米国が広島に原爆を投下してから80年の節目となる「原爆の日」を迎えた広島市で6日、被爆80年・原水爆禁止2025年世界大会ヒロシマデー集会が開かれました。「『核兵器のない平和で公正な世界』への道を切り拓(ひら)くため行動しよう」と訴える決議「広島からのよびかけ」を採択。国連の中満泉軍縮担当上級代表、オーストリア、メキシコの政府代表がスピーチし、日本共産党の田村智子委員長が連帯のあいさつをしました。同日行われた市主催の平和記念式典で松井一実市長は「核兵器を含む軍事力の強化を進める国こそ、核兵器に依存しないための建設的な議論をする責任がある」と指摘。日本政府に対して、核兵器禁止条約の締約国となるよう求めました。平和記念式典には、田村氏をはじめ日本共産党代表団が出席しました。
広島県立総合体育館で開かれた被爆80年のヒロシマデー集会には2800人が参加し、750人が視聴。大阪の大学院生の「仲間とともに、地域から声をあげ、学び、歩み続ける」との発言に共感の拍手が送られました。
中満氏は、核兵器のない世界へのゆるぎない献身は「今この時代に必要な希望、勇気、そして良心のともしび」だと指摘。「諦めることなく、粘り強く、歩み続けよう」と訴えました。
オーストリアのアレクサンダー・クメント欧州国際関係省軍縮・軍備管理・不拡散局長・大使は「核抑止力」が機能しなければ結果は壊滅的だと述べ、禁止条約は人類にとって「希望の光」だと強調。核兵器廃絶を目指す市民の努力が変化を生むと話しました。
メキシコのメルバ・プリーア駐日大使は「今こそ、被爆者の声をあらゆる場面で国際社会に響かせるときだ」として、核兵器廃絶を国際的な最優先課題として取り組むと語りました。
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中聰司代表理事は「核なき世界」に逆行する日本政府を到底、許すことはできないと述べました。日本原水協と原水禁、日本被団協による初の共同アピールにふれ「ともに怒りましょう、ともに知恵を絞りましょう、ともに闘いましょう」と呼びかけると、参加者は大きな拍手で応えました。
田村氏は「核抑止力」を主張し禁止条約に背を向ける石破首相を批判し「被爆80年の今こそ、日本政府が動く時、変わる時だ」と強調。「米国の『核の傘』から抜け出て、禁止条約に参加し、唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶を進める役割を果たすべきだ」と求めました。
英国、韓国、米国の海外代表が発言し、日本各地の運動を交流。日本学術会議前会長の梶田隆章東京大学卓越教授がビデオメッセージを寄せました。
原水爆禁止世界大会/田村委員長のあいさつ
みなさん、こんにちは。日本共産党の田村智子です。ぜひとも、この大会に連帯のあいさつをと思い駆けつけました。
日本被団協のノーベル平和賞受賞に、私も勇気と希望をもらいました。そして迎えた被爆80年、核兵器廃絶、原爆被害への国家補償の実現へと、新たな決意を胸に刻んでいます。
ロシアによるウクライナ侵略と核威嚇、イスラエルによるガザでのジェノサイド(集団殺害)と、アメリカによるイラン核施設への一方的な攻撃―人々の命を奪い、平和を壊す暴挙に、みなさんとともに「ノー!」の声を、この広島の地からあげたいと思います。
また、戦争への道となる排外主義に断固立ち向かうことを表明するものです。
核保有国が国連憲章も国際法も踏みにじり、力の支配へと暴走するもとで、この世界大会は、危機を打開する新たな国際連帯を生み出す場となっています。
昨日は、各国の政府代表が参加したフォーラムとともに、ヨーロッパの国会議員、そして日本の衆院議員である、わが党の志位和夫議長がパネリストとなったフォーラムが行われました。ユーラシア大陸の東西で軍拡が進むもとで、ユーラシア大陸の東西で核兵器廃絶と軍拡阻止、排外主義反対の国際連帯が広がる―本当に素晴らしいことだと思います。
日本政府は、安全保障のためには日米軍事同盟強化だ、「核抑止力」だと主張し、核兵器禁止条約に背を向けたままです。アメリカの核兵器使用を想定した日米の軍事訓練が行われたのではないか、これからも行われるのではないか―わが党議員が昨日の国会で質問しましたが、石破(茂)首相は「抑止力たりうるためにいろいろな想定がなされることは当然だ」と開き直りました。これが被爆国・日本政府のやることでしょうか。本当にみんなで怒りを表明したいと思います。
今日の平和記念式典の「平和宣言」では世界の国々に「対話を通じた信頼関係に基づく安全保障」を呼びかけました。(湯崎英彦)県知事のあいさつでは、「核抑止」が破られる危険性を指摘し、「人類も地球も再生不能な惨禍に見舞われる」と「核抑止力」を正面から批判しました。核兵器禁止条約が希望となり生きた力となって、日本も世界も動かしていると実感しています。
戦後・被爆80年の今こそ、日本政府が動く時、変わる時ではないでしょうか。
アメリカの「核の傘」から抜け出て、核兵器禁止条約に参加し、唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶を進める役割を果たすべきです。「核兵器のない世界」へ、ともに力を尽くす決意を表明して連帯のあいさつといたします。ともに頑張りましょう。
田村委員長ら献花/平和記念公園・原爆碑/広島
日本共産党の田村智子委員長らは被爆80年を迎える6日早朝、広島市の平和記念公園で原爆碑に献花し、犠牲者を追悼しました。
献花には田村氏と、山添拓政策委員長、本村伸子、堀川あきこ両衆院議員、吉良よし子、仁比聡平、白川容子の各参院議員、井上哲士前参院議員、大平喜信元衆院議員、村上昭二広島県委員長、藤井敏子、河村晃子両広島県議、中原洋美、中森辰一、大西理、中村孝江、清水貞子、藤本聡志の各広島市議らが参加しました。
2025年8月7日(木) しんぶん赤旗