日本共産党の田村智子委員長は6日夜、ニコニコ動画主催のネット党首討論会で、各党党首と経済政策や安全保障について議論しました。田村氏が「大企業は今以上に税金を負担する能力がある」と主張したのに対し、石破茂首相も負担を求める必要があると事実上認めました。
田村氏は経済政策について、「暮らしが苦しい」という人が世論調査でも6割に上るが、本来、経済のエンジンは家計消費だと主張。日本共産党は消費税率を5%に緊急減税して廃止を求めているが、財源として大企業と富裕層の利益に応分の負担を求めていると述べました。
田村氏は、アベノミクス以降で大企業は内部留保を200兆円も積み増していると指摘。「これらは設備投資ではなく預金や証券であり、さらに自社株買いまで行っている。日本の大企業は今以上に税金を負担する能力があるのではないか」と語り、石破首相の認識を質問。石破氏は、売り上げは7%、利益と配当は140%上がったが、賃金は2%しか上がらなかったことへの総括は必要だと述べ、「負担する能力がある人には、法人であれ自然人であれ、ご負担をお願いすることはやっていかなければならない」と認めました。
入学金返還通知出させた党
若者の声で伸ばして
田村氏は、大企業と富裕層に応分の負担を求めることは中長期的にも大事な視点で、経済を元気にするためにも必要だと強調。「大企業は減税を受け、その利益を役員報酬や株主配当、内部留保に回してきたが、それが富の偏在を生んでいる。大企業の利益は本来、働く人たちが生み出したもので、消費する人がいるからこそもたらされる。その利益を社会に還元しようと求めていく」と語り、消費税減税とともに、内部留保の一部に課税し、中小企業の賃上げ支援に回すよう訴えました。
「防衛力の強化は必要か」との問いに石破首相は「今は戦後もっとも厳しい安全保障環境にあり、防衛力の強化は当然だ」と主張。国民民主党の玉木雄一郎代表も賛意を示し、「国内防衛産業の育成、『能動的サイバー防御』のための人材育成、スパイ防止法やエネルギー自給のための原発再稼働が必要だ」と強調。日本維新の会の吉村洋文代表は「日本は防衛に関する危機感がなさ過ぎる。(自衛隊の人手不足は)国の方向性が示されていないことが根本問題だ」として9条改憲を主張し、自民党をけしかけました。
多くの政党が、中国やロシア、北朝鮮の「脅威」を念頭に、防衛力強化は当たり前だとの主張に終始する中、田村委員長は、外交努力こそ「もっとも現実的だ」と強調。「ミサイルをどれだけ配備しても北朝鮮の核開発をやめさせることはできない。米中の覇権争いの中で中国と関係を断絶し敵対関係になってしまえば、日本の経済は困難に陥る。(万が一の有事の際には)全島避難にさらされる沖縄の人々はどこで暮らせと言うのか。(今の軍事力増強一辺倒は)あまりにも非現実的だ」と訴えました。
世界をみたときに、今はトランプ米大統領の暴走こそ危険だと指摘。「国際法も国連憲章もお構いなしにイランを一方的に攻撃し、そのトランプ政権が日本に軍事費のGDP(国内総生産)比3・5%を求めている。こうした『力の支配』を強める米国との同盟関係が絶対だという立場では、米国が引き起こす戦争に巻き込まれかねない」と語りました。
「若者は未来に希望を持てるのか」との高校生の質問に田村氏は、大学学費の値上げ中止を求めて100を超える大学から学生が国会に集まったことや、高校生平和ゼミナールが日本政府に対し核兵器禁止条約への批准を求めたことなどを紹介。「こうした声に応えられない政治を変えることが必要だ。私立大学への入学を辞退した際には入学金を返還するよう文科省が各大学に通知を出すなど、少しずつ政治を動かしてきている。痴漢についても、若者の声を受け、それは『迷惑行為』ではなく明確な犯罪だという方向にも動いている。若者の声で現実を動かす政治家や政党を伸ばすことが大事だ」と語りました。
2025年7月8日(火) しんぶん赤旗