づいて行われるべきものであり、個別の授業についても、その内容や方法がカリキュラムポリシーに沿ったものであると大学が判断しているかが重要であるというふうに考えます。このため、文科省としては、各大学が自主的に定めたカリキュラムポリシーに基づき適切な教育活動が行われるよう対応してまいりたいと考えます。

○田村智子君 大臣、文科省は講義の内容についての確認を行っていないんですよ。そんなことやっちゃいけないという立場なんですよ。そのことは私、一言言っておきたいと思います。
 じゃ、進めます。私、これ何で取り上げるかというと、この答弁、本当に問題なのは最後のところなんですよ。特に政治的なものであれば、政治的な中立性を保ちつつ子供たちに何を学ばせるかという、そこのところが大切であると思っておりますという答弁もされちゃったんです。これは、率直に申し上げますと、大学教育や学問の自由に対する誤解があるのか、はたまた批判的精神を抜きにして国家の望む人物の育成を大学教育の中で求めるのかと、こういう意向の反映なのかと思わざるを得ないような中身なんです。
 大学において、学生は子供ではありません。講義で示される見解を批判的に受け止めて教員に対して質問や意見を述べる主体であって、講義の内容を無批判に受け止める、これはもう大学教育とは言えません。どのような講義も学問的な気付きのきっかけにすぎず、そこから何を学び、どう考え、調べ、自らの意見を持つのか、それを行うのが大学と大学の教育なんだ、だから学問の自由と大学の自治は守らなければならない。
 講義内容がどうだったかなんということを文科省が確認したら駄目なんですよ。そういうことだということを感じるんですが、大臣、見解いかがですか。

○国務大臣(下村博文君) 最初に申し上げたのは、一般論とというふうに申し上げましたが、国会で聞かれれば、それはやっぱり文科省としては大学に事実関係を確認するということはあり得るということを申し上げたわけでありますが。
 まず、今の御質問に対する答弁でありますが、文部科学省として、大学における個々の教員が行う個別の授業内容についてその是非を判断する立場ではありません。大学自らの判断に基づき対応すべきそもそも事柄であるわけであります。

○田村智子君 さきに紹介しました日本科学者会議広島支部幹事会の声明ではこうも言っているんです。ドイツでは、政権獲得前のナチス党が、その青年組織に告発させる形で意に沿わない学説を持つ大学教授をつるし上げさせ、言論を萎縮させていった歴史がある。その忌まわしい歴史をほうふつとさせる本件に対して、我々が拱手傍観しているようなことがあれば、特定の政治的主張を持つ報道機関がその意に沿わない講義の一つ一つを論評し、特定の政治的主張を持つ外部の者が大学教育に介入してくるきっかけを与えることにもなると。もっともな指摘なんです。
 私は、残念ながらこの国会の審議の中で、衆参見てみますと、学問の自由とは何かとか大学の自治とは何かという根本の認識が欠落した議論、これが悲しいかな行われているんです。そういうときに文科省が少しでも迎合するかのような態度を取ったら駄目だと思います。大学教育への介入を許さないという姿勢を貫かなければ駄目だというふうに思うんです。
 今日の法案の審議の中では、本当に教授会の権限を縛っていって、これで果たして大学での教授の自由を守り発展させていく、そういう教授会を育てることができるんだろうかというような危惧も持たざるを得ませんでした。
 文科省に対しては、何というんですか、介入に対して一部たりとも迎合しないという姿勢を是非とも貫くということを強く要求をしたいというふうに思うのと、やっぱりこの法案、大学の中に手を突っ込んで内規の改定までこの法案によって求めていくと。入試や卒業の、その当たり前に行われてきた決定権限でさえも法律が認めないと。こういう法案は廃案にするしかないということを最後に申し上げて、質問を終わります。

○委員長(丸山和也君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○田村智子君 日本共産党を代表して、学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 第一に、教授会の審議事項を制限し、実態として学長の諮問機関化することは、大学の自治、学問研究の自由を脅かすものです。多くの大学で教授会は、憲法二十三条が定める学問の自由を保障し、大学の自治の根幹を担う機関として、教育課程の編成、予算、採用、昇任等の教員人事、学部長の選考、学生の身分等の教育研究に関する重要な事項について実質的な審議・決定権を有してきました。こうした教授会の役割を否定し、各大学が現に行っている大学運営の見直しを求め、学長による上意下達の大学運営を確立しようとすることは、大学自治を掘り崩すものです。
 第二に、国立大学の学長選考の基準を定めることで、学内の意思を民主的に反映させてきた学長選考意向投票制度を一層骨抜きにすることは反対です。文科省は、学部、学科の再編なども視野に入れた改革を運営費交付金の重点配分を圧力に進めようとしており、こうした改革を押し切れる学長を選考させようという狙いは明らかです。また、副学長について法定化することも、学長の権限強化を更に補強するものと言わなければなりません。
 第三に、経営協議会の学外者を二分の一から過半数に改定することは、大学経営を一層学外、とりわけ産業界の意向に沿わせるものです。産業競争力を重視する余り、基礎的研究や教育が軽視される懸念があります。学長のリーダーシップ、予算の重点配分による競争の重視、その一方で基盤的経費への予算は国立、私立とも絞り込むという大学改革は二十年以上にわたって進められてきました。これが大学の疲弊、停滞を招いていることは明らかであり、根本からの見直しが求められています。教授会を始め、大学内での民主的な討論、意思決定こそ大学発展の力であることを指摘し、反対討論を終わります。