ともここらむ

ともここらむ
「議会が壊れてしまう」

「議会が壊れてしまう」--12月7日の参院本会議場、一瞬、悔し涙がこみあげた。脳裏にうかんだのは、2015年の安保法制の強行採決。あの時、私は委員会室の一番後ろで、天を仰いで涙をこらえていた。こんな暴力的行為が国会の中で起きている、それが悔しくて後から後から涙がこみあげた。

7日の本会議場、発言時間制限を守らないことを理由に、自民党の議院運営委員会理事が、「発言をやめさせろ」と参議院の職員をなんども怒鳴りつけ、さらに、野党の理事に怒鳴りながら詰めより、肩をつき、間に割って入らなければならないような騒ぎとなった。
「冷静にならなければダメだ」と繰り返し声をかけた私に「騒ぎにすればいいんだ」と言い放った。

本会議場の演壇、国民の信託を受けて演説をする場。言論の自由を象徴し、議員としての発言の重さを自覚する場。
私たちがやるべきは議論なのに、なぜこんなことが。ことの重大性に、胸が苦しくなるほどだった。

騒ぎを起こした自民党理事は、陳謝し議運委員会を辞任した。普段は礼儀正しい彼が、なぜこんな不始末をしでかしたのか、自らの行為を深く見つめ直してほしい。
同時に、個人の不祥事だけではない、根の深さを考えずにはいられない。
「異なる意見」を封じ込める、発言時間しかみないで「ルールを守れ」と高圧的に野党に迫るーー根本的に何かが間違っている。

騒ぎが収まってから、紙智子議員が、農水委員長解任決議案への賛成討論に立った。漁業法改定法案の審議を一方的に打ち切った委員長に、紙さんは語りかけるように迫った。

「委員長、あなたは沿岸漁業者の苦しみを理解していますか。
イカの不漁で苦しむ漁師、
クロマグロの漁獲規制を一方的に押し付けられて生活に困窮する漁師、
サメが増え過ぎてスケソウダラが捕れないと嘆く漁師、
トド被害に苦しむ漁師、
東日本大震災から復興する姿、
原発事故から必死に立ち直ろうという姿が目に入りませんか」

涙をこらえ何度も言葉につまり、涙をぬぐいながら、声を詰まらせながら演説する姿には、私たち議員がなぜ発言するのかが凝縮されているようだった。
私たちは、国民の叫び、国民の願いを代弁するためにここにいるのだと。それが本会議での発言なんだと。

議会を壊してはならない、発言を封じ込めることばかり考えていたら、議会の原点が失われてしまう。
与党も、野党も、私たちはなぜここにいるのか、何を発言すべきなのか、真摯に考え、本当の議論をやろうじゃないかーーそれができないのならば、議会から退場してもらおうじゃないか!

 


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