活動報告

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国交省元官僚の人事介入/天下りの実態明らか/田村智議員

 日本共産党の田村智子議員は11日の参院国土交通委員会で、国交省の本田勝・元事務次官らが民間企業「空港施設」に対し、同省出身の山口勝弘副社長を社長にするよう求めていた問題で、両氏への聞き取りで「事実関係を確認できた」とする同省の内部調査は不十分だと強調しました。

 田村氏は、同社の人事について両氏の間で相談を持ちかける、受けるなどの関係があったか把握しているのかと質問。同省の宇野善昌官房長は、両氏は「やり取りをしていないと回答した」と答弁しました。

 田村氏は「その説明だと本田氏は山口氏に何の相談もなく、山口氏を社長にしろと求めたことになる」「全く信用ならない調査だ」と批判しました。

 田村氏は、同社の社長ポストには創設以来7代連続で同省の次官級職・局長職経験者が就いており、天下りの実態は明らかだと指摘。本田氏は小幡政人、安富正文両元事務次官を代表して動いたことを自ら認めており「組織的なつながりがなくて、どうして20年も前のOBが(今回の件に)関係するのか」と迫りましたが、斉藤鉄夫国交相は本田氏の「組織的な活動はなかった」との発言をそのまま述べるのみでした。

 田村氏は同省が2011年、当時の国交審議官だった宿利正史(しゅくり・まさふみ)氏の天下りあっせんを「違法性なし」と判断し、内閣府の再就職等監視委員会が「違法」と認定したときには宿利氏は退職しており責任追及できなかったと指摘。「かつても内部調査は不十分だった。内閣府で調査を行うべきだ」として、10年間の国交省の天下り資料の提出と関係者の参考人招致を求めました。


2023年4月12日(水) しんぶん赤旗

 

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 空港施設株式会社の次期社長に同社副社長山口勝弘元航空局長を就任させるよう本田勝元国交省事務次官が要求していたと、この事実が確認された問題で質問いたします。

 本田元事務次官は、国交省の聞き取りに対して、あっせんを目的とした有力OBの組織的な活動や話合いはないと答えています。二〇一七年、文科省天下り問題ではOBが文教フォーラムという組織をつくっていましたが、このようなOB組織は存在しないということなんでしょうか。

○政府参考人(宇野善昌君) お答え申し上げます。
 本田氏からヒアリングを行ったところ、今先生がおっしゃったとおり、あっせんを目的とした組織的な活動や話合いをすることはなかったという回答がございましたので、そういう組織はないという回答でございました。

○田村智子君 いや、それだけでそういう組織がないと断じるのはちょっと違うんじゃないでしょうかね。
 本田氏と山口氏の動きというのは連動しています。まず、二〇二一年五月の役員会議で、山口氏自身が自らの副社長就任を求め、バックにいる人たちがどう思っているかと発言をした。国交省の聞き取りに、OBの皆さんが自分に期待していると想像したというふうに答えておられる。一方、本田氏は、OBについて個別の御相談や御要望をお聞きすることがあると答えています。

 それでは、二〇二一年、二二年、本田氏と山口氏の間で空港施設社の人事について相談を持ちかける、受けるなどの関係があったのかどうか、国交省、把握していますか。

○政府参考人(宇野善昌君) お答え申し上げます。
 元事務次官の本田氏に対し、一昨年五月三十一日、空港施設株式会社の役員会議で山口氏が代表取締役副社長に自薦した際、バックにいる人たちがどう思っているかということなどと発言したとの報道があったが、この点について、社内での自薦の進め方について山口氏とやり取りをしたのかどうかという確認をしたところ、一切やり取りをしたことはないとの回答がありました。また、元東京航空局長の山口氏に対し、昨年十二月十三日に本田氏が空港施設株式会社を訪れて、社長、会長と面談し、この六月に山口氏を社長でと求めた旨報じられているが、本田氏と何かやり取りはあったか確認したところ、やり取りはないとの回答があったところでございます。
 なお、本田氏、山口氏、両氏においてその他どのような接触があったかについては承知をしておりません。

○田村智子君 にわかには信じ難いんですよ。
 二〇二二年十二月、本田元事務次官が空港施設社の現社長と面談して山口氏の社長就任を求めた。今の説明だと、山口氏に何の相談もなく、山口氏がそのことを望んでいるかどうかも知らずに社長にしろというふうに求めたことになっちゃうんですよね。しかも、社長に就任したら、山口氏の先輩や同僚であった国土交通省のOBとして注意をしたり相談に乗るという認識を持っていたというふうに回答している。このことは、小幡政人、安富正文、両元事務次官と一致していたと国交省の聞き取りに答えているわけです。

 そうすると、元次官三人でOB人事についての意見のすり合わせをして、当然、社長にという山口氏とも相談をして、代表して本田氏が動いたということしか考えられないんですよ。とりわけ、元事務次官三人との関係では、代表して本田氏が動いたというのは、これはもう本田氏自身が認めていることですよね。これはOBによる組織的な動きであるというふうに見ざるを得ないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 我々がやった聞き取り調査の結果は、今官房長から報告したとおりでございます。
 山口氏が二〇二一年に自薦をしたことについて、基本的に本田氏とは関係がなかったと、このように、本田氏との連携はなかったと、このように聞いております。本田氏からは、あっせんを目的とした組織的な活動や話合いをすることはなかったとの回答があったと認識しております。

○田村智子君 いや大臣ね、それをそのまま、はい、そうですかでいいんですかというのを問いかけているんですよ、私。
 この小幡氏というのは二〇〇二年、安富氏は二〇〇七年に事務次官を辞めておられます。何らかの組織的なつながりや動きがなくて、どうして二十年も前のOBが関係するということになるんでしょうか。

 資料でお配りしたのは、空港施設社の歴代社長の一覧ですね。現社長の前まで一貫して次官級職若しくは局長を経験した旧運輸省キャリアの指定席、典型的な天下りポストだったわけです。空港施設社は、空港内の国有地を借りて事業を行っていて、羽田空港内の貨物ターミナルの保有者であり、空港法に基づく指定空港機能施設事業者の指定も国交省から受けています。先ほど、維新の石井さんの質問でも、たくさん認可を受けていると、申請して認可というふうにありましたけれども。

 朝日新聞は、黎明期から空港施設社を知る人物の発言として、規制の多い空港関連事業において、国交省OBの社長は頼りとなる時代がしばらくあったと報じています。現職職員ににらみの利く有力OBを経営陣に入れておけば、事業に有利に働くということですよね。

 こういう行政のゆがみを犯しちゃいけないし、民間企業に対する人事のゆがみも犯しちゃいけない、起こしちゃいけない、だから、天下りというのは本当に厳しく規制されなければならないと私たちは考えます。

 大臣、こういう創設時を含め七代連続で次官級職、局長職経験者が社長ポストに就いてきたこの天下りの実態というのは、どのように思われますか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 上場民間企業の役員人事に関する御指摘であり、私としてコメントする立場にはないと考えます。
 いずれにいたしましても、国家公務員の再就職は国家公務員法の規定を遵守して適正に行われる必要があり、国土交通省としても、全ての現役職員に対して再就職規制の周知徹底に努めてまいりたいと思います。

○田村智子君 これ、やっぱり現役職員だけの問題ではないと思うんですよ。OBがこれだけ動いているわけですから。
 二〇二一年五月三十一日の役員会議での山口氏の発言、昨年十二月の本田氏の働きかけ、どちらも空港施設社の社長職を再び旧運輸省の天下りの指定ポストに戻そうとする意図が明らかだというふうにも言わざるを得ないというように思うんですね。

 週刊文春などの報道によれば、山口氏は、二〇二一年五月の役員会議で、自らの副社長への就任だけでなく、元国交省自動車交通局長で当時空港施設社の顧問だった高橋朋敬氏を取締役に復帰させるよう求め、実際にそのとおりにもなっているわけです。

 それで、国交省そのもの、あるいは現職が関与していなかったとしても、旧運輸省、国交省OBの組織的なあっせんによって実際に民間企業の人事が動いているわけですよ。もっと動かせという圧力もあったわけですよ。これを問題だというふうに考えないのかどうかなんです。大臣、いかがでしょう。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 繰り返しになって恐縮でございますが、上場民間企業の役員人事に関する御指摘でございまして、私としてコメントする立場にはございません。

○田村智子君 だから、その民間人事をゆがめるような圧力を国交省OBが掛けているという問題ですよね、明らかになったんですもの。

 今回の報道では、本田氏が、取締役や監査役に送り込んでいるんだということまで発言したということが今日報道もされているわけですよね。
 空港施設社の側は、もう今日の報道では独立検証委員会を設置すると。もうこれで徹底的な人事介入の事実について検証するという動きになりますよね。国交省の方は、OBだから、現職は関与していないから、それでよしとするんでしょうか。

 これ、二〇一一年、旧運輸省キャリアトップであり現職の国土交通審議官であった宿利氏が天下りあっせんをしていたことが問題となりました。しかし、国交省は、内部調査で違法性はないという結論を出した。そのため、宿利氏は、おとがめなしで事務次官となり、内閣府の再就職等監視委員会が現職審議官による天下りあっせんを違法だと認定したときには既に退職、懲戒処分も責任追及も何もできないまま国交省OBになったわけですよ。
 再就職等監視委員会は、当時国交省が確認した事実確認と基本的には同様の事実関係を違法と認定したのではないですか。

○政府参考人(宇野善昌君) お答え申し上げます。
 平成二十三年二月、三月にかけてなされた当時の国土交通審議官による行為が国家公務員法で禁止された再就職のあっせんに該当するものではないかとの点については、国土交通省自ら第三者も含めた調査委員会を設置して調査を行いました。

 この調査委員会による調査結果とその後の再就職等監視委員会の調査結果との違いについては、平成二十五年十一月の内閣委員会において、再就職等監視委員会の委員長より、同委員会は独自調査の結果、国土交通省の委員会の事実認定よりも詳細な認定を行ったが、基本的な事実関係はそれほど変わっていない、一方で、法令違反があったかどうかの評価については、ある事実に対する法的なものであり、この点について国土交通省の委員会と再就職等監視委員会は異なる評価をしたとの御説明があったと承知しております。

○田村智子君 つまりは、国交省はできるだけ問題はないことにしようという立場で調査を行い、内閣府の方は問題があったのではないかという立場での再就職等監視委員会での調査が行われて、結論として違法というようにされたということですよ。

 かつて天下りあっせんに関わったのは審議官という立場にある人でした。ところが、今回、審議官への聞き取りも行っていないということが衆議院での我が党塩川議員の質問で答弁がされています。

 山口氏と本田氏との接触がないというような、相手から聞いてそのままうのみにするような、これもにわかには信じられません。また、名前の挙がった二人の元事務次官との関係なども、これ確認は全く不十分だと思います。

 OBが組織的なものを持っていないのかどうか。組織的なものがあって、つながりがあって、それで人事介入を民間企業に対して行っていたのかどうか。これは、やっぱり国交省のOBですから、これはしっかり調べるべきではないかというふうに思うんです。

 そうすると、斉藤大臣、これ、かつても内部調査で不十分だったんですよ。だから、違法な天下りあっせんをしていた人が事務次官になって何らの処分も受けずに退職をしたんですよ。今度、これ、内部調査だけでなくて内閣府などが調査を行うよう政府の中で協議をして求めてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回の元国土交通事務次官及び元東京航空局長については、再就職のあっせん規制の対象外であり、本来、国土交通省として調査する立場になく、また権限も有しないと考えております。

 しかしながら、各種報道にあった両者の発言が仮に事実とすれば、国土交通省が本件に関与しているという誤解を招きかねないものであるため、私の指示の下、国土交通省として自ら事実関係の確認を行うべく実施したものでございます。

 その結果、国土交通省が民間企業の役員人事に関与している疑いを招きかねない発言があったことから、大変遺憾である旨を伝えましたが、現役職員の関与が疑われる事実は確認できませんでした。あわせて、国土交通省として、関係する部門の幹部職員に対して確認を行いましたが、現役職員による空港施設株式会社への再就職のあっせん、またOBから国土交通省に対する働きかけのいずれについても確認できませんでした。

 このように、本田氏、山口氏、両名への聞き取り及び職員に対する確認により事実関係を確認することができたと、このように考えております。

○田村智子君 いやいや、山口氏に何の了承も得ずに山口さんを社長にしろって本田さんが働きかけた、この一つ取ってみたって全く信用ならない調査ですよ、それは。というふうに言わざるを得ないです。

 それで、国交省の現職が関わっていたら、これもう重大問題です。だけど、関わっていなかったらそれでいいのかってことですよ。次から次へとOBが出て行って、そのOBたちが何をしているかということですよね。

 実は我が党は、衆議院の予算委員会への要求資料ですけれども、毎年、全省庁で、本社長、本省庁の課長職以上について、十年間、その天下りの実態というのを資料要求をしていますが、国交省だけがこの四年間全くその資料を提出しておりません。
 これ、本委員会についても、この十年間の国交省の天下りの状況を提出するよう求めたいと思います。

○委員長(蓮舫君) 後刻理事会で協議いたします。

○田村智子君 本当にこれは真相解明が必要なことがまだまだ残っていると思います。
 本人ですね、山口氏、本田氏、安富氏、それから、もう一人、もう一人、ごめんなさい、小幡氏への参考人招致を求めて、質問を終わります。

 


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