7月の参院選を受けた臨時国会が1日、召集され、当選した参院議員が初登院しました。日本共産党は初当選の白川容子氏と議席を確保した小池晃、吉良よし子両氏がそろって登院。議員団総会で田村智子委員長があいさつし、自公が少数に追い込まれる一方、排外主義の危険な逆流が台頭し、「日本の政治は今、歴史的岐路にある」「いよいよ日本共産党の頑張りどころだ」と強調しました。会期は5日までです。
田村氏は、参院選によって衆参とも自公過半数割れという「前向きの変化をつくる上で、わが党が貢献したことを確信にしたい」と述べました。
一方、自民党の補完勢力や排外主義・極右的潮流が議席を伸ばし、政府の中にも留学生への支援打ち切りといった「危険な動きが起きているのは極めて重大だ」と指摘。日本共産党が選挙戦で排外主義とのたたかいを公然と訴えたことは党への新たな信頼を広げ、市民の中にも差別にあらがう運動が広がっており、「市民との連帯をさらに広げ、危険な潮流に立ち向かおう」と主張しました。
消費税、賃金、社会保障のいずれの問題も、根底には国民に負担や自己責任を押しつける「財界中心」のゆがみがあり、空前の大軍拡やトランプ関税を巡る日米合意には「アメリカいいなり」のゆがみが顕著に表れていると指摘。「自民党政治の『二つのゆがみ』を根本から変える改革を求める論戦と国民運動に今こそ正面から取り組もう」と呼び掛けました。
同時に「極右・排外主義と正面から対決しよう」と訴え、生活苦から危険な潮流に期待を持っている人々に、苦しみの真の原因と打開策を事実と論理で示し、希望を伝えていくことが大切だと強調。「日本共産党の果たすべき役割は大きい。時流に流されず正論を貫く党の頑張りどころだ。議員団がその先頭に立とう」と呼び掛けました。
世論調査では大半が消費税減税を求め、全ての野党が消費税減税を公約しており、「国会内外で責任ある財源案を示し消費税減税の大攻勢をかけよう」と訴えました。
「戦後80年、被爆80年の夏、原水爆禁止世界大会の成功とともに、アメリカいいなりの大軍拡ストップ、核兵器廃絶をはじめ、反戦平和の運動、国際連帯を大きく広げながら発展させよう」と強調。質量ともにした党づくり、『資本論』を読むムーブメント=学習運動の先頭に立つよう呼び掛けました。
日本の政治の歴史的岐路―日本共産党の頑張りどころの情勢/田村委員長のあいさつ/党議員団総会
議員団、事務局のみなさん、参議院選挙での大奮闘に、心からの敬意を表します。また、選挙直後から、「『しんぶん赤旗』読者の拡大で反転攻勢を」と奮闘いただいている全国のみなさんに、議員団を代表して心からの敬意と感謝を送りたいと思います。
参院選の結果を受けて--公約実現へ全力で奮闘を
この臨時国会から、白川容子さんが新たに党議員団に加わった。心から歓迎いたします。
今回の参議院選挙で、わが党は比例代表で2議席にとどまりました。選挙区では、東京選挙区で吉良よし子さんが激戦を勝ち抜くことができたことはうれしい結果です。埼玉、京都選挙区はあと一歩議席に届きませんでした。大切な仲間の議席を失ったことは、大変悔しく残念でなりません。
参議院選挙の総括は、党内外からの意見を丁寧にお聞きして、次の中央委員会総会で行いますが、先日行われた候補者のみなさんとの懇談では、わが党の論戦、また選挙後の情勢におけるわが党の役割への確信が口々に語られたことを、みなさんにお伝えしたいと思います。議席に届かなかった仲間の思いにもこたえ、選挙で掲げた公約実現へ、全力で奮闘することを誓い合いましょう。
自民党政治の改革を訴え、排外主義とたたかう姿勢貫いた
自民・公明=政権与党が、衆参ともに過半数を割るという、かつてない政治情勢となりました。
この流れは、「しんぶん赤旗」の裏金スクープから始まったものです。私たちは、参議院でも自公を少数に追い込み、自民党政治を終わらせて新しい政治の展望を開くことを大目標にして、自民党と正面から対決し、責任ある対案を示したたかいぬきました。また、17の1人区で候補者を一本化し、そのうち12選挙区で自民党に打ち勝ちました。
昨日は、沖縄選挙区の高良沙哉(さちか)さんが党議員団にあいさつに来られ、「オール沖縄」の勝利を互いに喜び合いました。短時間の懇談でしたが、「オール沖縄」の共闘こそが、辺野古新基地建設ストップ、日米地位協定の改定など、自民党政治を変える力だと連帯を固め合うことができました。
衆議院に続き、参議院での自公過半数割れという、前向きの変化をつくるうえで、わが党が貢献したことを確信にしたいと思います。
自公少数に追い込んだ一方で、自民党の補完勢力や、排外主義・極右的潮流が議席を伸ばしたことは重大です。排外主義の主張の広がりにおもねり、文科省が留学生への支援を打ち切る、入管が難民申請中の子どもまで収容するなど、政府のなかに危険な動きが起きていることも極めて重大です。
私たちは、参議院選挙直前の第5回中央委員会総会で、排外主義とたたかう姿勢を明らかにし、選挙の中でも、自民党政治の改革を訴えるとともに、排外主義・差別と断固としてたたかうことを公然と訴え抜きました。このことが、日本共産党への新たな信頼を広げています。
市民の中にも、差別と抗(あらが)う行動が広がっています。7月28日、弁護士や音楽プロデューサーなど12人の方々が「デマと差別が蔓延(まんえん)する社会を許しません」というアピールを発表し、本日、このアピールに賛同する街頭宣伝が行われます。人間の平等、人権と民主主義を守る党として、市民との連帯をさらに広げ、危険な潮流に立ち向かいましょう。
同時に、こうした政党に期待を寄せた有権者の多くは、極右的潮流の側に立っているわけではなく、消費税減税など、今の暮らしをなんとかしてほしいという思いが新興勢力に向かったということも、7月26日付の「しんぶん赤旗」をはじめ、選挙後の報道から見えてきます。切実な要求にこたえる取り組み、対話が求められていることを強調したいと思います。
「二つのゆがみ」ただす改革を今こそ--時流に流されず正論貫く
自民・公明が少数に追い込まれる、その一方で危険な逆流が台頭する--日本の政治は歴史的岐路にあります。いよいよ日本共産党の頑張りどころの情勢です。
自民党の中では、醜い権力闘争が展開されていますが、今、日本の政治に求められているのは自民党の中での政権のたらい回しではなく、自民党政治そのものを大もとから変革することです。消費税の問題も、賃金の問題も、社会保障の問題も、その根底には、国民に負担や自己責任を押し付ける「財界中心」の政治のゆがみがあります。いま行われている空前の大軍拡やトランプ関税をめぐる日米合意には、「アメリカ言いなり」の政治のゆがみが顕著に表れています。自民党政治の「二つのゆがみ」を根本から変える改革、それを求める論戦と国民運動に、今こそ正面から取り組もうではありませんか。
同時に、極右・排外主義と正面から対決しましょう。そのために、その危険性を事実にもとづいて広く明らかにするとともに、生活の苦しさからの脱出を求めて、この流れに期待を持っている人々に、その真の原因はどこにあるのか、打開策はどこにあるのかを事実と論理で示し、希望を伝えていくことが大切です。
この両面で、日本共産党が果たすべき役割は、本当に大きいと言えます。時流に流されず正論を貫く党の頑張りどころです。議員団がその先頭に立とうではありませんか。
消費税減税・大幅賃上げ・反戦平和--切実な要求にこたえる運動を
一つに、国民の切実な要求にこたえる運動・たたかいを広げることをよびかけます。
全国に消費税減税の要求運動を巻き起こしましょう。選挙後の世論調査でも75%がなんらかの消費税の減税を求めています。野党はすべて消費税減税を公約し、当選した自民党の参議院議員も含め、今回の選挙で議席をえた6割の議員が消費税減税の立場を国民に示しました。
石破首相は選挙後のNHKのインタビューで、「消費税を減税しても社会保障や国家財政が大丈夫だというのであれば意見を出していただきたい。共通の認識や数字に基づく議論が、どう結実するかにかかっている」と述べました。「大企業・富裕層への減税と税優遇を見直す」という、数字の根拠を持ったわが党の財源提案がいよいよ力を発揮する時です。国会内外で、責任ある財源提案を示し、消費税減税の大攻勢をかけようではありませんか。
大幅賃上げへ、職場のたたかいとともに、最低賃金が改定される今こそ、政治の責任での賃上げ、そのための中小企業支援を大いに求めましょう。
また、戦後80年、被爆80年の夏、原水爆禁止世界大会の成功とともに、アメリカ言いなりの大軍拡ストップ、核兵器廃絶をはじめ、反戦平和の運動を、国際連帯を大きく広げながら発展させましょう。
質量ともに党づくりを--『資本論』を読むムーブメントを起こそう
二つに、党議員団が、この夏、質量ともに、党づくりの先頭に立つことをよびかけるものです。
参議院選挙をともにたたかった選挙ボランティアやJCPサポーターのみなさんは、日本共産党の議席を増やしたいと心から願っています。排外主義・極右的潮流の台頭に危機感を抱く方が、自分にできることは何かと真剣に考えています。一刻を争って、入党のはたらきかけを進めましょう。
質的建設という点では、志位議長が行った「学生オンラインゼミ・第4弾」の内容を収録した『Q&A いま『資本論』がおもしろい--マルクスとともに現代と未来を科学する』を大いに力にしたいと思います。おととい(7月30日)の会見で、志位議長は「日本でも『資本論』を読むムーブメントを起こしたい」と語りましたが、私も一足先に読んで、これは『資本論』を学びたくなる本であるとともに、今日の日本の経済や社会の行き詰まりの根底には資本主義の矛盾があること、そしてこの行き詰まりを打開する大局的な展望がみえてくることを実感しました。政治を改革する論戦の先頭に立つ議員団が、学習の先頭にも立って、『資本論』を読むムーブメントを起こしていきましょう。
党を強く大きくする夏、たたかいの夏、学びの夏--自民党政治を終わらせる激動をつくる力を大きく育てる夏にすることをよびかけて、あいさつとします。ともに頑張りましょう。
2025年8月2日(土) しんぶん赤旗