活動報告

活動報告
少子化対策、軍拡と両立せず/大企業・富裕層優遇正せ/田村氏/NHK番組

 日本共産党の田村智子政策委員長は28日、NHKの「日曜討論」で、各党出席者と意見を交わしました。田村氏は政府の少子化対策案について「異次元というより、要求からみて低次元」と批判し、非正規雇用を増やした経済政策の転換、教育費など経済的負担の軽減を直ちにと求めました。財源については、「(少子化対策と)大軍拡とは絶対両立しない」と指摘するとともに大企業・富裕層優遇の税制の改革を主張しました。(田村氏発言詳報2面)

 田村氏は、児童手当の高校生への拡充の要求は「教育費負担がとても重いからだ」と強調。「負担能力を超える学費、払えなければ奨学金で借金しろという最悪の政治が続いてきた」とし、高額な入学金の廃止、授業料を直ちに半額にして無償化へのプログラムを示すことを強く求めました。

 そのうえで、奨学金返済について、「ミサイル開発のためにお金をドンと積んでいる。これを充てれば1回で一気に返済総額の半額免除ができる」と主張しました。

 子ども政策の財源に社会保険料を充てる政府案について、田村氏は「軍事費2倍、大企業や富裕層への税優遇を温存するから、こんなひどい案になっている」と批判。健康保険料への上乗せは、保険料の上限があるので高額所得者の負担は増えず、一方で「非課税世帯や所得のない人は生活保護世帯以外、もれなく負担増になる」と指摘しました。

 政府案は、財源として社会保障を中心とした歳出改革をあげています。田村氏は「小泉構造改革の社会保障改悪では、診療報酬削減で、もともと不採算だった産科や小児科がつぶれた。介護の削減で介護難民が増えた。しわ寄せは誰に行ったか、女性と子どもだ。この反省に立てば、こんな案は絶対出てこない」と撤回を求めました。

 田村氏は公正な税制改革の必要性を説き、大企業は中小企業よりも税負担割合が低い、所得が増えるほど負担割合が下がる「1億円の壁」などを示し、ここにメスを入れなかったら、まともな少子化対策はできないと重ねて指摘しました。

 自民党の橋本岳衆院議員は、軍事費の指摘に対して、「安全保障については議論が分かれると思うので、ここでは割愛する」と議論を避けました。

 

NHK日曜討論/田村政策委員長の発言
 

少子化対策
 政府案は、現状や要求から見て、「異次元」というより「低次元」です。少子化の要因分析がきちんとされていない。10代後半から30代の意識調査で、結婚を望んでいる方は減少傾向ですが約8割います。ところが、男性で言えば正規雇用と非正規とで、結婚しているか、子どもがいるかで大きな格差があります。女性についても、「連合」の調査で、最初に就いた職が非正規の場合、同じ傾向が見られます。人件費やコストカットで目先の利益を最大化する、不安定で低賃金の非正規雇用を必然としてきた経済政策の転換が求められています。
 (日本は)子どもや若者への公的支出がOECD(経済協力開発機構)加盟国で最低の水準で、ここへの反省が必要です。妊婦検診、出産費用、教育費、住宅手当など、子どもを産み育てることに特別のお金が必要ないという支援が求められています。

児童手当
 安倍政権がバラマキだといって、児童手当も高校授業料支援も所得制限をつけたことを反省すべきです。
 高校生への年齢拡大の声がなぜ上がってきたか、教育費の負担がとても重いからです。貯金して高等教育費をまかなっていくことに現役世代はきゅうきゅうとしています。財源として高校生の扶養控除をなくすというのでは、負担を求めることになり反対です。
 日本は、高等教育の漸進的無償という国際人権規約を批准しました。ところが、一部の国立大学で、国の標準額を超えた授業料の値上げ、私立大学も値上げが続いています。私たちは、「(学費は)直ちに半額」と求めています。半額にして高等教育無償へのプログラムを示すことを求めたい。

教育無償化・子育て・働き方対策
 経済的負担を今すぐ軽減することが必要です。(学費が)払えなければ奨学金で借金しろという最悪の政治がずっと続けられてきました、20代、30代をはじめ奨学金という借金は総額で約10兆円近い。「返済を半額免除」と提案しており、実現させたい。
 もう一つは女性への重い負担です。ワンオペ育児になっているのはなぜなのか。残業、転勤が出世の条件にされている。これでは、女性はキャリアか子どもかということにもなる。ジェンダー平等社会への構造的な改革が必要です。

財源問題
 軍事費2倍と大企業や富裕層への税優遇、ここを温存しているから、ひどい案しか出てこない。袋小路です。
 (児童手当拡充に)健康保険料を充てるのはまったく筋違いです。高額所得者の負担は増えず、非課税世帯とか所得のない人は生活保護世帯以外はもれなく負担増になります。また社会保障の改革で財源を出すというが、小泉構造改革でやられて何が起きたか。医療の診療報酬を削減し、もともと不採算だった産科と小児科がつぶれ、療養病床削減で介護難民が問題になった。女性と子どもに本当に大きなしわ寄せが行ったことへの反省に立てば、こんな案は絶対に出てこない。撤回してほしい。

増税・国債活用
 奨学金返済を一気に半分減らす、これはミサイル開発のために積み立てるお金を充てれば1回で一気に半額免除になります。
 もう一つは、格差の是正に踏み込んだ公正な税制改革。これをやらないから、国債発行なのか、国民負担なのかという議論になってしまう。大企業の利益に対する税負担割合は中小企業よりも低い。所得1億円を超えれば税の負担割合が下がっていく「1億円の壁」。ここにメスを入れなかったらまともな少子化対策はできません。

世代間格差
 高齢者に厚いのではなく、若者や子どもへの予算を出さな過ぎているということ。高齢者の社会保障を削れば、ケア労働の方の給料や人手不足というところにすぐにはね返ります。高齢者と若い世代を対立させる議論は間違っています。本当の格差の是正、応能負担の原則を徹底させるべきです。


2023年5月29日(月) しんぶん赤旗


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