日本共産党国会議員団は22日、国会内で、虐殺と飢餓からパレスチナ・ガザの人々の命と人権を守るため、パレスチナに対する国家承認やイスラエルへの制裁など具体的行動を緊急に取るよう日本政府に要請しました。田村智子委員長と山添拓政策委員長、本村伸子、堀川あきこ両衆院議員が、外務省の三宅浩史審議官に要請書を手渡しました。
イスラエルは1月に国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止する法律を施行。ガザ地区の食料配給所が激減し、集まった人々への発砲・殺害も相次ぐなど、危機的な人道状況を引き起こしています。さらにイスラエル政府は新たにガザ市制圧に関する計画を決定。今月20日にはエルサレム周辺の大規模な入植地建設を承認するなど、新たな領土拡大に乗り出しています。
田村氏は「イスラエルの攻撃が子どもたちの死者を次々と生む悲惨な状況になっている」「これまでと次元が違うところに来ているという危機感から緊急に要請した」と要請の趣旨を説明。イスラエルへの制裁を加盟国に呼びかけた昨年の国連総会決議にふれ、制裁を国際社会に働きかけるよう政府に求めました。
「日本とイスラエルの経済関係は深まっている」などと制裁に消極的な姿勢を示した三宅審議官に対し、田村氏は「イスラエルは重大な国際法違反を延々と繰り広げている。国際的な制裁の対象だ」と強調し、日本政府はその立場を明確にすべきだと要求。政府がイスラエルからの無人攻撃機輸入を検討している問題でも、「制裁対象国から巨額の武器を購入するなどありえない」と厳しく批判しました。
山添氏はガザの危機的な状況にふれ、「これまでの延長ではない対応が必要だ」と指摘。「2国家解決に向けた国際社会の覚悟を示していくためにも、日本政府の態度が問われる」と述べ、パレスチナ国家をただちに承認するよう求めました。三宅審議官は「9月の国連総会に向けて政府内で検討を重ねている」と答えました。
本村氏は、トランプ米政権がイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を発行した国際刑事裁判所(ICC)に次々と制裁を科していることを批判。「米国政府にイスラエルへの加担を一切やめるよう要請すべきだ」と迫りました。
虐殺と飢餓からパレスチナ・ガザの人々の命と人権を守るための緊急要請
パレスチナ・ガザの人々の命と人権が、重大な危機に瀕(ひん)している。
イスラエルは、国際社会の圧倒的多数の声を無視して、ガザ地区などへの国際法違反の無差別攻撃を繰り返し、2023年10月以降の犠牲者は6万2千人を超えている。
今年1月には、人道支援の中心的な役割を担ってきた国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止する法律を施行し、食料や医薬品などの人道支援物資の搬入を妨げている。米国の関与のもとで「ガザ人道財団」が2月に創設されたが、400カ所あった食料配給所は4カ所に激減し、食料を求めて集まった住民に対する発砲・殺害が相次いでいる。
国際NGO115団体は7月23日の共同声明で、「すべての陸路を開通し、食料や清潔な水、医療物資、避難用品、燃料の供給を国連主導の仕組みという原則を通じて再開すること」を求めている。
日本を含む26カ国と欧州連合(EU)の外相は8月12日、共同声明を発表し、イスラエルに対し、すべての支援物資のガザ地区への搬入を認めるよう求めた。
一方、イスラエル政府はガザ市の制圧等に関する計画の決定を発表し、軍事作戦を拡大している。国際社会が一致協力して、イスラエルの戦争犯罪・ジェノサイドを止めることは急務である。
国連総会は昨年、国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見に基づき、イスラエルに対し占領政策の1年以内の終結を求め、加盟国にはイスラエルへの武器輸出、違法入植地からの輸入禁止など、非軍事的措置・制裁の実施を呼びかける決議を採択した。
現在、パレスチナを国家承認している国の数は147カ国、国連加盟国の4分の3にのぼる。主要7カ国(G7)でも、フランス、イギリス、カナダが相次いで表明したが、日本政府はいまだに表明していない。
以下、政府に対し緊急に要請する。
1、パレスチナの国家承認をただちに行うこと。入植地からの撤退、違法な駐留の終結など、イスラエル及びパレスチナ国家による2国家解決に向け、国際社会に働きかけること。
2、イスラエルの戦争犯罪を止める国際的制裁の実施を国際社会に働きかけること。
日本政府として、国連決議に基づくイスラエルに対する具体的な措置を実施すること。国際的制裁の精神に反する、イスラエルとの経済連携協定締結に向けた協議をとりやめ、イスラエル企業からの無人攻撃機(攻撃型ドローン)の輸入を行わないこと。
3、米国政府がいまもなおイスラエルを擁護していることは許されない。イスラエルに対する軍事的・経済的支援をただちに停止するよう要請すること。
2025年8月23日(土) しんぶん赤旗