ともここらむ

ともここらむ

「君はもう、一人でたたかえる」、鉛筆を握って前を見つめる男の子ーー有名な学習塾の広告です。まぶたが重くなるまで問題を解き続けたことを思い出せ、などの文言が続き、締めくくりは、「さあ、ゆこう。君の集大成を見せてやろう。」

ねぇ、君はまだ12年しか生きてないんだから、集大成なんて早すぎるよ、これから何年も何十年も、どこにいたって、いろんなことを学べるし、経験できる、どんどん自分を成長させることができるんだよ。

あのね、子どもは、たたかわなくていいんだよ。眠たい時は、スイッチが切れたみたいにぐっすり眠っていいんだよ。大人になったら、いくらでも試練の経験はできるんだから。
それよりもいまは、友達といっしょに笑おうよ、声を上げて、けらけら笑い転げるなんて、きっと子どもの時しかできないことだから。
学ぶって、発見や驚きや共感を、仲間と経験できるんだよ。知ったこと、わからないこと、ワイワイと話し合うと、学ぶって、もっと楽しくなるんだよ。
ワクワクして、心が自由になれるんだよ。そんな学びができるように、大人が頑張らないとね。
だから子どもは、わかんないよ、どうして、もっと面白く勉強したい、こんなことしたい、もっと僕たちをワクワクさせてって、大人に偉そうにいっていいんだよ。
私のメッセージ。

国連子どもの権利委員会から、過度な競争教育が子どもの発達を阻害している、と勧告を受けてから、すでに20年が経過しました。
市民団体が、「子ども期の喪失」とレポートをまとめ、国連に提出したのも同じ時期。

「子ども期」という言葉は、以来、私の指針の一つになっています。
だからこそ、一人でたたかえ、というメッセージが胸に刺さって取れないのです。


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