ともここらむ

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世界の中で異常な「高学費・低補助」――決算委員会の質問で安倍内閣に転換迫る

1月21日参議院決算委員会。安倍内閣が若者になんと冷たいかが、浮き彫りになったでしょうか。

国立大学に授業料免除で入学。親は仕送りができないので、夕方4時から深夜0時まで1日8時間、塾で添削作業。大学の講義がない日は、スーパーの店頭販売など日雇い派遣。それでも卒業時には奨学金という名の300万円の借金を担わなければならない。

私立大学の1年生、奨学金月12万円を借り入れ、夜10時から朝5時までコンビニバイト。空いている時間で仮眠をとりながら大学に通う。それでも年90万円の授業に足りず、後期分を滞納。「結構がんばったんですけどね」と知人に中退を決意したことを告げた。

こういう実情が次々に集まりました。長時間・深夜まで働くか、「短時間・高収入」の風俗で働くか、こんな選択まで学生たちはしなければならないのです。

欧米でも、学費値上げをする国はあります。しかし、学生の運動や国民的批判が起これば、負担軽減の新たな措置がとられています。
例えばドイツ、1960年に州立大学は授業料無料に。しかし90年代に財政難から授業料徴収をする州が増えていった。学生たちが立ち上がり、今また、無償化の流れがはじまっているのです。
イギリス、授業値上げに国民的な批判が起き、卒業してから、所得に応じて支払う制度になったのです。
韓国も学費は高い。しかし、08年、生活保護受給者への給付制奨学金をスタートさせ、低所得層、中間所得層へと対象を広げているのです。

日本はどうか。学費を上げる議論はあっても下げる議論さえない。奨学金を借りればよいというだけ。返済総額を減らす支援も何もない。むしろ利息をつけて返せという。取材した私立大学の3年生は、「月2万2000円だから返せるでしょう?と言われるけれど、20年かけたら利子分で100万円。せめて利子の分だけでもなんとかならないのでしょうか」とメールを寄せてくれました。

この政策が、雇用破壊、国民所得の激減というもとで続けられたことで、あまりに深刻な実態が広がってしまった。質問準備の過程で、私も想像を超える事態に戦慄さえ覚えました。

小泉内閣が規制緩和をすすめた2000年以降、雇用の流動化が必要だと、正規雇用の破壊が急激に進みました。親世代が学生生活を支えられなくなり、奨学金の貸付額が大きく増えたのもこの頃からです。派遣法の改悪などで、社会人の中に非正規雇用が広がると、学生たちの時給もデフレスパイラルにおちいっていく。少しでも時給の高いバイトとなると、深夜の居酒屋やコンビニにならざるをえない。これで身体がもたない、これでは稼ぎが足りない、その先には「短時間・高収入」のバイトという道しかなくなってしまう。「風俗は普通のアルバイトになっています」と指摘する声さえありました。

若者の人生がこれほど傷つけられているのかと、抑えようのない怒りがこみあげます。学費引き下げ、給付制の奨学金、そしてまともな雇用のルール、ここに本気で踏み出さないと、日本社会は壊れてしまう。

ドイツやイギリスで、学生自身がたちあがったように、日本の学生・若者が、今こそ声をあげる時だと思います。今回の質問に寄せられた反響から、運動が広げることはできるはずだと確信しています。学費や奨学金で苦しい思いをしている人、してきた人、ともに政治を動かしましょう!


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