政策・マニフェスト

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【田村智子の実績】中高生の妊娠・出産は、懲罰ではなく保護と教育の問題として対応するよう訴えました!

2018年3月29日(木) しんぶん赤旗

中高生妊娠 懲戒だめ 田村智氏 「保護と教育こそ」

 

 日本共産党の田村智子議員は20日、参院内閣委員会で、中高生の妊娠、出産にともなう退学などの問題をとり上げ、懲罰ではなく保護と教育の問題として対応するよう求めました。

 高校生が妊娠した場合、女子高校生が進路変更や退学に追い込まれ、就職やその後の人生にハンディを負う例が多いとの田村氏の指摘に、野田聖子女性活躍担当相は「女性活躍の観点から大きな問題だ。そのような事態を防ぐための取り組みが必要だ」と述べました。

 田村氏は、懲戒ではなく保護と教育こそ基本とすべきだと提起。高橋道和・文科省初等中等教育局長は「関係者で話し合い、母体の保護を最優先として、教育上の必要な配慮を行い、安易に懲戒は行わないという対応が考えられる」と答えました。

 田村氏は、望まない妊娠をなくすため、避妊法など正しい知識と自分を守る手段を身につけることが必要だと主張。野田担当相は「思春期の段階から避妊方法の正しい知識を得ることは重要」だとして「女性自身の避妊にはピルの使用が欧米では当たり前で、そういうことも検討していかなければならない」と話しました。

 

 

【2018年3月20日 内閣委員会 議事録】

○田村智子君 女性の人権や女性の活躍という視点から、中高校生の妊娠のことについて今日は取り上げたいんです。

 十代の妊娠というのは、多くは様々な問題を抱えた予期せぬ妊娠で、身体的なリスクも高いです。望まぬ妊娠に至らないような多面的な取組が大切だということは言うまでもありませんが、同時に、現実に妊娠してしまったという、こういう中高校生をどう支援するかということは、これは大切な課題だと私は思っております。高校生の場合は中退を余儀なくされるというケースも多く、これでは、就職を始めその後の人生で大きなハンディを負うことになってしまいます。予期せぬ妊娠でリスクや不利益を背負うのは圧倒的に女性です。

 妊娠を理由とした退学処分や自主退学を迫るということは、これは女性の人権擁護あるいは女性の活躍、こうした視点からも問題だというふうに思いますが、野田大臣の見解をお聞かせください。

 

○国務大臣(野田聖子君) 我が国の人工妊娠中絶は年間約十七万件と言われています。妊娠したことを保護者や学校の先生に言えない中高生が統計には表れない方法で中絶しているケースも考えられ、実際のケースはこれより多いとの指摘もございます。

 生まれてくる命は尊いものです。妊娠も同様に尊いものです。国際的に見て、望まない妊娠の防止は常に最優先課題とされており、望まない妊娠等に関する適切な予防行動について、現状を踏まえた啓発や相談指導の充実を図る必要があることは言うまでもありません。

 その上で、もし若くして妊娠した場合であっても、中絶という母子の両方にとって不幸な事態が生じないような必要な支援はすべきであり、また妊娠中から出産後の学業やキャリアとの両立をサポートするなど、社会全体で支援すべきであるというのが私の考えです。

 将来のある中高生が妊娠することで退学や中絶を余儀なくされる状況があるとすれば、女性活躍の観点からも大きな問題であり、政府として、そのような事態を防ぐため取組を強化していく必要があると考えています。

 

○田村智子君 一昨年十二月に超党派の子どもの貧困対策推進議連が、当時一億総活躍を担当していた加藤大臣に申入れを行いました。私も出向いたんですけれども、その際に、項目の中に妊娠による高校退学をなくすための取組、これを求めました。文科省はその後どのような対応をしたのか、お答えください。

 

○政府参考人(高橋道和君) 子どもの貧困対策推進議員連盟より、平成二十八年十二月に、若年妊娠者の高校中退、将来の非正規雇用リスクを減らすよう徹底した調査と通達で妊娠退学をゼロにしていくこととの要望をいただいております。

 これを踏まえ、文部科学省においては、昨年一月に開催した都道府県教育委員会等の生徒指導担当者を対象とした会議において、高校生が妊娠した場合に教育上必要な配慮を行うよう依頼を行ったほか、昨年三月に、実際に各高等学校において様々な配慮を行った事例について取りまとめ、都道府県教育委員会等に対し周知を行いました。

 さらに、現在、全国の公立高等学校における妊娠を理由とした退学等に係る実態を調査、集計しているところであり、今後、調査結果がまとまり次第、速やかにその結果を踏まえ、妊娠した生徒への対応の在り方についての通知を発出することを検討しております。

 

○田村智子君 改めて、文科省として高校生の妊娠ということをどう捉えているのか。学校によっては妊娠を懲罰の対象としたり自主退学を迫ることも含めて退学を事実上強要するという場合があるというふうに聞いているんですが、こういう対応についても併せて見解をお聞かせください。

 

○政府参考人(高橋道和君) 生徒が妊娠した場合には、関係者間で十分に話し合い、母体の保護を最優先としつつ、教育上必要な配慮を行うべきであると考えており、当該生徒に学業継続の意思がある場合は教育的な指導を行いつつ、安易に退学処分等の懲戒的な対処を行わないという対応が十分に考えられるところでございます。

 なお、高校生が妊娠に至る状況には様々なケースがあり、妊娠した生徒に対する対処は基本的には個別の事案ごとに各学校において適切に判断すべきものであると考えております。

 

○田村智子君 ちょっと確認をしたいんですけれども、つまり妊娠そのものは懲戒の対象ではないし、やっぱり学業の継続ができるような様々な支援が必要だということでよろしいでしょうか。

 

○政府参考人(高橋道和君) 御指摘のとおりと考えております。

 

○田村智子君 懲罰の対象ではなく、卒業できるように支援していくと。これ、是非学校の現場に周知をしてほしいんです。

 ただ、妊娠に至る過程を不純異性行為、非行だと扱って、そのことをもって懲戒処分を行うと、これはあり得るわけですね。しかし、思春期になって性的衝動を持つというのは、これは私、自然の摂理であって、互いの恋愛感情から性行為に至るということは可能性としてあり得るというふうに思うわけです。もちろん、そうした性的衝動をコントロールするということが大切で、それはまさに教育の課題だというふうに思います。

 この性行為を懲戒対象としてしまえば、実態としては妊娠を懲戒対象とするのと同じことになってしまうんですね。それでは、退学などの処分を恐れて、野田大臣言われたとおり、妊娠が分かっても誰にも相談できないと、こういうことになりかねないんです。産婦人科医会の調査では、十代の妊娠中絶は、妊娠周期が経過してからのリスクの高い中絶になる割合が高いということも、これ分かっています。また、中絶可能な時期を過ぎてしまって、これは私も知っている事例ですけど、妊婦健診を一切受けないまま一人で産もうとしたと、こういう事例も現実に起きているわけですね。これはまさに、母子共に命に関わる事態ということになりかねないんです。

 まず、様々な問題はあります。あるからこういうことになるんです。だけど、保護と教育こそが必要なんだと、文科省はそういう立場を明確にすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

 

○政府参考人(高橋道和君) 高等学校の生徒が妊娠した場合は、関係者間で十分に話し合い、母体の保護を最優先としつつ教育上必要な配慮を行うべきものであると考えます。

 具体的には、在籍する高等学校で学業を継続する場合には、当該生徒の状況やニーズも踏まえながら、学校として養護教諭やスクールカウンセラー等も含めた十分な支援を行う必要があるほか、体育実技など身体活動を伴う教育活動においては課題レポート等の提出や見学で代替するなど母体に影響を与えないような対応を行う必要があると考えられます。

 また、当該生徒の希望に応じ、当該高等学校で学業を継続することのほか、学業の継続を前提として休学、全日制から定時制や通信制などへの転籍又は転学を支援するなどの配慮も考えられます。

 

○田村智子君 例えば、こういう場合には、生徒指導の先生が、おまえ大変なことしでかしたなと、こうやって叱責するよりも、養護教諭の先生が、高校生の体と心を気遣いながら妊娠や出産について丁寧に話をして、これからどうするのかと生徒を守りながら話しする、こういう対応が求められているというふうに思いますので、是非、高校生を追い込むような、孤立させるような、そういうことのないような対応をできるように学校現場への徹底をお願いしたいというふうに思います。

 で、生徒が出産を選んだ場合の支援、これも問題提起をしたいと思うんです。
 おととし、私、高知の太平洋学園という私立の全日制、通信制高校を訪ねました。土曜日の昼間だったんですが、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきまして、校長先生に赤ちゃんいますねと聞いたら、生徒さん二人が本当に赤ちゃん連れて登校をしてきていたんですよ。空いている先生が交代で見てあげているということだったんですね。校長先生は、託児施設を何とか学校の中につくって、出産しても通学できるように支援したいけれども、財政的な支援というのがないから厳しいんだと、公的な支援が欲しいということも要望されました。

 実際、通信制高校では託児施設を設けているところはあります。全国高等学校通信制教育研究会の十年ごとの調査を見ますと、二〇〇八年、これ直近の調査で二十二か所託児施設があるということなんです。しかし、その多くは学校の持ち出しでやっていたりボランティアで対応しているということなんですね。こういう通信制高校での取組、託児所をつくりたいという要望、これ都道府県からの支援ができないか、検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。

 

○政府参考人(高橋道和君) 通信制高校の管理は、その設置者である地方公共団体等が行っており、また保育を必要とする子供を育てる生徒のニーズや実情は学校や地域によって異なること等から、通信制高校における託児施設の設置については、地域の実態等を踏まえ、当該地方公共団体が基本的には適切に対応すべき問題であると考えております。

 

○田村智子君 是非、都道府県からの支援というところに何とか道を開けてほしいなということは重ねて要望しておきます。

 もう一つ問題提起したいのは、その妊娠に至る過程。恋愛、性行為、また避妊の必要性と正しい方法など真っ当な情報や知識を得る機会、考え合う機会、これは思春期の始まりからどうつくっていくかということが問われているんじゃないかということなんです。

 日本性教育協会の調査報告資料、これ私の配付資料の一番最後のページにあります。避妊を実行していると回答した高校生、大学生が選択した避妊方法、これ男女別、高校と大学の別での回答ですけれども、一から二割が膣外射精を挙げています。また、月経からの日数を数えるといういわゆるオギノ方式、これ女性の一割を超えています。これは、避妊って言えないと思うんですね。これ、望まぬ妊娠というのをやっぱりこれは防げないということになります。厚生労働省の人口動態調査を見ても、先ほど大臣から御答弁ありました、十五歳以下の中絶数八百三十九、中絶率八割、十六歳では一千四百五十二、中絶率七割なんですね。

 野田大臣にお聞きしたいんですが、望まない妊娠をなくす、これは女性のための政策として取り組むべき課題で、そのためには、性について、避妊方法も含め思春期から正しい知識を得て、自分の問題として、とりわけ女性が我が身を守る手段としてこれは学び取るということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

 

○国務大臣(野田聖子君) 田村委員がおっしゃっている、今回は中高生の妊娠そして中絶の問題ですけど、望まない妊娠というのは必ずしも中高生に限らず教養のある成熟した女性にも襲いかかってくる問題であるわけですね。つまり、望まない妊娠の防止というのは常に最優先課題であり、あらゆる努力がなされなければなりませんし、女性だけが考えていても駄目なわけであります。

 そんな中で、第四次男女共同参画基本計画においても、思春期の女性に対する取組としては、「望まない妊娠や性感染症に関する適切な予防行動については、現状を踏まえた具体的かつ実践的な啓発を行うとともに、避妊や性感染症予防について的確な判断ができるよう、相談指導の充実を図る。」とされています。

 委員の御指摘のとおり、思春期の段階から避妊方法においては正しい知識を得ることは重要であり、引き続き関係各省と連携しながら施策を進めてまいります。

 私自身、このことでいろいろと外国の方との意見交換をするんですけれども、日本の場合はやはり今おっしゃったような避妊もあればコンドームを使っての避妊というのが一般的に伝わっているけど、これはむしろ海外においては性感染症予防であって、本来やっぱり女性自身が避妊をするパートナーというのはピルの使用なんだということは、もうヨーロッパ、欧米では至極当たり前なんですけど、まだ日本ではそういう議論がなされていないということも今後検討していかなきゃならないと思っております。

 

○田村智子君 これ、若年妊娠の問題に取り組んでおられる産婦人科医の種部恭子さんがこんなことを言っていらっしゃるんですよ。健康な性を肯定的に捉えながら具体的な危機管理の方法を教え、十八歳までに性的自己決定能力と関係調整を行う力を身に付ける、これが非常に大切だと。私、この指摘、とても大切だというふうに思います。パソコンは小学生からもう使えるように教えるわけですよ。で、様々なゆがんだ情報、商品化された性の情報というのは氾濫をしています。その情報が基になってしまえば、それは女性への暴力的な性行為とか、あるいは性を汚れたものと捉えてしまう、こういう温床にもなっているというふうにも思いますので、是非こうした産婦人科医の皆さんや保健師さんとも協力して学校での性教育の充実ということをお願いしたいというふうに思います。

 


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