日本共産党の田村智子委員長は29日、国会内で記者会見し、深刻なコメ不足と米価高騰を招いた歴代自民党農政の三つの問題の転換が必要だと主張しました。
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第1は、需要減を理由に減反・減産を農家に押し付けてきた問題です。田村氏は、政府は「需要に応じたコメの生産、販売」政策を一貫してとり、とくにコロナ危機の2021~22年の2年間で50万トンも需要が減るからと減産を押し付けたが、コロナ危機後の実際の需要は見込みをわずかに超え、生産の見込みがわずかに減った途端に店頭からコメが消える深刻な事態となったと指摘しました。
第2は、コメの生産基盤を弱体化させてきた問題です。民主党政権時に10アールあたり1万5000円の所得補償制度ができたが、第2次安倍政権が14年に補償を半減させ、18年には全廃しコメ農家から1500億円もの所得を事実上奪ったと指摘。また価格を市場任せにした結果、60キロ2万円超だった生産者米価が近年1万円前後に落ち込んだことに言及しました。
田村氏は「私たちは備蓄米を増やして買い取ることで、価格下落を止めるよう求めたが、政府は“市場には介入しない”と全く手を打たなかった」と指摘。これがコメ農家の所得激減をもたらし、“コメつくって飯が食えない”からとコメ農家は2000年の175万戸から3分の1の53万戸へと激減し「コメの生産基盤を危機的状況に陥らせた」と厳しく批判しました。
第3は、農家に減産を押し付けながら、20年間、毎年ミニマムアクセス米を77万トンも輸入してきた問題です。田村氏は「これも日本の農家に非常に打撃を与える政策となった。農作物の輸入自由化による価格競争がコメに限らず日本の農業を大きく衰退させたことは明らかだ」と批判しました。
その上で、「これら三つの問題をすべて転換しなければならない」と主張。小泉進次郎農水相は「供給量は増えている」という見方に立って「増産する」と語りながら増産目標も示していないとして、「大幅な増産へと転換し、ゆとりある需給・備蓄計画を立てなければならない」として、「200万トン以上の備蓄も見込んで増産をと求めていきたい」と表明しました。
また、所得補償によって作付け規模の区別なく多様な稲作経営を支援すべきだと主張し、「増産で需要を上回っても価格暴落を起こさないための価格保障もあわせて求めていきたい」と述べました。
2025年5月30日(金) しんぶん赤旗