【12.06.19】厚生労働委員会�◆宗従祿下埃�立支援法改正法案
総合福祉部会の骨格提言の棚上げは許されない
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
今日、傍聴席にとても入り切れないほどの障害者の皆さん、関係者の皆さんがお集まりです。連日、議員会館の前で本法案の徹底審議、骨格提言を尊重した新法をと求めてきた皆さんです。
2010年12月の自立支援法改正のときも、会期末を理由にして短時間の審議で採決が行われました。本法案についてもまた同じ理由で、趣旨説明、3時間の審議、採決まで一気に進められようとしています。障害者自立支援法の制定時、解散・総選挙を挟んだとはいえ、参議院では1時間5分の参考人質疑を含めて29時間52分の審議をしています。自立支援法に代わる新しい法律を作るんだといいながら、なぜ僅か3時間の審議なのでしょうか。結局、新しい法律といいながら自立支援法の一部手直しで終わる、そのことを委員会の審議でも認めるようなやり方だと思います。このようなやり方には強く抗議をし、本日は採決を行わず、参考人質疑を含め徹底した審議をするべきだと改めて述べて、質問をいたします。
障害者総合支援法のこの出発点は、障害者自立支援違憲訴訟原告団と民主党政権とが交わした基本合意であり、自立支援法廃止を前提とした新法の制定に向けてまとめられた骨格提言であるはずです。ところが、違憲訴訟の原告団からも骨格提言をまとめた総合福祉部会のメンバーからも、この法案に対して非常に強い批判が出されています。大臣はそれも受けて段階的に実現を図っていくんだという趣旨の答弁を今日もされています。
ところが、基本合意の介護保険優先原則を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入を図ることという事項については、骨格提言で具体的な見直しの方向も示されたにもかかわらず、法案には盛り込まれていません。また、検討対象としても明記はされていません。これはなぜですか。
○小宮山洋子 厚生労働大臣 骨格提言は、先ほどから申し上げているように、段階的、計画的に実現をしていきたいと考えています。法案附則の検討規定に必ずしも明記されていない事項であっても、骨格提言や国会での御議論などに基づいて検討していきたいと考えています。
今委員御指摘の介護保険優先原則の見直しにつきましては、介護保険制度の負担と給付の考え方、障害者とそれ以外の人との公平性、給付に係る財源の在り方などを含めて総合的な議論が必要だと考えています。
○田村智子 基本合意では新法制定時に見直すという約束だったんですね。今の答弁聞いていても本当に納得ができないんですよ。検討したけれども実現ができない、それが結論なのかなと。この優先原則をなくしていく方向で見直すというような答弁にならないわけですよね。それでは基本合意の約束、これをほごにしたというふうに言われても仕方がないんじゃないのかというふうに思うんですけど、大臣、もう一度、どうですか。
○小宮山洋子 厚生労働大臣 基本合意の約束そして骨格提言で、先ほどから答弁させていただいているように、今対応ができるものについては今回法案に盛り込ませていただいています。ただ、いろいろなことを総合的に考えて、もう少し時間を掛けなければいけないものについては今回は盛り込めませんでしたので、これは段階的にやっていきたいということです。
○田村智子 介護保険によるサービスは必ずしも障害者のニーズを満たしていないのに、65歳になったら介護保険のサービスを利用してくれと言われる、事業所も変えなければならない。高齢の障害者の方に現に不安や不都合を与えています。また、介護保険でも利用料の減免制度はあるとはいえ、1割負担を原則とする介護保険に強制的に移行される、これもどう説明されても納得がし難いわけです。日払い報酬の問題についても同じことが言えます。衆議院の審議では今後もよく検討したいという答弁はありました。しかし、見直すということには一度も言及がされていません。
自立支援法によって介護保険優先原則、また日払い制度が押し付けられた、このことが大変な混乱と困難を障害者の皆さんにもたらしたと、そういう反省があるのかどうか、このことを確認したいと思います。
○小宮山洋子 厚生労働大臣 今御指摘の報酬支払方式の見直しにつきましては、日払い、月払それぞれのメリット、デメリットを整理した上で、医療、介護などほかの制度の取組も参考にしながら、事業所の経営実態、各サービスの利用実態などの客観的、具体的なデータに基づきまして検討する必要があると考えています。
○田村智子 もう一度お聞きします。
日払い制度によって大変な混乱と困難が現に障害者の様々な施設の中にもたらされている、そういう反省がありますか。
○小宮山洋子 厚生労働大臣 そのような御指摘があることは承知をしておりますが、今申し上げましたような様々な観点から検討していく必要があると考えています。
○田村智子 そういう御答弁だから当事者の方は本当に怒るわけですよね、基本合意はどこに行っちゃったんだと。
衆議院での修正についてもお聞きします。
政府案では、障害程度区分の見直しは3年後の法の見直しに先送りをしていましたが、修正された法案では、障害程度区分を障害支援区分に変更をして、2014年、平成26年ですね、4月1日に施行するとしています。
さらに、修正された附則第2条を見ますと、新たな区分の制定に当たって、知的障害者、精神障害者の特性を配慮して適切に行われるよう求めています。例えば、服の着脱が行為としてはできても、季節や場所にふさわしい着脱をするには支援が必要と、こういう事例もお聞きしていますから、これは当然のことだと思います。しかし、例えば内部疾患による障害を持つ方とか、あるいは新しく支援対象となる難病などの患者さんについても同じような配慮が必要になると思います。
なぜ知的障害者、精神障害者と限定をしたのですか。
○岡本充功 衆議院議員(民主党) 現行の障害程度区分では、先ほどもちょっと御答弁させていただきましたが、知的障害、精神障害は一次判定で低く判定される傾向があり、その特性を反映するよう見直すべきではないかといった課題があると承知をしています。
知的障害、精神障害の特性を踏まえた障害支援区分とすることはこれは急務であると考えておりまして、修正案では、障害支援区分と見直すことに併せて、知的障害、精神障害の特性に応じて適切な認定が行われるよう配慮等を講じる規定を盛り込んで、先ほど御指摘がありました平成26年4月1日から施行するということにしたところでございます。
○田村智子君 ちょっとお答えになっていないんですね。限定したのはなぜかということをお聞きしました。
あわせて、じゃそれも答えていただきたいんですけれども、もう一つです。
その障害程度区分の見直しというのは、これは自立支援法出直しの議論でも争点の一つです。それだけに、この障害支援区分というのがどのような考え方で、どのような制度となるのかと、これ非常に大切なんです。障害者や家族とともに検討を進める必要があると思います。
ところが、修正された法案を見ますと、この障害支援区分を定めるに当たって障害者や家族の意見を聞くという規定が入っていません。これもなぜなのか、併せてお答えください。
○岡本充功 衆議院議員 先ほどの前段の部分ですけれども、平成22年10月から平成23年9月までいわゆる判定の程度、判定がどうだったかということを調べたところ、一次判定と比べて二次判定において身体障害者は20・3%、知的障害者は43・6%、精神障害者は46・2%が一次判定よりは高く判定されたと。したがって、一次判定より高く評価される可能性があるこの知的障害、精神障害をと、こういう話が出てきたということでございます。
それから、後段の、附則の2条についての、いわゆる検討に当たってという話でありますが、修正案の附則の第2条は、障害支援区分の認定が知的障害者及び精神障害者の特性に応じて適切に行われるよう、政府は区分の制定に当たっての適切な配慮その他の必要な措置を講ずるとしているものであって、これは支援区分の見直しに当たっての基本的な方向性を示しています。
一方で、附則の3条の方では、法の施行後3年を目途として、障害福祉サービスの在り方、障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方、障害者の意思決定支援の在り方等の検討を加えることにしておりまして、この検討に当たっては、障害者やその家族その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずることとしていまして、見直し後の障害支援区分の認定を含めて、支給決定の在り方についても同様の措置を講ずるとしているところでございます。
○田村智子 今の答弁を聞いて大変不安になりました。
そうなると、障害支援区分の制定のときには、当事者の意見聞かずに政府がこれまでのことをデータをいろいろと見ながら制定してしまうということになるじゃありませんか。先ほどの別の議員の答弁聞いていても、これまでの二次判定の分析とかデータとか、結局、数値やコンピューター、これに頼ってどのような支援を提供できるかということを示すことになってしまう。
当事者の皆さんからはもっと違う意見出ていますよね。130項目できるかできないかとやっていくと、できない、できない、できないと言われ続けているような気持ちになると。そうじゃなくて、もっとその方の生活の状況を丸ごと見て、そういう方はどういう生活を希望されていて、どういう支援が必要かということをもっと立体的に見てほしいんだと。そういう中身にならないんじゃないのか、そういう危惧が生まれてしまいます。
支援区分の決め方についても当事者の意見聞くのは当然だと思うんですけれども、いかがですか。
○岡本充功 衆議院議員 したがって、修正案の附則の3条では、先ほどお話をしましたけれども、障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方に検討を加えることになっていると。これについては、障害者や御家族の、その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じると、こうなっているということでございます。
○田村智子君 逆に言えば、3年後の見直しのときまで当事者意見を聞くということを法律上先送りしちゃったわけですよ。その間の見直しの中でどうやって当事者の意見を反映するか。もう総合福祉部会のようなことはやりたくないと言われているような気持ちになりますよね。それでいいのかという問題を提起したいと思います。
今お話しのありました附則の第3条、法施行後の3年を目途とした検討についてと。ここではどのような体制で障害者や家族の意見も反映しながら検討が行われるのか。総合福祉部会のような障害当事者が過半数となるような組織で検討するのか、それとも、先ほどからお話のある障害者基本計画の実施状況を監視し勧告を行うことができる障害者政策委員会での検討となるのか、そこはどうなるのか、政府にお聞きをいたします。
○西村智奈美 厚生労働副大臣 今回の新法では、法施行後3年を目途に見直しの検討を行うこととしております。
まず、この検討に当たっては、障害当事者やその御家族その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じるということを盛り込んでおります。そして、具体的にどのような方法で障害当事者やその家族その他の関係者の意見を反映させていくかということについてでありますけれども、これは今後、法律、法案の施行に向けて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○田村智子 大切なことが全部先送りになっちゃうわけですね。
先ほど、これ質問全然準備もしていなかったし、答える人もいないからあれなんですけれども、障害者政策委員会についても、あたかも政府に批判的な意見を言う人をメンバーに入れるのはけしからぬと言わんばかりの質問がなされたのは、私はちょっとそれはおかしいんじゃないかなと思うんですね。政府にも恐れることなく物を言うような方が入っていなかったら、障害者の、当事者の方の意見を反映した政策は前進していかないと、このことは強く申し述べておきたいと思います。
それから、応益負担の問題、これも障害者自立支援法を廃止すべきというときの最大の理由の一つでした。衆議院の審議で大臣は、既に自立支援法の改正などで応益負担から応能負担に変わったと、こういう答弁が大臣始め皆さん繰り返されています。
では、自立支援医療の自己負担はどうなんでしょうか。障害者自立支援法の施行から負担上限は全く変わっていないと思います。そうなると、自立支援医療というのは、この法ができたそのときから応能負担であるということになるんですか。
○小宮山洋子 厚生労働大臣 自立支援医療では、平成18年の制度創設時から所得に応じた負担上限を設けて一定の負担軽減を図っていたことに加えまして、一つは、高額な治療を長期にわたり継続しなければならない一定所得以上の人、いわゆる重度かつ継続に該当する人、また、育成医療を受ける中間所得層の人について更に負担軽減のための措置をとり、実質的には所得に応じた負担となっていました。
今年4月に施行された改正障害者自立支援法では、自立支援医療についても、障害福祉サービスと同様、利用者負担を応益負担から応能負担に改正し、法文上も応能負担であることを明確にしています。
○田村智子 自立支援医療は全然変わっていないんですよ。応能負担に変わったって、全然もう、何というか、この自立支援医療は全く手が付けられないと言ってもいい状態ですよね。
今お話のあった育成医療の中間所得層の負担軽減も、経過措置として負担の軽減が図られていて、だから3年ごとに継続できるかどうかと、昨年もぎりぎりまでどうなるか分からなくて、関係者の方からすさまじい要望が出されて4月からの継続が何とか決まったと。今だって経過措置なんですよ。法に基づいた応能負担なんて絶対言えないですよ。
例えば、重い心臓病のお子さん、何度も手術が必要です。障害者自立支援法の施行によって、負担はその前の育成医療と比べれば大幅に増えています。高度な手術が行える医療機関は限られていて、家族は滞在も必要、交通費の負担も大きい、何とかしてくれという要請が今だって出されているではありませんか。
これ、もう時間が来ましたから、これ経過措置なんてやり方では駄目ですよ。ちゃんと法の制度を変えて、自立支援医療についても負担の軽減を図るべきだと思いますし、本当は谷間の問題などなど質問したいと思っていました。課題が残されました。採決は行うべきではなく、徹底審議を求めて、質問を終わります。
障害者自立支援法改正法案への反対討論
○田村智子 私は、日本共産党を代表して、地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案に反対の討論を行います。
本法案については、障がい者制度改革推進会議の下に置かれた総合福祉部会の骨格提言がどのように実現されているか、実現まで至らないものはどのようなスケジュールで実現するのか、また障害者の所得や地域生活の実情、家族の状況、障害者自立支援法によってそれがどのような影響を受けたのか、本法案によってどのように変わるのかなどがしっかりと審議をされる必要がありました。にもかかわらず、本法案が3時間という短時間の質疑で、参考人質疑すらせず採決を行うことに強く抗議するものです。
国と障害者自立支援法違憲訴訟団との基本合意は、障害者の意見を十分に踏まえなかったこと、応益負担の導入によって多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことを反省し、障害者自立支援法を廃止し障害者を中心とした推進会議や総合福祉部会によって策定された総合福祉法を制定する、このことが約束されました。ところが、政府は、その期待を裏切り、総合福祉部会の意見をほとんど反映せず、2010年改正自立支援法の仕組みをそのままにした法案を提出しました。
配偶者や親の収入があれば、本人の収入や生活実態を抜きに応益負担を課す収入認定の仕組み、介護保険優先原則などは全く見直しがされませんでした。当面の重要な課題とされた自立支援医療の自己負担の引下げについても、財源を理由にいまだ実現されていません。谷間の障害をなくすはずが、対象を特殊の疾患に限定するなど、新たな谷間を生み出しかねないものとなっています。キャリーオーバーの問題も先送りです。
政府は骨格提言は段階的に実現すると言いますが、衆議院で作成を約束した工程表はいまだ明らかにされておらず、介護保険優先原則や日払い報酬の見直しは3年後の見直しの対象にもなっていません。基本合意に対する政府の誠実さに疑問を持たざるを得ません。
一方で、衆議院の修正によって障害程度区分に代わって障害支援区分を創設することになりました。3年後の障害支援区分を含めた認定の在り方については障害者や家族の意見を反映させることが義務付けられているのに、障害程度区分という制度の根幹を見直し新たな障害支援区分を制定するに当たっては障害者の意見の反映は義務付けられていません。私たちのことを私たち抜きで決めないでという当事者の皆さんに対する反省はどこに行ったのかと言わざるを得ません。
最後に、日本共産党は、総合福祉部会の骨格提言の完全実施に向けて力を尽くすことを表明し、討論を終わります。

