政策・マニフェスト

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【田村智子の実績】人工妊娠中絶薬の早期導入と共に、中絶薬の価格高騰防止と中絶の保険適用を求めました!

2021年6月3日(木) しんぶん赤旗

中絶薬、早期導入要請 厚労副大臣が田村氏に答弁

 

 三原じゅん子厚生労働副大臣は1日の参院内閣委員会で、産婦人科医会などに人工妊娠中絶薬の早期導入を要請したと明らかにしました。日本共産党の田村智子議員への答弁。

 三原氏は5月15日、日本産婦人科医会会長、日本産科婦人科学会理事長と中絶について意見交換。中絶薬の早期導入と外科的手法のより安全な真空吸引法の普及を求めました。

 田村氏は質問で、日本での治験で安全・有効性が確認された中絶薬について、世界保健機関(WHO)が「必須医薬品」とするなど世界で使用が確立している一方、日本は外科的手法しか認めず、合併症の危険がある「掻爬(そうは)法」が主流だと指摘。日本で8割(2012年)に上る同手法の実施率は、先進国では0~4%で、WHOは「時代遅れの方法」だとしていると述べ、中絶薬の早期承認と吸引法への転換推進を求めました。

 田村氏は女性の人生設計の自己決定権というリプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を保障し、経済的理由による中絶断念があってはならないと強調。中絶薬の価格高騰防止と、中絶の保険適用を求めました。

 厚労省の横幕章人審議官は「治療上の必要がある場合」を除き「保険適用は困難」だと答弁。三原氏は「まずは国民各層の議論だ」と述べて公的補助に背を向けました。

 

 

【2021年6月1日 内閣委員会 議事録】

○田村智子君 コロナ禍での予期せぬ妊娠、中絶の相談が本当に、特に十代で増えているということなので、この問題を取り上げたいというふうに思います。

 私、二〇一八年には、この内閣委員会で高校生の妊娠というのは懲戒対象じゃないということを質問しました。二〇一九年には、経口避妊薬へのアクセスということも質問をいたしました。今日は、塩村議員もかなり取り上げていた中絶のことについて私も取り上げたいんです。

 WHOは、女性の健康を守るという立場で安全な人工妊娠中絶ケアのガイドラインを作成しています。妊娠十四週未満では薬剤を用いるか外科的手法、真空吸引法、頸管拡張及び子宮内容除去術のどちらかを推奨しています。しかし、日本では現在、外科的手法しか選べない。今、経口中絶薬の治験が進んでいて、有効性、安全性の検証試験は終了しました。今、最後の段階に来ています。

 この治験は、最後の段階の治験、どのように行っていて、母体保護法指定医の関与や入院などを必須としているのかどうか、端的にお答えください。

 

○政府参考人(山本史君) お答え申し上げます。
 既に終了しております有効性、安全性を検討するための検証的試験につきましては、母体保護法におきまして指定医のみが人工妊娠中絶を行うことができるとされておりますことから、指定医の関与が求められておりました。

 また、被験者保護の観点から原則入院下での実施が求められており、特に子宮収縮作用のあるミソプロストール投与後に中絶が起きる可能性が高いことから、本剤の投与後、中絶が確認できるまでの間は入院が必須とされておりました。

 

○田村智子君 原則入院での治験ということなんですね。安全性の上からは必要なことではあろうとは思います、後でちょっといろいろ質問していきたいんですけど。

 妊娠継続に必要なホルモンを抑えるのがミフェプリストン、子宮収縮効果のあるミソプロストールとの組合せで中絶薬として、フランスでは一九八八年に承認をされて、その後、七十五か国以上で薬事承認され、既に世界で広く使われています。国民の優先的な医療ニーズを満たすというコンセプトで作成されたWHOの必須医薬品リストにも掲載をされているんですね。効果、安全性、体への負担が小さいということから、承認されている国では既に妊娠中絶の主流です。

 日本でも私は早期に承認すべきだと思いますし、承認後は全ての女性がアクセスできるよう、使えるように厚生労働省としても積極的な普及を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 

○副大臣(三原じゅん子君) 人工妊娠中絶に関しましては、母体保護法の目的にあるように、母性の生命健康の保護が極めて重要であると思っております。この人工妊娠中絶の方法として諸外国では経口中絶薬が使用されていることがあり、我が国でも現在臨床試験が行われていると承知しております。

 この経口中絶薬につきましても、有効性、安全性など様々な課題があることは認識しておりますが、経口中絶薬の利用を期待する意見もあることから、多様な選択肢を確保する観点から我が国においても経口中絶薬が早期に導入されるように、関係団体に対して五月十五日にお願いしたところでございます。

 厚生労働省は関係団体と連携して母体保護法の運用を行っており、引き続き関係団体と連携いたしまして母性の生命保護の観点から適切に対応してまいりたいと思っております。

 

○田村智子君 WHOのガイドラインでは、薬剤投与では今紹介した二つの薬の組合せ、これが成功率も高く安全で、薬剤の第一選択としています。実は日本でも妊娠九週未満で使用された場合の成功率九八%を超えるという報告があるということがWHOのガイドラインで指摘されているんですよ。全ての女性がやはりアクセスできるようにすることはとても重要だというふうに思うんです。

 それから、今行われている中絶の問題なんですけど、二〇一二年の日本産婦人科医会の調査を見ても、真空吸引との併用も含めて掻爬術、かき出すですね、この中絶が八割にもなる。海外では、掻爬術の実施率はイギリスではゼロ%、先進国ではゼロから四%。やはり真空吸引法などと比較すると合併症の発生頻度が数倍だというふうにも指摘されていて、WHOも安全な中絶のガイドラインで、これは時代遅れの外科的中絶方法、真空吸引法又は薬剤による中絶方法に切り替えるべきというふうに指摘をしています。

 厚生労働省は診療報酬で真空吸引法などへの誘導を試みているということは承知をしていますけれども、中絶手術というのは圧倒的に自費診療です。だから、実態としては誘導になっているんだろうかというふうに疑問を持たざるを得ないんですね。

 やはり日本でも、学会とも協力をして安全な中絶のためのガイドラインを作る、国際基準で、そして母体保護法指定医への啓発を進めるなど、外科的手法においても真空吸引法など安全な中絶法への普及、これを図っていくべきだと思いますが、いかがでしょう。

 

○副大臣(三原じゅん子君) 議員御指摘のとおり、流産や中絶の外科的手技については掻爬法と吸引法がございますが、WHOでは吸引法を推奨しております。しかし、我が国ではいまだに掻爬法を一般的に用いている医療機関もあるということをお聞きしております。

 このため、先般、五月十五日に、日本産婦人科医会の会長及び日本産科婦人科学会の理事長と面会いたしまして、合併症の軽減の観点などから吸引法が更に医療現場で普及するよう御協力をお願いしたところでございます。

 いずれにいたしましても、関係団体と連携して、今後とも母性の生命健康の保護のため母体保護法について適切な運用を図ってまいりたいと思っております。

 

○田村智子君 もう一つ検討していただきたいのがやはり保険適用なんですね。
 経口中絶薬の承認を契機として、私は、外科的手法も含めて保険適用、これ積極的に検討すべきだと思いますけれども、そこの点はいかがでしょうか。

 

○政府参考人(横幕章人君) お答えを申し上げます。
 健康保険制度におきまして、労働者等の業務災害以外の疾病、負傷に対し保険給付を行う制度でございます。治療と疾病等の関係が明らかで、また有効性、安全性等が確立している治療、これを保険適用しているところでございます。

 その中で、今御指摘の中絶につきまして、例えば、重度の妊娠高血症などの理由で妊娠の継続が母体にとって危険な場合、その状態を解消する治療として中絶が行われる等、治療上の必要性がある状況で行われたときは保険適用になるということでございます。

 一方で、経済的理由による中絶など、治療上の必要性とは言えない状況で行われた中絶につきましては、疾病や負傷の治療等には当たりませんということで保険適用することは困難というふうに考えております。

 

○田村智子君 経済的な理由から中絶をためらっているうちにもうそれができないという状態になってしまうという女性、多々いると思うんですよ。そういう人たち、やっぱり保険適用を進めることでこういう事態を私はなくしていくことが必要だと思います。

 それから、価格なんですね、価格、経口中絶薬。現在、日本で治験を行っているラインファーマは、ミフェプリストンとミソプロストールを一つのパックにした経口中絶薬、これカナダで三百カナダ・ドルで販売していて、アメリカではオンライン販売の中央値が二百五ドルという報告もあります。薬価を決める際には外国価格を参照とすることになっていますので、日本でも一回当たり二万円を超える高額な薬剤となる可能性があるんです。

 しかし、ミソプロストールというのは、既に胃潰瘍の治療薬としては日本で販売されていて、一錠二十九・五円なんですよ。アメリカでは更に安いんじゃないかと。ミフェプリストンは、アメリカのドラッグストアでは六十ドルから七十ドルなんですね。そうすると、両方使った場合でも一万を切るというのが普通の価格なんじゃないかと思うんです。これよりも数倍も高いような価格というのは、とても私は妥当な価格とは言えないというように思います。

 また、治験では入院治療を必須としているということなので、そうすると入院費用も上乗せされると、結局、経口中絶薬であっても、今の外科的な手法と同じように十万から二十万という費用負担になってしまうんじゃないのかということが危惧をされるわけです。

 ちょっと最後、まとめて三原副大臣にお答えいただきたいんですけれども、私は、一つには、やはり経済的な理由で、例えば中絶薬の方が効果もあり安全だとなれば実は外科的手法よりも高く設定される可能性だってあるんですよ、そうすると経済的な理由で安全な方が選べないという事態起きる危険性があります。それから、今言ったみたいに、その十代の子たちが中絶をと思ったときにお金がないわけですよ。それで手遅れになってしまう。ゼロ歳児の虐待が一番多いというのは、やはり予期せぬ妊娠によるものということはとても多いと思います。そして何より、堕胎というのはかつては罪にされていた。だけど、今は違うんですよ。リプロダクティブヘルス・アンド・ライツ、女性が人生設計を行う上での自己決定権があるんだということが求められています。

 こうした視点に立って、やはり今回の中絶、経口中絶薬の保険適用や経済的負担の軽減、是非検討いただきたいと思います。最後、一言お願いします。

 

○副大臣(三原じゅん子君) はい。
 人工妊娠中絶に関しましては、母性の生命健康の保護が極めて重要であることは認識しております。

 その上で、人工妊娠中絶の公的補助に関しては、胎児の生命尊重や女性の自己決定権等について様々な御意見が国民の間で存在し、さらに、個々人のこの倫理観や道徳観というものも深く関係する大変難しい問題であるのではないかなと認識しております。

 そのため、人工妊娠中絶への公的補助、助成につきましても、まずは人工妊娠中絶の在り方に関する国民各層における議論というものが深まることが重要だというふうに考えております。

 


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