活動報告

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マイナカード、立ち止まって検証を/少子化対策財源、社会保障費削減反対/田村智議員が主張/参院決算委

マイナカード/立ち止まって検証を
 日本共産党の田村智子議員は12日の参院決算委員会で、マイナンバーカードのトラブルが相次ぎ現場に不信と負担を広げているとして、一度運用を止めて問題を検証すべきだと主張しました。

 田村氏は、マイナンバーカードには医療情報、年金情報、公金受け取り口座、別の人の情報が大規模にひもづけられ、マイナ保険証も医療機関でのトラブルがあとを絶たないと指摘し、いったん運用を止めるよう要求。岸田文雄首相は、国民の信頼確保と個人情報の保護徹底のため「取り組みをしっかり進めていく」と述べるにとどまりました。

 田村氏は、ミスを重ね、問題を放置してカードの普及にまい進してきたデジタル庁、総務省、厚生労働省が、マニュアル改定だなどと次々通知を出すのでは、「現場に不信と負担が増えるだけだ」と強調。いったん立ち止まり、第三者も含めた徹底的な検証を行うよう迫りました。

 また田村氏は、マイナ保険証トラブルと保険証廃止に関する新聞各紙の社説を紹介。「マイナ保険証の見直しは、今からでも遅くはない。トラブルの原因を解明し、再発防止に努めるのが先決だ」(「読売」7日付)など、「政治的な立場を超えてこれだけ『立ち止まれ』の声が起きている」として、首相は聞き流すのかと追及しました。

 首相は「誤登録等については重く受け止めなければならない」などと述べるだけでした。

 

少子化対策財源/社会保障費削減反対
 田村氏は、岸田文雄政権がすすめる「異次元の少子化対策」の財源について、社会保障費の削減による財源確保は絶対に許されないとただしました。

 政府は2028年度までに3兆円台半ばの恒久的な財源を確保するとしています。田村氏は、そのうち、社会保障費の削減で約1兆円を確保する案が報道されているとして、「この規模の削減は、02年から5年間の小泉構造改革と同じ規模だ」と指摘しました。

 田村氏は、同改革で診療報酬が引き下げられ、救急医療や産科などの不採算医療が縮小されたことや、介護報酬の大幅引き下げが、介護職員の低賃金・人手不足を招いたことなど、医療、介護、障害者福祉の後退を列挙し、「この影響は今も続いている。さらに社会保障を削るのか」と迫りました。

 岸田首相は、公費節減やサービスの効率化などをすすめ「国民に実質的な追加負担を求めることはない」としつつ、「年齢を問わず負担能力のある方に協力をいただくことは必要」と、社会保障削減を否定しませんでした。

 田村氏は、負担能力といってすでに年収200万円で高齢者の医療費負担が2倍になったと指摘。「高齢者と子育て世代を分断し、高齢者の人権にかかわる。同時に、現役世代とりわけ女性に激烈な痛みをもたらすことになり、少子化がもっとひどくなりうる」と厳しく批判し、「軍事費2倍と少子化対策は絶対に両立しない」と主張しました。


2023年6月13日(火) しんぶん赤旗

 

 

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 今日は、岸田総理に立ち止まる決断をしていただきたい。マイナンバーカードの問題です。医療情報、年金情報、公金受取口座、別の人の情報が大規模にひも付けられ、マイナ保険証も医療機関でのトラブルが後を絶ちません。

 総理、今、国民が安心してマイナンバーカードを使える状況だと思われますか。一旦マイナ保険証もマイナンバーカードも運用を止めて問題の解決に集中する、この決断が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 医療保険のこのオンライン資格確認の誤登録については、この新たな誤登録事案の防止策及び登録されたデータの総点検を行うことにより、正確なデータ登録の徹底、これを図ってまいります。

 そして、保険証の廃止について様々な意見があること、これは承知しております。しかし、マイナンバーカードを保険証、健康保険証として利用することにより様々なこのメリットがあります。

 健康保険証の廃止時期、これは来年の秋を設定しております。来年の秋、一年以上先をにらみながら、国民の皆様の不安を一つ一つ解消しながら、こうしたメリットを実現することが重要であると考えております。

 いずれにしましても、こうしたこの取組を進めるに当たって、国民の皆様の信頼、これは何よりも大事だということは言うまでもありません。信頼をしっかりと確保するために、さらには個人情報の保護を徹底するために取組をしっかり進めてまいります。

○田村智子君 その医療情報も、全件検査、全数検査、これやるの八月以降だって言われていますよね。また、今、じゃ、誤った情報を登録されていないかどうかマイナポータルで自分でも確認してください、誤った情報がひも付けられていたらその場で別の人の情報見れちゃうということなんですよ。だだ漏れ状態になっているんですよ。

 先週、河野大臣は、責任があるから自らを処分すると参議院で答弁されました。でも、自らを処分されたところで問題の解決には何にもならないんです。運用止める以外に道はないんですよ。

 中央大学の宮下紘教授、デジタル化で後れを取るわけにはいかないというのはそのとおりとしつつ、進むスピードが間違っている、スピードが速過ぎて事故が起きている、河野氏はアクセルを踏むばかりだが、ブレーキを踏みながらデジタル化を進めることこそ必要と指摘をされています。

 今がブレーキを踏むチャンス、ラストチャンスです。このまま健康保険証を廃止して突き進んだら問題はもうもっと大きくなる、不可避なんですよ。政府への信頼も崩壊しかねません。ミスを重ね、問題を放置して、ただただカード普及に邁進してきたデジタル庁、総務省、厚労省、ここがマニュアル改定だ何だと通知をどんどん出す、これでは現場に不信と負担が増えるだけだと思います。

 一旦立ち止まる、第三者も入れて徹底的な検証をやる、これ絶対必要だと思う。総理、どうですか。

○国務大臣(河野太郎君) いろいろな事案が起きて御迷惑を掛けているのは事実でございますが、マイナンバーあるいはマイナンバーカードの仕組みやシステムに起因するものは一つもございません。

 これまでの事案の中でシステムが原因になっているのはコンビニでの証明書の誤交付の案件でございまして、これについては対象となります百二十三の地方自治体全てで一度システムを止めて確認をしております。今日現在、百二十三の自治体のうち百二十二の団体でチェックが終わり、残る横浜市も六月の十七日までにはチェックができる、その予定になっております。

 マイナポイントと公金受取口座につきましては、これはログアウト忘れが原因でございます。ログアウト忘れを防ぐためのシステムがマイナポイントではもう既に稼働しておりますし、公金受取口座につきましてもログアウト忘れを防ぐためのシステムの開発をしておりまして、六月中には導入することができるようになっております。

 また、保険証のひも付けにつきましては、これはマイナンバーを登録の際に提出をいただかなかった、これが原因でございましたので、六月一日には厚労省が省令を改正をして、保険の情報の登録にはマイナンバーを出していただくということが義務付けられるようになりましたので、これから新しい誤登録というのは起きません。

 つまり、必要なところはきちんとブレーキを踏んで確認をしておりますし、ヒューマンエラーが原因になっているものについてはそのヒューマンエラーを起こさないような仕組みを入れているところでございます。

○田村智子君 そもそも誤登録ができてしまってエラーにもならないって、これでいいのかって声が起きているじゃないですか。宮下紘さんも、この教授も、デジタル庁に哲学がないと、ここまで指摘されているんですよ。

 パネル見てください。(資料提示)今どんどん、見直せという声ですよ。
 法律が成立したからといって、制度の見直しは不可能だと考えるのは早計だ、政府は一九八〇年、納税者番号の一種、グリーンカード制度を導入する法律を成立させたが、政財界から批判が噴出したため、五年後に法律で廃止した、マイナ保険証の見直しは今からでも遅くはない、トラブルの原因を解明し、再発防止に努めるのが先決だ、当初の予定どおり、選択制に戻すのも一案だろう。しんぶん赤旗じゃありません、読売新聞の七日の社説です。

 政府は一度立ち止まってシステムを徹底的に点検し、信頼の回復に努める必要がある、マイナ保険証への一本化は国民の生命や健康にも影響する、混乱回避のためにスケジュールありきではなく、実施時期は柔軟に対応すべきだ。産経新聞十日の社説です。

 政治的な立場を超えて、これだけ立ち止まれの声が起きているんですよ。総理、これを様々な意見などと言って聞き流すおつもりですか。
 総理、総理です。総理です。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) これ、これまでもこのマイナンバーカードを健康保険証として利用することのメリットについては再三説明をさせていただいております。国民の皆さんに、より良質な医療を提供するためにも様々なデータを活用しなければならない、このマイナンバーカードと健康保険証の一体化、これは大変重要であるということを申し上げています。

 しかし、委員御指摘のように、そして今世の中から御指摘がありますように、こうした誤登録等についてはこれは重く受け止めなければならない。よって、先ほど河野大臣からもありました、こうした問題になっている事案は、この内容、様々であります。もちろん、システムに問題がある部分についてはしっかり改修をしなければいけないわけでありますが、ヒューマンエラーの部分についてはそれをどう防ぐのか、これを考えていかなければならないわけですし、そしてあわせて、家族口座を登録する、これあえて家族口座を登録された方についてはこれは訂正をお願いしなければいけないなど、問題になっている中身、様々です。それについて丁寧に対応することによって信頼回復を図らなければならないと考えております。

 来年秋まで一年以上のこの期間にわたって、是非国民の信頼が重要であるという観点に基づいて、政府として対応を図っていきたいと考えております。

○田村智子君 つまり、聞き流すということですよね、立ち止まれという声を。そうじゃないですか。

 そもそも、マイナンバーカードを持つかどうかは任意で、国民の判断に委ねるというのが大原則なんですよ。そこをゆがめた。個人情報保護への真剣な取組もない。高齢者、障害者に困難をもたらすことが分かっていながら保険証を廃止する。何をそんなに焦っているんですか。破局的な暴走を止めるのは、私は国会の役割だと思います。法案に賛成された皆さんもこういう声聞くべきですよ。今は立ち止まれと、読売新聞の社説の立場に立とうじゃありませんか。そのことも呼びかけたいと思います。

 残る時間、異次元の少子化対策についてお聞きします。これ、もう時間が本当にないので、中身について言いたいこといっぱいあるんですけれども、財源に絞ってお聞きします。

 三兆円半ばの恒久的な財源を二〇二八年度までに確保する、歳出改革は全世代型社会保障を構築するとの観点からとあります。つまりは、社会保障のどこかを削るということでしょうか。加速化プランの五年間で歳出改革の規模はどのくらいになるんですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 少子化対策の財源については、歳出改革等を通じて公費を節減するとともに国民の社会保険負担を軽減し、これらの効果を活用することによって、国民に実質的な追加負担を求めることなく少子化対策を進めてまいります。したがって、少子対策のための歳出改革は、全体として国民の負担を軽減することを目指して実施するというものであります。

 社会保障制度の改革に当たって様々な国民に対する負担が生じるのではないか等の御指摘があるわけでありますが、これ、歳出改革に当たっては、全世代型社会保障という観点から、年齢を問わず負担能力のある方に協力をいただくことや、企業も含めて社会全体で子育て世帯を支えるという視点は必要であるとは思いますが、しかし、歳出改革にはサービス提供側の質の向上と効率化、例えば医療提供体制の効率化や介護分野におけるITの活用など、こういった取組も考えられるわけであります。

 こうしたことも含めて具体的な改革工程表を策定してまいりますが、いずれにしましても、少子化対策のための歳出改革は、全体として国民の負担を軽減すること、これを目指して実施してまいります。

○田村智子君 これ、負担軽減しながら三兆円どこから持ってくるんだって話なんですからね。

 それで、五年間で四十三兆円もの大軍拡、防衛予算の倍増、これは社会保障以外の歳出改革というんですから、これもう社会保障のどこかを削って持ってくるしかないわけですよ。

 社会保障というのは国民の中の一番の関心事ですから、今の説明じゃ全く分からない。こんな説明で、来年度の予算に向けてあとは政府内で検討しますと、こういうやり方は絶対許されないと思いますね。
 この三兆円のうち、社会保障費の削減によって〇・九兆円から一・一兆円を持ってくるんだという案が既に報道されています。

 これ、パネルに示したのは、二〇〇二年から五年間の小泉構造改革のときにやられたことなんですよ。規模でいうと、このときと同じ規模になるんです。このとき何が行われたか。診療報酬が何度も引き下げられ、元々不採算医療だった救急医療、小児科、産科などを直撃しました。病院の産科が次々となくなって、二〇〇六年には救急搬送先見付からず妊婦さんが死亡するという痛ましい事故が二件起きたんですね。介護報酬の大幅引下げは介護職員の低賃金、人手不足を招き、二〇〇六年の介護療養病床の廃止で高齢者は行き場を失い、介護難民という言葉まで生み出しました。障害者への介助サービスが応益負担となって、障害が重いほど負担が重くなる、生存権が奪われると、全国の障害者の皆さんが立ち上がって裁判も闘われました。

 総理、このときの影響というのは今も続いているんですよ。自民党の方、診療報酬の引上げ必要だという質問されたけれど、本当にできるのか。小泉改革で引下げがこれだけやられたんですよ。できるんでしょうか。

 総理、更に社会保障どこか削る、高齢者の負担を増やす、高齢者への給付削る、こんなことできますか。どうですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) そもそも政府においては、全世代型社会保障改革を進めなければならない、こういった問題意識で取組を進めてきました。

 この全世代型社会保障という観点、これ年齢を問わず負担能力のある方に協力をいただく、所得や資産の高い方に負担能力に応じた負担をお願いする、こういったことや、企業も含めて社会全体で支えていく、こういった視点でありますが、しかし、先ほど申し上げたように、こうした負担等の議論だけではなくして、この歳出改革にはサービス提供側の質の向上と効率化、この医療提供体制の効率化や介護分野におけるITの活用など、幅広い取組、これが考えられるわけです。

 こうしたものも併せて取り組むことによってこの歳出改革による財源を考えていかなければいけない、具体的な改革工程表を策定しますと申し上げています。全体として国民の負担を軽減することを歳出改革は目指していきたいと考えております。

○田村智子君 高齢者と子育て世代を分断をして、高齢者に重い負担を求める。今だって年収二百万以上で医療費二倍になっちゃったんだから。そして、医療、介護削るようなことがあれば高齢者の人権に関わります。同時に、現役世代、とりわけ女性に激烈な痛みをもたらして、少子化もっとひどくなることもあり得る。

 こういうやり方は、私、やめるべきだ、軍事費二倍と少子化対策は絶対両立しない、このことを申し上げて、質問を終わります。

 


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